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#エッセイ 記事まとめ

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noteに投稿されたエッセイをまとめていきます。
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2021年3月の記事一覧

チコちゃんカット

 「チコちゃんの前髪にしたい」とお子が言い出した。言うまでもなく、NHKのテレビ番組「チコちゃんに叱られる!」に出てくるチコちゃんだ。あの、おかっぱ頭の。

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人として好きな気持ちに 男も女も関係ない

息子のお友達が、ご両親に言ってくれた言葉です。 お友達は、息子と保育園時代からの親友です。 あまりに仲良しなので、保育園の年中さんの時に 「結婚する?」「うん」 と言っていたそうです。 でも それを先生方は咎めずに見守って下さってました。 同性なので、結婚は無理じゃないのかなぁ〜と思う反面、 これからは そんな価値観ではなく、 人として信頼し合って、パートナーになる可能性もあるのかも知れないな、と 感じていました。 保育園時代というのは、ある意味、純粋無垢です。 素直に 

お金を使って楽しむことに罪悪感をおぼえていた私へ

25才の1月。 社畜だった私は新卒で勤めた会社を辞め、次の仕事につくまでの間に、なんとなく台湾に遊びに行くことにした。 次の仕事や将来の目標も、何も決まっていない。 お先真っ暗とはまさに今である。 ただ「どうせならゆっくりすれば」という母の助言と、なけなしの退職金が台湾への往復航空券代とぴったりだったから、行ってみることにしただけ。 そんな適当な決断だった。 台湾は、一般的にどういう理解がされている国なんだろうか。 私は何も知らなかった。 例えば、台湾ではコインのよ

己の人生を追い求める父の人生ゲーム

数年前の冬。 実家に帰った時に、いつもあまりタイミングの合わない兄と私の帰省が重なり、珍しく家族が4人実家に揃うことがあった。 仕事の都合でお正月に休みを取れないこともある兄や、交通費が跳ね上がるため、帰省シーズンをずらして帰ったりする私。 両親は祖父の介護をしていたことなどもあり、ここ数年は各々が忙しい毎日を送っていた。 そんなわけであまり昔のように家族で団らんをするようなタイミングがなかったのだが、偶然が重なり、その年は数年ぶりに4人で落ち着いたお正月を迎えた。 ゆっ

さみしさだけで死ねない僕らは

さみしさだけで死ねたらどんなに楽だろう。 さみしさを抱えて生きるのはしんどい。 しんどいのに身体はふつうに健康だったり、社会的に自分の身体を傷つけることはタブーとされていたりして、なかなか死ぬのも楽ではない。 愛し愛される人に恵まれていたとしても、ふとした瞬間にさみしくなることはある。けれども、わたしがいなくなることをその人はとてもかなしむだろうから、勝手にいなくなるのもよくない気がする。 さみしさ、とは何だろう。 辞書を引くと、そこには、「あって欲しい物がない、居

シャツワンピースを着て試着室で泣いた話

 大学生の夏、バイトを終えた足で深夜バスの停留所へ向かった。  前輪と後輪のあいだにぽっかりと口を開けたトランクルームがある。荷物を預ける乗客が長い列を作っていた。  運転手が流れ作業のように長方形のトランクケースを次々に投げ入れているのを横目に、乗車口へ向かう。肩からかけたトートバッグはバスの中に持ち込むと決めていた。  乗車口へ行くと、特有の匂いが充満していた。久しぶりだな、と思いながら数段のステップを登る。発車まで音を立てて唸るエンジンの匂いか、いつ乗っても新品のような

退職日記終 よなす歩き出す

3月24日(水) 最終出社日。最終日なんてやることないだろうとタカを括って前日に「明日半休とっていいですか」と聞いたら「それは……ちょっと……」と苦笑された。これだからゆとりは困るな。 いろんな人に挨拶をしに行くと、何人かには「いいなあ、俺も辞めたいよ」と言われた。辞めればいいじゃないですか。思っていたよりは面倒くさかったけど難しくはないですよ。そう思っても言わない程度の分別がこの一年でついた。代わりに「そっか、退職金もらったことないんですね(笑)僕はもらいましたよ(笑)

合格発表からの帰り道、うつむく少女に贈る言葉

2021年3月2日。 在宅勤務が続く中、久しぶりに仕事で外出した。割と大きい仕事で、クライアントへのプレゼンがあった。 乗り換えするために降りたのはたまたま僕が通っていた高校の最寄駅で、たくさんの親子連れがいた。少し垢抜けない子が多かったのでひょっとしたらと思ってスマホを取り出して調べてみると、都立高校の合格発表日だった。 高校受験から15年近く時が経っていたことを少し感慨深く思って、乗り換えの電車に乗り込み席に腰掛けると、真正面にひと組の親子が座った。 中学3年生であろう