さよなら白い嫉妬たち。#ショートショート
しなければいけないことが八雲にはあった。
十五夜も近かったので、お月見団子を
つくることにした。
ボウルの中の純白の団子粉に水を、そろり
そろりと注ぐ。
さらさらだったものが こねていると、しっとり
してゆき ばらばらだったしろいものが
ひとつにねばってゆくのがわかる。
八雲にとって白はいつだって ここから
よそへでてゆくときのよそおいなのだ。
ひたすら、手のひらの上でまるめていると
なんだか 遠い日のお月見のあたりのことが
浮かんでくる。
みんなで暮らしていた頃