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#エッセイ 記事まとめ

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noteに投稿されたエッセイをまとめていきます。
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2019年9月の記事一覧

両手ひろげた分に幸せを

大切にしたい人がいる。 妻、それから家族。 仲間、憧れ、親切にしてくれた人。 ぼくは人よりもその範囲が小さいのかもしれない。「国を守る」なんていう大それたことは言えない。たくさんの人の先頭に立ってみんなを救うための行動を起こすことなんてできない。人には人の器がある。ぼくはきっと両手をひろげた分くらいの人たちしか大切にできないのだと思う。だからこそ、その中にいる人たちだけはどうしても守りたい。一人ひとりに対する想いがぎゅっと詰まっている。 木陰に落ちた小さな陽だまり。 そ

豪華客船たてこもりポテトチップス事件

むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。 ふたりは一緒にニューイヤークルーズに行く予定でしたが、おばあさんがボイコットしました。 そこでおじいさんは、おばあさんのかわりに、大学生の孫娘をさそいました。 そういうわけで、当時二十歳とすこしのわたしは、分不相応な船旅に赴くことになったわけです。 その当時、わたしは貧乏だった。 衣食住はまあ確保されていたけれど(食は若干あやしかった)、残高に50円と印字された預金通帳しかもっていなかった。(その50円をATM

弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった

高校から帰ったら、母が大騒ぎしていた。 なんだなんだ、一体どうした。 「良太が万引きしたかも」 良太とは、私の3歳下の弟だ。 生まれつき、ダウン症という病気で、知的障害がある。 大人になった今も、良太の知能レベルは2歳児と同じだ。 ヒトの細胞の染色体が一本多いと、ダウン症になるらしい。 一本得してるはずなのに、不思議ね。 「良太が万引き?あるわけないやろ」 ヒヤリハットを、そういう帽子だと思っていた母のことなので。 「ちゃうねん!あるんやて!」 ニコラスケイジ

寂しさで他人をコントロールしようとする人たち

作家のエージェント遠山怜です。誰にとっても他人事ではなくて確実にあなたの周囲で起こっていることで、そしておそらくあなた自身に関係している話をしたい。つまり寂しさとその諸々の変化球について。 数年前、ある飲み会に参加したときのこと。 ほとんど初めて会う人が揃う会で、参加者は探り探りコミュニケーションを取っているような場。そこである年配の男性が若い女性に声をかけていた。相互理解を深める、知り合った同士の初期の雑談として出身地の話をしていたのだが、その女性が京都出身だというとその

インド女一人旅〜ガンジス川沐浴編〜

ヒンドゥー教の聖地として名高いバラナシ。街に出ると牛のうんこだらけ。私の鼻はゴミと糞尿の匂いを常に感じていて、視覚、臭覚共に最悪、ひとことで言うならカオスでした。 バラナシのホテルに着いて、時間があったので近所のカフェで読者をして、日が落ちたらテラス席でガンジス川を見ながらビールを飲んで……。最初の印象がうんこの街にしては最高のスタートをきれました。 翌日はガンジス川にかかる日の出を見るために早起きすると決めていたのですが、1泊600ルピー(※日本円だと800 円くらい)

可能性は現実を凌駕する

ある種の人たちにとって、可能性はもはや実現するあらゆる未来よりも重要だ。 資本主義の子どもたちとは、物心ついた頃から「自己満足よりも他人を説得する普遍性のほうが強い」という力学を理解している人間たちのことであり、言ってみれば客観性におけるネイティブな存在である。 ある人の赤い花が好きだという思いは、また別の人の青い花の前が好きだという思いの前に無意味であり、両者の主観という名のちいさな領土は深い崖によって断絶されている。 そこで、「赤い花も青い花も選択できる庭」という可

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あなたはいま、書くのがたのしいですか?

ちょこっと思うところがあって書いてみますよ。 このタイトルにYes!と答えたひと、ハッピー!いいねいいね。そのまま書きまくってほしい。あなたにこのnoteは必要ないです。ほらほら、帰った帰った! でも、ちょっと即答できないひと。Noと答えたくなっちゃったひと。 どうしてそう思うんだろう。ちょっといくつか想定した答えと、それに対する回答を持ってきたので書きます。メンタル中心だけど、技術論もちょこっとだけ。もし気に入ったら採用してやってよ。 ・周りにすごい文章を書くひとが多

類は友を呼ぶけど、じゃあ対は何を呼ぶのよ?

類は友を呼ぶは的を得たことわざだと思う。 ”類“に該当する友人とはいつも会話に花が咲くし、考え方が似ているから一緒にいて楽だ。 学生のとき、タイプが似た子たち同士が集まって綺麗にグループ分けされていたけど、それは見渡す限り、社会にでてもさほど変わらないのだと思う。なんせ、居心地がいいのだ。 でも、私は最近 “対(ツイ)“も大切にしようと決めている。 類は友を呼ぶけど、 自分と違う考え方や生き方をしてきた”対”との接触は発見の宝庫だと気付いたのだ。 *** トロン

エビと共に生きる

乱世を生き抜く現代人のみなさんこんにちは 家事、仕事、学業、育児…その他にもさまざまな忙しさやストレスを抱え、人は生きています そんな中で、疲れを忘れさせてくれる「癒し」があったらいいと思いませんか? かくいう私も忙しなく生きる現代人のうちの一人。仕事からクタクタになりながら帰ったときに、自宅に疲れを忘れさせてくれる癒しがある生活をしてえな…と常日頃から思っています ふわふわで可愛いワンちゃんが家にいる生活には憧れますが、散歩をさせたりしつけをしなければならないの

未完の天才になるな

私の仕事は作家のエージェント。この仕事をしていることをいうと、相手の反応はだいたい3パターンに別れる。 1つは、「なんかよくわからないですね」という反応。これは仕事の内容が一般的ではないからしょうがない。2つ目には、敵意か賞賛を向けてくるパターン。何かと残念ながら悪い意味で話題の的になりやすい業界なので、「さあてどんなもんか確かめてやりましょうか」という腹づもりで探りを入れにくる人もいる。俺はこんなに業界のこと俯瞰的にわかってますよという自信のもと、練りに練られた秘蔵のダメ

父が亡くなった話

こんにちは。 実家が全焼したサノです。 僕の父は、アルコール依存症でした。 父は普段は心優しいのですが、 お酒を飲むと、知らない人と よく殴り合いの喧嘩をしていました。 いつも喧嘩をすると、 相手は無傷、父は血だらけでした。 それなのに父は 「今日も引き分けやったな・・・。」 と僕にだけ聞こえる声で 虚勢を張っていました。 そんな父なので、母はある日、 家を出て行ってしまいました。 それからしばらくは、 僕と父で二人暮らしをしていました。

35歳の誕生日を男に忘れられたので1人で銀座に寿司を食べに行った話

情けない話である。 別に35歳で結婚してないということや、好きな男に誕生日を忘れられたということが情けないんじゃない。 35歳にもなって男に誕生日を忘れられたことが悲しくて悔しくて意外とダメージをくらっちゃってる自分の幼きメンタルが情けないのである。 だって去年はあんなに楽しく祝ってくれたやん?日付が変わる30分前にプレゼント持って駆けつけてくれたやん?なんならつい最近あなたの誕生日を一緒に祝ったやん?なんで忘れる?なぁ、なんで忘れる?? この男は恋人なんかではない。

フォロワーほぼ0の無名アカウントがnoteに漫画を書いたらバズってyahooニュースにまでなった話

みなさんこんにちは。作家のエージェント遠山怜です。 先日、FNNプライムオンラインに寄稿させていただいたので、紹介させてください。8月の企画「SNSには魔物がいる」に寄せて書いたものです。noteの利用を開始して、生まれて始めて書いたウサギ漫画がバズってからの顛末を書きました。ネットで自分の考えや作品を発信していると思わぬ反応があったり、想像を超えた人とつながったりするものですが、実際に万単位のPVまで行くとどうなるのか?無名のアカウントでも拡散はあり得るのか?など、気にな