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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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藤井風の圧倒的スケールに見るJ-POP未来志向

現代のJ-POP界には優れたアーティストがたくさんいます。しかし、その中でも藤井風は、圧倒的なスケールを持って存在しています。 彼の音楽については、多くの分析がなされていますが、ここでは、彼の持つスケールの大きさが、今後のJ-POPの未来にどのような可能性を広げていくのかということについて、書いてみたいと思います。 また、彼の歌声の持つ魅力や独特のタンギングから声格(せいかくー声の持つ性格)を類推し、歌手藤井風の魅力を分析したいと思います。 この記事は評論家として書き込んでい

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『Respond to Respond』” レスポンドレーベル・ディスクガイド” 

1981年に英国のロックバンド、ザ・ジャムのポール・ウエラーによって、第二のモータウンを立ち上げるべき設立されたインディペンデント・レーベル”RESPOND”レスポンド。「Keeps or Burning」を合言葉に約5年間にわたり若き才能を音楽シーンへと導いたが、結果、大きな成功を手にすることなくレーベルとしての活動は終わる。 地元グループがいきなり表舞台にあがったかのようなビジュアルその垢抜けなさ。レスポンド歌姫トレイシー・ヤングはチャーミングで魅力的であるが、スター性が

モダンなトラップとルイジアナのヒップホップ

ルイジアナのヒップホップのモダンなトラップに繋がる部分について書きました。記事で触れた曲を中心に収録したプレイリストも制作したので、あわせて是非。 モダンなトラップのルーツ候補モダンなトラップのルーツといえば、メンフィスのラップグループのThree 6 Mafiaであるというのが一般的である。手数の多い808を用いたビートには確かに共通するものがあるし、ラップ面でもLord Infamousを筆頭とした三連フロウの使用にMigos的なスタイルの原型を発見できる。2010年以

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90年代を駆け抜けた、日本発グランジロック・バンドの秘話。ペリカンキング(PELICAN KING)、河崎雅光へのインタビュー。

ペリカンキング(PELICAN KING)は1994年に、ヴォーカル/ギターの河崎剛士、 ベースの河崎雅光、ドラムスの古川哲矢によって結成されたロックバンドです。グランジを彷彿とさせる重くノイジーなロックサウンド、美しいメロディー、そして切なさや焦燥感が漂う日本語詩が魅力。そんな彼らが1998年〜2001年にかけてミディからリリースした作品が、各配信プラットフォームにて一挙解禁となりました。そこで、今回はそのベーシスト、河崎雅光氏にインタビューを行い、その活動の軌跡を振り返っ

Beyoncéバンクーバー公演に向けて 全アルバムを復習しよう

Beyoncé Renaissance World Tour バンクーバー公演は9月11日。一刻も早く予想セットリストの歌詞を覚えなきゃいけないが、その前にしっかり Beyoncé のディスコグラフィを今一度振り返ってみよう。レビューではない。ただの感想。 Dangerously In Love (2003) 初めてこのアルバムを聴いたとき、私はこれが2000年代初頭のR&Bの最適解だと思っていた。今でもそう思う。しかし批評家筋の評価はリリース当時からそれほど良くはない。そ

「地球儀」に見る米津玄師の献身と自信

運命的な宮﨑駿との巡り合い宮﨑駿10年ぶりとなる新作「君たちはどう生きるか」の封切りから約1ヶ月後のインタビューで今の心情をこう表現した米津玄師。 あまりに重いプレッシャーからの開放感と同時に、”光栄の最上級”の仕事が”終わってしまった”一抹の寂しさを感じているのかもしれない。 子供の頃から大きな影響を受け、心の師匠、父と仰ぐ巨匠との邂逅は、「Lemon」の大ヒットで”自分がやってきたことはここで終わりなんだとエンドロールが流れ始めた感じ”がしていたと言う米津を”まだまだ

Foolsdayboy「Foolish Step」全曲解説とバイレファンキ導入の経緯

新潟のラッパーのFoolsdayboyがリリースしたミックステープ「Foolish Step」のプレスリリース文章を担当しました。各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。 新潟を拠点に活動するラッパーのFoolsdayboyは9月8日(金)、新作ミックステープ「Foolish Step」をリリースする。 Foolsdayboyは活動を始めた2020年に1stアルバム「Awesome Fools」をリリースし、その後も2021年に発表した2枚のコラボEPや2022年の

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日本の弾き語りブルースバラエティCountry Blues Heaven Vol.6

2023.07.22. Country Blues Heaven Vol.6 横浜Thumbs Up 気がつけば、あちこちでブルース・イベントが開催される昨今だが、意外にギター1本で勝負する人たちばかり出演する企画は少ない。 そのレアな企画の代表「Country Blues Heaven」は、東京・練馬のバー「江古田倶楽部」により2009年に第1回が開かれ、以後、2011年、2014年、2016年。そして2017年の豊橋大会を含めると、今回が6回目となる。 残念ながら「江

Interview Jeanette Wong (SFJAZZ):ジャズの博物館ではなく日常に取り入れられる音楽の提供のために(7,500字)

サンフランシスコにはSFジャズという団体がいて、彼らが運営するSF ジャズ・センターは西海岸ジャズの拠点になっている。 彼らはSFジャズ・コレクティヴというグループを運営していて、その活動はアメリカのジャズシーンにおいて重要な意味を持っている。SFジャズ・コレクティヴが特別なグループであることは以下の別記事で解説しているので是非読んでほしい。。 ここではそのSFジャズ・コレクティブを運営しているSFジャズについて深堀するために、Associate Director、Art

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Charデビュー45周年企画として開催された、伝説のバンドPINK CLOUDトリビュート公演。ゲストにミッキー吉野を迎えたステージを通じて感じた、Charが音楽に込めた特別な想い

 デビュー以来約半世紀にわたり、独自の存在感を放ち続けるChar。ギタリストとして、様々な楽器を駆使するマルチプレーヤーとして、その評価は他の追随を許さない。  2016年、ギターマガジン誌による、プロギタリストを中心とした音楽関係者へのアンケート投票「ニッポンの偉大なギタリスト100」にて1位に選ばれたことはその証左でもある。  また、シンガーソングライター、作曲家・プロデューサーとしての幅広い活動。そして、二度にわたるレーベル設立など新たな音楽ビジネススキーム構築を目

Puma Blue "Holy Waters"

イギリス・ロンドン出身のシンガーソングライターによる、約2年半ぶりフルレンス2作目。 最近のインタビューによれば、今作を制作する上で大きなインスピレーションの元となったのが The Beatles のドキュメンタリー映画 "Get Back" なのだという。映画の中でラフに音を合わせたり口論したりしながら曲を仕上げていく様子を見て、バンドアンサンブルには何かしらのマジックが存在すると感じたのだろう。前作 "In Praise of Shadows" は制作時期がパンデミック

BUDDHA BRAND『人間発電所~プロローグ』(1996)

アルバム情報アーティスト: BUDDHA BRAND リリース日: 1996/5/22 レーベル: Cutting Edge(日本) 「50年の邦楽ベスト100」における順位は73位でした。 メンバーの感想The End End  まずサウンドに対する感想から。  ローが気合の入った太さで、嬉しい。タイムストレッチしたギターのデジタルな揺らぎも遂に登場してくれて、嬉しい。デジタルディレイに恐らくリバーブなどの”馴染ませる”手間が加わっていなくて、声がそのまま複製されたよう

Jeff Rosenstockインタビュー

KKV Neighborhood #181 Interview - 2023.08.25 インタビュー、構成:与田太郎 ジェフ・ローゼンストックの新作『HELLMODE』がまもなく発売となる。90年代中旬から2000年初頭にかけてティーンネイジャーだった彼はUSインディーが大きく花開き、同時にグランジ、オルタナティブがメイン・ストリームになった時代にバンドを始めている。その後も華やかなシーンを目指すというよりはもっとローカルでアンダーグラウンドな、よりDIY色の強いスカやパ

書籍紹介『東欧グルーヴ・ディスクガイド』(音源付き)

 この度、DU BOOKSから初の自著『東欧グルーヴ・ディスクガイド 革命前夜の音を求めて』を刊行することとなりました。多くの反響をいただいた一方、「東欧グルーヴ」って何?という方や、新しい情報あるの?という既に知り尽くしているマニアの方もいるかと思います。  今回、本を買おうか迷っている方のために、内容を紹介すべく記事を書いてみました。 商品ページはこちら。 ちなみに、ディスクユニオンの店舗かオンラインで購入すると、 特典のMIX CDと別冊ディスクガイドがもらえます。