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朝日新聞出版 書籍編集部・ポプラ社 文芸編集部が語る「いま読みたい作品」──創作大賞RADIOレポート⑤ #創作大賞2023

4月25日にスタートした、日本最大級の投稿コンテスト「創作大賞」。第2回となる今回は15の編集部に協賛いただき、優秀作品は書籍化や連載など、クリエイターの活躍を後押ししていきます。

「参加しているのはどんな編集部?」「どんな作品を応募すればいいの?」というみなさんの疑問や悩みにお答えするため、協賛編集部をお招きしたTwitterスペースを毎週木曜日に配信中。6月8日は朝日新聞出版 書籍編集部からは四本倫子よつもとともこさん、ポプラ社 文芸編集部からは吉川健二郎よしかわけんじろうさんにご出演いただきました。

創作大賞では、朝日新聞出版 書籍編集部は「ミステリー小説部門」「恋愛小説部門」「お仕事小説部門」「エッセイ部門」の4部門で応募作の審査に、ポプラ社 文芸編集部は「ミステリー小説部門」の応募作の審査にご参加いただきます。

▼ 配信のアーカイブは下記よりお聴きいただけます。

朝日新聞出版 書籍編集部・ポプラ社 文芸編集部の特徴は?

朝日新聞社の子会社で出版物のジャンルは多岐に渡る

——朝日新聞出版 書籍編集部について説明をお願いします。

四本さん(以下、四本) 朝日新聞出版 書籍編集部は編集者が60名ほど在籍する大所帯で、ビジネス、一般書、新書、文芸、文庫、コミックと、実用書と児童書以外の本を刊行する部署になります。文芸に限ると、編集者は10名ほど在籍していますね。

文芸の編集部は『小説TRIPPER』という文芸誌を年に4回発行していて、この作品が1つの柱になっています。ほかにも朝日新聞社の子会社であることから新聞に連載された小説、週刊朝日(2023年5月末をもって休刊)の連載作などを単行本として刊行することが多いです。ヒット作を挙げると、昨年は小川哲さんの『君のクイズ』が「本屋大賞」にノミネートされ、つい先日「第76回日本推理作家協会賞[長編および連作短編集部門]」を受賞しました。9月に文庫化された辻村深月さんの『傲慢と善良』が現在累計57万部を突破しています。

児童書から一般書籍まで。本格参入した文芸でもヒットを飛ばす

——つづいてポプラ社 文芸編集部について説明をお願いします。

吉川さん(以下、吉川) ポプラ社は、創業当初から児童書を中心に出版していますが、2000年に一般書への参入もはじめました。当時はビジネス書や自己啓発書など、小説以外の作品を中心に刊行していましたね。

2006年には「ポプラ社小説大賞」という新人賞の公募をはじめ、現在は「ポプラ社小説新人賞」と名前を変えて運営をしています。また同年に文芸PR誌『asta』(現在は『季刊asta』として継続)を創刊。2008年には「ポプラ文庫」も創刊し、本格的に文芸への参入をはじめました。現在のポプラ社 文芸編集部は、編集者は兼任も含めると11名在籍していて、比較的小所帯です。

——ポプラ社はもともと児童向けの出版物が中心とのことですが、文芸のターゲット層も学生中心ですか?

吉川 主に40代以上の女性がメインの読者になります。ただ、児童書からだんだんと成長し、読書への興味が離れていく高校生や大学生、社会人も読めるような小説をつくろうとは、日々考えています。

——ヒット作を教えてください。

吉川 先ほどもお名前が挙がった辻村深月さんの『かがみの孤城』は、2018年本屋大賞でも1位をいただいて、昨年は映画も公開されました。現在は累計200万部を超える作品になっています。

また「第1回ポプラ社小説大賞」にご応募いただいた小川糸さんのデビュー作『食堂かたつむり』は、文庫なども含めて累計80万部を突破。ポプラ社初期の代表的な文芸作品となっています。実は小川さんは「第1回ポプラ社小説大賞」で入賞されていませんが、のちに編集者の1人が作品に惹かれ、デビューに至ったという背景があります。小川さんの弊社における最新作『ライオンのおやつ』も2020年本屋大賞第2位となり、ドラマ化もしました。

ほかのヒット作では、青山美智子さんの『お探し物は図書室まで』があります。本作は2021年本屋大賞第2位にランクインし、その後青山さんはなんと3年連続で本屋大賞にノミネートされる快挙。弊社では、3年連続の1作目『お探し物は図書室まで』と3作目にあたる『月の立つ林で』を刊行しています。

文芸作品ともう1つ、ライト文芸の作品も多く刊行しています。代表作は『余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話』という森田碧さんのデビュー作。こちらは刊行当時から大変な人気を集め、現在18万部を突破しました。シリーズ作品までも好調な売れ行きで、いまでは弊社のライト文芸ジャンルを牽引している作品ですね。

ジャンルや部署の垣根を超えて作品を届けていく

——さらに編集部の強みや特徴をくわしくおうかがいできますか?

四本 朝日新聞出版は、2008年に朝日新聞社の出版部門が独立した比較的あたらしい会社です。ただ朝日新聞社としてさかのぼると、新聞が創刊した年に文芸誌を刊行しているので、文芸部門の歴史自体は長いんですね。新聞の連載小説だと、直木賞を受賞した宮部みゆきさんの『理由』、映画化もされ発行部数が200万部を超える吉田修一さんの『悪人』などを刊行しています。

先ほど『小説TRIPPER』を紹介しましたが、もう少し特徴をお話しすると、こちらは95年に創刊した文芸誌です。一般的な文芸誌や小説誌とは異なり、純文学、エンターテインメントといったジャンルにはこだわらず、幅広い作品を掲載しています。ですので、既存のジャンルにとらわれない作品をご一緒できたらと思いながら、作家にお声掛けをしています。

——読者層の特徴はありますか?

四本 新聞で新聞連載小説を読んでいる読者の年齢層は高いと思います。ただ、ファーストタッチで幅広い世代に作品に出会ってもらいたいという思いで、昨年『web TRIPPER』を立ち上げました。単行本になるとおのおのの作家のファンの方を中心として作品が広がっていくので、読者の年齢層はあまり特徴がないかもしれません。

——『web TRIPPER』の特徴を教えてください。

四本 立ち上げたばかりなので、まだ大きな特徴はないかもしれませんが(苦笑)、紙の『小説TRIPPER』に掲載された作品をそのまま掲載しているわけではなく、オリジナル小説を載せています。

たとえば中山七里さんの『特殊清掃人』は『web TRIPPER』発の作品で、『小説TRIPPER』などの紙媒体には一切載ってない小説です。若い書き手の方にどんどんご執筆いただけるような場になればいいなと思っています。

——つづいてポプラ社 文芸編集部の特徴や強みについて教えてください。

吉川 ポプラ社 文芸編集部の強みは「連携力」がとても強いことでしょうか。夏木志朋さんの『ニキ』という作品の事例をご紹介します。この作品は「ポプラ小説新人賞」を受賞したものの、単行本の販売部数が我々の期待に届かなかったことがありまして。もちろん、全然売れなかったわけではないのですが、社内のだれもが「この作品はもっと多くのひとに読んでもらうべきだ」と、思っていたんです。

文庫化にあたっては「なんとしても、この作品をもっと多くの読者に届けたい」と、各部署からメンバーが集結。「より多くのひとに読んでもらうためには、どうしたらいいのか?」と、タイトルやカバー、プロモーションに至るまで議論を重ねました。

営業や編集、著者の夏木さんまでもが一丸となり、タイトルも『二木先生』と変えて発売した結果、10万部を超えるヒット作になりました。単行本でなかなか数字が出なかった作品が、文庫化でこれほど大きな部数へと成長した事例は、業界でも珍しいと思うんです。その点でいうと、この作品は弊社の一体感を発揮できたよい例ではないかと思います。

創作大賞で期待すること

——ポプラ社は自社で「ポプラ社小説新人賞」を、朝日新聞出版は協力というかたちで「林芙美子文学賞」を開催しています。それぞれ、新人発掘の場はお持ちですが、なぜ今回創作大賞に参加いただいたのか、理由を教えてください。

四本 ご紹介いただいた「林芙美子文学賞」は、基本的に純文学の作品をメインで募集する賞です。逆にいうと、エンターテインメントのジャンルの新人賞は、弊社にはありません。そのため創作大賞で、商業出版未経験の方とエンターテインメントジャンルの作品をつくる機会を得たいというのが、いちばん大きな理由です。

吉川 ポプラ社は毎年新人賞を開催していますが、賞の認知度や、同賞受賞者の活躍もあり、年々応募数や作品の質も向上していると感じています。一方で、ポプラ社小説新人賞は「児童書の出版社」=「温かみがある」「親子で読める」などのイメージを抱いて、作品を応募する方もふえている印象です。

私たちはパブリックイメージを考慮しつつも、イメージと異なる作品を刊行したい。せっかく今回は機会をいただけたので、ぜひチャレンジしようと思いました。また、青春ミステリであれば「ポプラ社」のイメージを守りつつ、刊行できると感じていて。というのも弊社のイメージ上、過激な内容の作品が刊行しづらい背景があり、そうした作品はそう多くないんです。でも当然ミステリは、人気の高いジャンルなので、いつかチャンスがあれば挑みたいと思っていました。

——朝日新聞出版は創作大賞で「ミステリー小説部門」「恋愛小説部門」「お仕事小説部門」「エッセイ部門」の4部門にて作品を募集中ですが、どういった理由で4部門と幅広くご参加いただくことになったのでしょうか?

四本 今回の創作大賞では、あまり弊社で出版していないSFやファンタジー以外の部門で、とにかく新しい才能と出会いたいと思って、幅広い部門に参加させていただきました。

物語のつくり方

人の心情を描くために「謎」がある作品が読みたい

——ここからは、物語をつくるにあたってのお話をおうかがいしていきます。まずは、両編集部にご参加いただいている、ミステリー小説についてお聞きします。「web TRIPPER」で公開されていた、求める作品像などをより具体的に書いたnoteでは「狭義ではなく、広義にミステリと思える作品」を期待しているとありましたが、具体的にどういうことでしょうか?

四本 ここでは「ある謎が物語を牽引している」ものを「広義のミステリ」と呼んでいます。「どんでん返しがないとミステリではない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、今回弊社はいわゆるサプライズにはこだわらず、「謎が物語を牽引している」のであれば、ミステリー小説と判断しますというメッセージです。それこそ殺人事件が起こらなくても、高度なトリックがなくても、大丈夫です。

——「謎が物語を牽引している」について、もう少し具体的に教えていただけますか?

四本 今村夏子さんの芥川賞受賞作『むらさきのスカートの女』を例にすると、まず「一体、むらさきのスカートの女を観ている<わたし>って、だれ?」という謎があって、その謎が物語を牽引しています。これも「広義のミステリ」といえると思っています。さらに物語に埋め込まれる謎は、謎解きのために用意されたというよりも、人物の心の動きを描くためにある謎だと考えています。

——事前の打ち合わせで、「謎がすばらしい作品がある」とうかがったのですが、くわしくお聞きできますか?

四本 6月16日(金)発売の『小説TRIPPER』2023年 夏季号で一挙掲載する、宮内悠介さんが書かれた長編「ラウリ・クースクを探して」という作品です。この作品は 1977年にバルト三国のエストニアに生まれた、コンピュータ・プログラミングの稀有な才能を持つラウリという男の子を探すという物語です。彼はソ連の研究所で活躍することを目指していましたが、ソ連は崩壊してしまって、夢が潰れてしまう。いま彼がどこにいるかわからない状況から、物語がスタートします。

物語は「ラウリを探す〈私〉」の視点からはじまるのですが、「ラウリがどこにいるのか」「探している〈私〉とはだれなのか」、という2つの謎が物語を牽引します。それぞれの謎が明かされていく過程で、ラウリの人生を通じて「生きるとは何か」や、「激動する社会と向き合うこと」といった問いを投げかけられるような作品です。ぜひこういう作品が読みたいですね。

——読者を惹きつける謎をつくるコツはありますか?

四本 「新しさ」は1つの大切な要素でしょうか。冒頭に挙げた『君のクイズ』は、クイズというジャンルでミステリが描かれている斬新さがありますよね。ただ新しくなくても、魅力的な謎はつくれると思っています。たとえば「人物の心そのものが謎」である場合。心情は環境や社会に影響される部分もあり、ある種その時代を反映することもできます。その辺をうまくすくいとって書いたら、魅力的な謎になるのではないでしょうか。

キャラクターが魅力的であれば、時代を超えても通用する

——ポプラ社が募集している「青春ミステリ」において大事な要素はなんですか?

吉川 弊社の作品で、昔から人気の高い江戸川乱歩さんの『少年探偵団シリーズ』があります。私も小学生のときに図書室でむさぼり読んだ作品ですが、このような作品からミステリに興味を持って、ミステリ好きになる方も多いと思います。

この作品に、大きな謎や高尚なミステリが潜んでいるかは、みなさんの判断にお任せしますが、1ついえるのは、キャラクターが非常に魅力的なんです。そのためいま読んでも、古さを感じずに惹きつけられてしまいます。

斬新なのは、名探偵・明智小五郎と変装の達人・怪人二十面相が直接対決するのではなく、明智は後ろに下がって、前面に出るのは小林芳雄少年率いる少年探偵団だというところです。

少年たちと大人が正々堂々と知恵比べをする。怪人二十面相も、少年らと真っ向から勝負をする部分が、いまでいう「エモさ」にもつながる気もします。こうした設定の妙が時代を超えても通用すると思いますし、現代版として何かに置き換えることによって、あらたなミステリが創出できるかもしれません。

——主人公が小中学生だと子どもは共感しやすい反面、大人に読んでもらうには多少ハードルが生じる気もするのですが、どうでしょうか?

吉川 やはり大人が惹きつけられるほどの伏線や、エンターテインメント性の高い骨太なストーリーラインが必要ですね。それらがきちんと配置されていれば、子ども大人問わず、十分たのしめる作品になると思います。

——ちなみに、先ほど「エモい」というワードが出ましたが、「青春ミステリ」に「エモさ」は求められていますか?

吉川 年齢的に私がいうと、ちょっと嘘くさいとは思いますが(笑)やはりいまって読者が「エモさ」に強い関心を持っているのは、確かだと思うんですね。

出版社としては、読者が求めているものに応えていきたい。具体的にどういう設定、お話であれば「エモさ」を表現できるのかは、難しいですが。少なくとも読者は「エモさ」が表現された小説を求めていると感じます。そういった若い読者に刺さるような作品を送り出せるかが、私たちの勝負の分かれ目だと考えていますね。

——最近「エモさ」が際立った作品で印象深かったものはありますか?

吉川 ミステリではないですが……最初にお話した『余命』シリーズは、一見すると荒唐無稽な設定ではありますが、すごくエモさを感じる部分があります。全作品を通して、お話の進め方は巧みですし、読み終えた後に感情を揺さぶられるのも、エモさにつながっていると思います。

題材に加えて、物語に切実なテーマが含まれているか

——朝日新聞出版は、創作大賞で4部門にて作品を募集中ですが、それぞれのジャンルでどういった作品を求められているのかおうかがいできればと思います。まずは「恋愛小説部門」についてです。編集部のメッセージでは「『大人』に向けた恋愛小説に出会えれば」と書かれていましたが、大人に向けた小説を書くときに大事なポイントはありますか?

四本 大人になると、仕事や家事などやらなきゃいけないことがふえて、恋愛だけをすることって難しくなりますよね。自分が恋と思っているものは本当に恋なのかと、自問自答することもある。そういった、恋愛を描くだけではない小説を読みたいと思い、大人に向けた恋愛小説というメッセージを書きました。

参考作品は、映画化もされた『あちらにいる鬼』で、著者の井上荒野さんの父親・井上光晴さん、母親、そして瀬戸内寂聴さんをモデルに、不倫をテーマにした作品です。この関係性は、ただ我々が知っている不倫では収まらない、不思議な関係性が書かれています。

先ほども挙げた辻村深月さんの『傲慢と善良』も、婚活で出会った男女のお話なのですが、この物語を通して恋愛だけでなく、なにかを選ぶということ、読者の価値観そのものが揺さぶられるような作品だと思います。恋愛「だけ」を書いている作品ではなく、こういった一歩踏み込むような恋愛小説が読みたいと思います。

——「お仕事小説部門」にも参加いただいていますが、どういう作品を期待していますか?

四本 ミステリ小説や恋愛小説と同じですが、お仕事だけではなく、毎日働いていて感じる「理不尽さ」など、お仕事にまつわる切実なテーマが含まれているといいなと思います。単なる仕事の説明や、裏話に留めるのはもったいないかと。

——「お仕事」といっても幅広い職種があると思いますが、職種設定でアドバイスがあれば教えてください。

四本 確かに職種が珍しい場合、ファーストインパクトはあるかもしれません。ただ仕事の裏話だけを書いても小説にはならないので、どんな職種であっても、何かテーマを含めるなどして、書くことが重要です。

——「お仕事小説」で、印象に残っている作品はありますか?

四本 朱野帰子さんの『わたし、定時で帰ります。』です。この小説は、タイトルにもあるとおりですが、当時は声高に言いにくかった「定時で帰りたい」ということを、ストレートに書いてくださいましたよね。だから多くの共感を得ましたし、いま「定時で帰りたい」と普通に言える社会になってきたと思います。こういうことがお仕事小説の役割や醍醐味なのだと感じました。

——ちなみに吉川さんは「お仕事小説」で、おすすめの作品はありますか?

吉川 少し変化球になるのですが、私は黒川博行さんの『後妻業』という作品がおすすめです。「後妻業」は職業とはいいませんが、本が刊行された後、実際に同じような手口で犯行を重ねていた女性が逮捕された事件もあって、衝撃を受けました。

特殊な職業のおもしろさだけではなく、黒川さんが書いた「後妻業と呼ばれる犯罪」に関係するひとたちの、底なしの欲望といいますか。老人男性の気持ちを自分に向けて、お金を稼ぐために手玉に取る。欲と欲のぶつかり合いですよね。この作品はエンターテインメントの力を借りて、人々の欲望について深く考えさせてくれます。そういう意味では、広義のお仕事小説ではないでしょうか。

——朝日新聞出版は「エッセイ部門」にも参加いただいていますが、おもしろい作品をつくるポイントがあれば教えてください。

四本 視点の深さやあたらしさが大事なポイントになると思います。たとえば内澤旬子さんの『身体のいいなり』では、内澤さんが38歳で乳がんになった体験をつづっています。がんの治療費などが1円単位で書かれているのですが、医療費がこんなふうにかかるのかと、大変驚かされました。

もう1つ、内澤さんが、がんになって自分の身体と向き合った結果、腰痛やアトピーなど、それまで自分の体にあった不調が消えていったというユニークな経験がつづられています。病気というと、辛くて苦しいイメージがありますが、むしろ筋肉もついて、健やかになった。まさに逆転現象ですよね。そういったあらたな視点や気づきを与えてくれる作品は、やはりおもしろいですよね。

質疑応答

Q1.フォロワー数やスキ数が少なくても、応募作に目を通してもらえるのでしょうか?

志村(創作大賞運営・noteディレクター) もちろんです。フォロワー数に関係なく、おもしろい作品であれば、編集部のみなさんに読んでいただけます。このことを前提におふたりからもメッセージがあれば、お願いします。

四本 フォロワー数が少なくても、原稿がおもしろければいくらでも読みたいですね。逆にたくさん読まれているからといっても、必ずしも商業出版できるおもしろさがあるというわけではないような気もするので、その辺はまったく気にしなくてよいと思います。

吉川 同じくです。弊社の小説新人賞も、応募いただいた作品は、編集者がすべて目を通すことをモットーにしています。今回の創作大賞に関しても、おもしろい作品はフォロワー数関係なく、読みたいと思います。

登壇者プロフィール

四本倫子よつもとともこ

朝日新聞出版 書籍編集部 文芸副編集長。「週刊朝日」「AERA」編集部を経て、2010年より書籍編集部。note内で運営している「web TRIPPER」では中山七里さん「特殊清掃人」、李琴峰さん「日本語からの祝福、日本語への祝福」を担当。昨年noteで全文掲載を実施して話題となり、2023年Yahoo!ニュース|本屋大賞ノンフィクション本大賞、講談社本田靖春ノンフィクション賞にノミネートした永田豊隆さん『妻はサバイバー』、芥川賞を受賞した今村夏子さん『むらさきのスカートの女』、講談社エッセイ賞を受賞した内澤旬子著さん『身体のいいなり』などを担当。

吉川健二郎 よしかわけんじろう

ポプラ社 文芸編集部 編集長。1974年生まれ。2003年ポプラ社入社。以来、小説・ノンフィクション作品などの編集を担当。


創作大賞のスケジュール

  • 応募期間     :4月25日(火)〜7月17日(月) 23:59

  • 読者応援期間:4月25日(火)〜7月24日(月)23:59

  • 中間結果発表:9月中旬(予定)

  • 最終結果発表:10月下旬(予定)

創作大賞関連イベントのお知らせ

【毎週木曜20:00〜】創作大賞RADIO
5月11日から週替わりで協賛編集部の担当者が出演し、求める作品像や創作のアドバイスなどをお話しします。

開催済みイベントのレポート

創作大賞説明会レポート ── 寄せられた質問に全部答えました #創作大賞2023

「フォロワーが多い人が有利?」「AIを活用した作品は応募できる?」などの質問に回答しています。

富士見L文庫(KADOKAWA)が語る「いま読みたい作品」──創作大賞RADIOレポート① #創作大賞2023

わたしの幸せな結婚』など人気の小説作品を抱える富士見L文庫にレーベルの特徴や、キャラクターの魅せかたなどをお聞きしました。

JUMP j BOOKS(集英社)が語る「いま読みたい作品」──創作大賞RADIOレポート② #創作大賞2023

『ジャンプ』とともに歩んできた小説レーベルであるJUMP j BOOKSに、お題として提示されたイラストの意図、イラストから物語を膨らませるポイントなどをうかがいました。

幻冬舎コミックス・文藝春秋コミック編集部が語る「いま読みたい作品」──創作大賞RADIOレポート③ #創作大賞2023

恋愛ものや、お仕事もの、コミックエッセイなど幅広いジャンルを手掛ける幻冬舎コミックスと文藝春秋コミック編集部に、日常を題材にした物語のふくらませかたなどをうかがいました。

Palcy(講談社)・マンガMee(集英社)が語る「いま読みたい作品」──創作大賞RADIOレポート④ #創作大賞2023

少女マンガや女性向けの作品を中心に掲載する、大人気マンガアプリ「Palcy」と「マンガMee」。「ヒキが強いとはどういうこと?」「エモで読者を引きつけるには?」など漫画原作に求めることをお聞きしました。

くわしくは、創作大賞 特設サイトをご覧ください。

text by 須賀原優希


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