創作大賞説明会レポート ── 寄せられた質問に全部答えました #創作大賞2023
4月25日にスタートした、日本最大級の投稿コンテスト「創作大賞」。第2回となる今回は、前回を大きく上回る13の編集部に協賛いただき、部門や応募方法なども大幅にアップデートしています。
本記事では、創作大賞に関する疑問や質問にお答えする説明会の内容を、(だいたい全文)文字起こしでお届けします。
▼ 配信のアーカイブはこちらから視聴できます。
出演
・志村優衣(noteディレクター/創作大賞の企画担当)
・萩原猛(noteディレクター/編集者)
・平野太一(noteディレクター/司会担当)
創作大賞の進化のポイント
志村 noteの街で生まれた作品たちが、その外にいる多くの人のもとにも届き、クリエイターの活躍の後押しの場所になるように……というコンセプトは変わりませんが、今年の創作大賞は、去年から大きくアップデートしています。大きく進化したポイントを3つに分けて説明します。
その1 : 13に増加した協賛メディアが、デビューを後押し
志村 協賛メディアの数が、昨年の3倍以上、13編集部になりました。編集部のカラーもさまざまです。一般文芸とよばれるジャンルが強い編集部もあれば、ライト文芸・キャラクター文芸が得意なレーベルもあります。PalcyやマンガMeeという、マンガアプリにも参加いただいています。
部門も9つ。
13の編集部が、オールカテゴリを除く8つの部門にそれぞれ協賛しており、作品の最終選考を行います。「創作大賞でこんな作品と出会いたい」というメッセージを特設サイトに寄せているので、ぜひご覧ください。
── なぜ今年は今年は部門をわけたのですか?
志村 昨年は部門を設けず、オールジャンル・なんでもありということで募集をしました。1万6,000件を超える投稿が集まったのですが、内訳でいうと、小説やエッセイがかなりの分量を占めていたんです。「小説やエッセイを本にしたい、デビューしたい」という方が非常に多いことを実感しました。
そこで、そうしたクリエイターと出版社が、より出会いやすい、マッチングしやすいような仕組みにするために、部門を細かく分けることにしました。クリエイターの皆さんは、自分の作品にあった部門や、選考をしてほしい編集部・レーベルが参加している部門に応募してください。
── 応募できるキャリアや年齢の制限はありますか?
志村 いずれの部門も、プロ・アマチュア不問ですので、はじめて賞に応募するかたも、プロのクリエイターとして活躍しているかたも大歓迎です。「高齢でも応募できますか?」と事前質問もありましたが、年齢の制限もありません!
その2 : 読者人気の高い作品には読者賞を進呈
志村 今年のあたらしい取り組みとして「読者賞」を設けました。応募期間から1週間長い、7月24日までの期間を「読者応援期間」として、その期間の読者の人気度をもとに、「読者賞」を進呈します。
── 読者の人気度とは?
志村 スキの数や、コメント数、読了率など複数の指標をもとに、総合的に判断いたします。この読者の人気度は、全部門の一次選考でも参考にします。
── そもそもなぜ、「読者応援」という制度をつくったのでしょう?
志村 noteというオープンな場所でやるコンテストなので、読者からの人気や応援を選考に反映するのは、ごく自然だと思うからです。また、読者の方にも、好きな作品を推すことで、創作大賞に参加してほしい、楽しんでほしいという思いもあります。
繰り返しますが、「数字だけを見て、中身は二の次」ということではありませんので、ご安心ください。
その3 : ジャンルにとらわれない作品も幅広く募集
志村 3つめの特徴は、ジャンルやカテゴリにとらわれない作品も「オールカテゴリ部門」で幅広く募集している、ということです。写真、動画、音声、ゲームのシナリオ、ビジネスの体験記、レシピなど、なんでもありです。
── 「オールカテゴリ部門」には、協賛はついていないんですね?
志村 応募された作品はすべてnote運営チームで選考を行い、優秀作品はメディアに紹介するなど、その後の活躍の後押しを行います。
noteはあらゆる創作活動を応援しているので、部門をもっと増やしたり、オールカテゴリ部門にも協賛をつけたり、といったこともいずれはやっていきたいと思っています。
ただ、今回は2回目ということもあり、まずは一つずつできるところから実現をしていこうということで、この形になりました。オールカテゴリ部門も盛り上げていくことで、第3回以降の進化につなげたいと思っていますので、こちらの部門にも、奮ってご応募ください!
創作大賞の開催背景
── 出版社の協力を得て行う投稿コンテストは、noteに限らず、他のサイトでもたくさんあります。(小説投稿サイトの)カクヨムの初代編集長を務め、今まで投稿コンテストにたくさん関わってきた萩原さんとしては、「創作大賞」は他のサイトのコンテストとは何が違うと思いますか?
萩原 noteにどんなイメージを持っているかって、たぶん人によってバラバラだと思うんですよ。ランキングも広告もないというところも影響していると思います。ということは、逆に言うと、何を投稿しても「場違い」にはならない。その反面、何を投稿しても「正解」にならないということ。
創作大賞をやるにあたって、複数のレーベル・出版社の皆さんに協力をいただいているわけですが、noteに色がないからこそ、視界がいいというか、出版社の顔がよく見えると思うんですよ。
どの部門に出せばいいか迷う人も多いと思います。特設サイトに寄せられている各レーベルのコメントを見ていただいて、「このレーベル・出版社から本を出したい!」というところに向けて出すのもあると思います。この「レーベルの顔のわかりやすさ」が、創作大賞とほかの投稿サイトのコンテストとの違いじゃないかなと思います。
応募方法にまつわる質疑応答
※ 実際の回答順とは入れ替えて記載しています。
Q1. すでに投稿してある過去の作品の再応募や、フォロワーが多い人が、読者選考では有利になるのでは?
志村 すでにnoteに投稿してある作品に、ハッシュタグを付け直して応募することもできますが、人気度の参考にする数値は、あくまでも4月25日〜7月24日までの読者応援期間中の数字です。過去についた数字の累計ではありませんので、「過去作だから有利」ということはない、と考えています。逆に、過去に投稿した作品を応募する場合は、あらためてSNSでシェアするなど、読者に伝える工夫をしていただきたいです。
また、PVやスキの数だけを見るわけではなく、「読者を最後まで惹きつけることができたか」という観点での参考になる読了率なども含め、複数の指標を総合的に判断しますので、どこか一つの数字が突出しているから有利、ということにもなりません。
「読者の人気度」はあくまでも、魅力的な作品をきちんと拾い上げるための参考指標です。応募するクリエイターの皆さんには、数字だけにとらわれず、「自分の渾身の作品を、読者に、ファンに届けたい」という思いで、参加してもらえると嬉しいなと思っています。
Q2. 小説でデビューしたいが、自分の書いている作品は4つのどのジャンルにも当てはまらない。どうすればいいですか?
志村 たとえば、作品の中に恋愛の要素が入っていたら恋愛小説部門に、お仕事の要素が 入っていたらお仕事部門にという風に解釈をし、応募していただくことはできるかなと思います。
ただ、このご質問をいただいた方は、出版を明確なゴールにされているんだろうなと思いました。出版する、つまり広く世の中の読者に届けることを目指すのであれば、この機会に、今回設けている部門、新しいジャンルに挑戦いただくのもおすすめしたいです。
Q3. SFやホラー作品はどの部門に応募すればいい?
志村 作品に入ってる要素によって部門を選んでいただくことももちろんできますし、各編集部からのメッセージを読んでいただいて、「ここにマッチしそう」だったり、「この編集部から本を出したいな」っていうところをめがけて応募していただくのも一つの選択かなと思います。
萩原 出版レーベルって読者と作者をつなぐ架け橋でもあるので、そのレーベルごとに、「こういう読者に届けるのが得意です」っていうのを持ってます。自分の作品をどのレーベルに預けると、自分の作品を読んでくれそうな人に届くか。その観点で選んでいくと、そんなに迷わないんじゃないかなと思います。
Q4. 絵と文章が混じる作品は、「コミックエッセイ」の作品には該当しないですか? この場合はエッセイ部門でしょうか?
志村 コミックエッセイ部門では、コマ割りされた、いわゆる「マンガ」の作品を募集しています。文章の中に絵が挿絵的に入る作品は、中身にもよりますが、エッセイ部門になるかと思います。
Q5. AIを活用した作品は応募できますか?
志村 ChatGPTなどAIを使用した作品はオールカテゴリ部門のみ、応募可能です。また、AIを使う場合も著作権を侵害しないよう、ご注意ください。
Q6. 俳句を応募したいです。俳句+エッセイの形式も検討しています。どのように応募するとよいでしょうか? また、句会(俳句の会)で発表した句や、会報誌に掲載された句は、応募してよいですか?
志村 記事の作成方法はおまかせしますが、複数作品を1つの記事にまとめていただいたほうが、読者がいろんな作品をまとめて味わえるのでおすすめです。読者にちゃんと読んで もらうというところが第一のステップになりますので、読者を意識して記事をつくっていただくことが大事です。
俳句+エッセイは、エッセイ部門またはオールカテゴリ部門に応募ください。出版を目指しているのであれば、エッセイ部門がおすすめです。
句会で発表した作品の応募は問題ありません。会報誌も、商業出版されているものでなければ、問題ありません。
萩原 会報誌のほうに特別な規約がないかは、ご確認ください。
Q7. 同人誌に掲載した作品は応募可能ですか?
萩原 同人誌で出している作品の権利は、クリエイター本人にあると思うので、応募可能です。
志村 ただし、二次創作作品の場合は、著作権の侵害をしていないか(著作権者の許可を得ているかどうか)をご確認ください。
Q8. 応募する作品数に制限はあるのでしょうか?
志村 ありません。10作品でも20作品でも、ご応募いただくことが可能です。ただし、一つの作品を複数の部門に応募することはできませんので、応募の際は部門を一つに絞って応募ください。
Q9. 記事を公開した後に応募する部門を変更することは可能でしょうか?
志村 7月17日までの応募期間内であれば、問題ありません。
Q10. 公開した過去の作品を編集した場合、審査対象になるのは再編集後のものになりますか?
志村 はい。審査対象となるのは、締め切りの7月17日時点で公開されている内容になります。
Q11. 1つの作品を複数の記事に分割して投稿する場合についての質問です。1記事目に、2記事目以降のすべてのページのリンクを記入する(たとえば、全部で4記事だったら、1ページ目に、2、3、4記事目のリンクをすべて記入する)という認識で間違いないでしょうか?
志村 間違いないです。選考の際に作品を読み逃すことがないよう、必ず全記事へのリンクを貼ってください。
Q12. 応募できているか確認するには、どうすればいいですか?
志村 応募いただいた記事の下部を確認いただき、「創作大賞2023」のバナーが表示されていれば応募できています。
Q13.オールカテゴリ部門の場合、1記事の文字数制限はありますか?(特設ページに最大2万字程度と書かれていたのですが、これは明確な規定になるのでしょうか?)
志村 2万字を1字でも超えたらダメ、ということではないですが、1記事に2万字以上あると読みづらくなるため、読者のためにも、2万字を超える場合は記事を分けてください。
Q14. 小説部門に応募する場合、1記事で2万字まで書くか、5000文字ずつ分けるかは参加者に委ねられると思いますが、細かく分けたほうがいいか、まとめたほうがいいかはあるのでしょうか。
志村 2万字の作品を1記事にまとめるか、細かく分けるかは、応募者にお任せしています。ただ、読者の読みやすなどを考えた上で、「2万字をいっきに読んだほうがおもしろい作品はまとめる」「数千字ごとにヒキをつくれるなら、次へ次へと読ませるように分ける」といった観点で、考えていただけるといいかなと思います。
Q15. オールカテゴリ部門について、音声投稿の場合、記事内にstand.fm のようなサービスを埋め込むことの審査対象になるでしょうか?
志村 音声や動画など、外部サービスのリンクを埋め込んで、それを鑑賞できるようになっていれば大丈夫です。ただし、その外部サービスを視聴する際に、登録や課金が必要だったりすると選考できなくなってしまいますので、その点はご注意ください。
Q16. 応募の際のハッシュタグの付け方は?
志村 1つの作品を複数記事に分けて応募する場合は、必ず全部の作品に「#創作大賞2023」のハッシュタグをつけてください。そして、1記事目にだけ、応募したい部門のハッシュタグをつけてください。
創作大賞の応募に関係しないハッシュタグ、たとえば「#小説」や「#イラスト」は、自由につけていただいて構いません。
Q17. 読者応援期間と応募期間がかなり重複していますが、やはり応募期間内に早めに投稿を始めた方が有利なのでしょうか。
志村 読者応援期間中の累積の数値を見るという観点では、早く投稿するほうが、読者が読む期間が長くなるので、有利になる場合もあるかと思います。ただ、作品次第、ケースバイケースではあります。
完成された作品を推敲を重ねて投稿するというのも、もちろん一つのやり方ではありますが、たとえば長編を書く場合に、分割して短いものをどんどん出していって、推敲の過程もエンタメ的に見せることで読者を惹きつけるというのもありだと思います。「いかに読者に楽しんでもらうか」という視点を持って、応募いただけたらと思います。
Q18. 以前他のコンテストに応募して受賞に至らなかった作品を、創作大賞に応募できるのでしょうか?
志村 他の投稿サイトやコンテストに応募した作品は、商業化していない作品であれば問題ありません。ただし、イラストストーリー部門は、今回のお題イラストに対して書かれた新作のみ応募可能です。
萩原 補足すると、基本的には、落ちてしまった作品は、何か理由があるはずなんです。もちろん、運がなかった、編集部との相性がよくなかったということもあるんですが、それ以外にも理由はある可能性が高いと思っています。
何作品でも応募できるから、新作を書くかたわら、過去作も出してみようというのであればいいです。ただ、「この作品で書籍化したい」ということであれば、見直して、人に読んでもらったりして、自分なりにブラッシュアップして ── 新作につくり替えるぐらいの覚悟でやってもらったほうが、結果的にはよくなると思ってます。
これは最近作家さんと話す中でよく出てくるんですけど、「創作って筋トレみたいなもんだよね」って。見たり書いたりっていうのを繰り返すことで、筋肉がどんどんついていく。いろんな本を読んで、映画を観て、あと人と会うのも ── そういうのを繰り返すことで、筋トレをする。そして作品を発表するっていうのが、ボディビルダー的にいうとステージに立つということ。
ステージって一瞬だけど、大事なのはその手前でどれだけのものを自分の中で積み上げているかだと思います。過去作は、筋トレを今のようにする前の作品になるはずなので、ここまでちゃんと創作と向き合ってきていたら、その頃より上手くなってるはずなんです。あらためて見直してみて、「ここはまだ直せるな」と思ったら、直していただいたほうがいいかなと思います。
Q19.最後まで書き上げられるか心配です。未完の作品でも応募できますか?
萩原 規約上は問題ありません。完結していなくても、編集者がおもしろいと判断したら、受賞の可能性もあります。しかし、基本的に物語の区切りはつけた方がいいと思います。未完の本を出版することはできないので、結果的には最後まで書かなきゃいけないんですよ。そこの「終わらせられるか」というスキルも含めて編集は見ると思います。そういう意味では、完成しているほうがいいと思います。
ただ、漫画の場合は例外だなと思っていて。連載漫画は、「ここで終わる」と最初から決まっているというよりは、連載の中で編集者と一緒に終わる場所を決めるケースもあるので、そういう場合は必ずしも完結している必要はないかと思います。
作品づくりにまつわる質疑応答
Q20. 萩原さんは編集者としていろんな作家さんの作品を読んできたと思いますが、「おもしろそう」に共通する要素ってなんでしょうか?
萩原 これはあくまで僕の観点でということだけでお答えさせていただきます。「おもしろい」ではなく「おもしろそう」ということであれば、もうそれは「イメージできるかどうか」。
本屋さんで本を買う人はよくわかると思うんですけど、中身を全部見て買わないんですよね。カバーを見て、帯のキャッチコピーを読んで、裏のあらすじを見て。それで買うかどうか判断すると思うんです。そうなると、そこから「おもしろそう」と感じられるかどうか。もう少し具体化すると、「期待できるかどうか」。「おもしろそう」という期待ができる作品。
僕は小説やアニメなど、いろんな作品の企画書を読むんですけれど、企画書の段階で期待できる……「こういう風になるんじゃないか?」という想像ができるか。そして、その想像を確認するためには、中身を読まなきゃいけないじゃないですか。確認したくなるから、買う。だから「おもしろそう」に共通する要素っていうのは、「期待できること」。
この「期待」っていうのは、「なんとなくおもしろそう」じゃなくて、具体的に「こういう人が、こういう風にして、こうなっちゃうんじゃないか」ということ。ホラーとかはすごく分かりやすくて、「このあとこの子はどうなっちゃうんだろう? 死んじゃうのかもしれないし、ひどい目に遭うかもしれない。でも頑張って生き残ってほしい」。こうした感情が先へ先へ読ませる動機になる。そういう具体的な期待を、入り口から見えているもの、つまりタイトルやあらすじから抱かせられるかというのが、重要になります。
Q21. 小説を書くときに押さえておくべきポイントはありますか?
萩原 まずは、書きたいものを明確にすること。「明確にする」っていうのは、自分はどういう作品を書きたいかということ。みんな、書いているうちにいろんなことを考えちゃうんです。「こういうのがいま流行ってるんじゃないか」とか。でも、書きたいものっていうのは自分の中にしかありません。
私の持論に近いんですけれど、みんな、何にもないところから物語を生み出したというよりは、日常の経験であったり、過去に見てきたもの、過去に見てきた作品からバトンタッチされて、書いていると思うんですよね。なので、自分の中にある、自分がかつて一番おもしろいと思った作品や、そのおもしろいと思ったポイントが、いま自分が書きたいと思ってることと繋がっていたりする。だからまずは自分と対話することが僕は一番重要かなと思ってます。
まず自分は何が書きたいのか。そして、書きたいものをどう届けるかは、次だと思うんですよ。どういう形で届けるかっていうのを次に考えて、組み立てていく。よく企画書とかプロットっていう言い方をするんですけれど、これは自分と対話したことを可視化するために書くんです。自分の中で、どういう流れで物語を進めていくかを整理するためにつくるもので、慣れていないのにいきなり一発書き文章を書くのは難しいので、設計図のつもりで書いてほしいですね。
Q22. 300文字のあらすじで、人を惹きつけるコツは?
萩原 あらすじって、本文を読むための「助走期間」だと思っています。10万字読むのって大変なんですよ。だからちょっと助走をつけたいですよね。「こんな作品だったらおもしろそうだな」「こういう内容だったらいいな」っていう期待があると、中身にスッと入れると思うので。本の冒頭っていうのは、それに応えてほしいなと思っています。
あと、これも僕の持論なんですが、人は本を読むときに頭の中で朗読してると思ってるんですよ。だから、よく「テンポ」って言われますけど、 朗読するときに、長文って読みづらいですよね。読む文章も一緒です。特にあらすじは300文字しかないので、歯切れのよさを重視して書いてました。勢いをつけて読ませたいところは体言止めを使ってみるとか。逆に、しっかり読ませたいところは文字装飾を多めにしてみるとか、メリハリつけて。
これは、エンタメ系を中心にした話になりますけど、映画のトレーラーを意識してしろ、っていう人もよくいますね。さっき話したことと同じで、映画のトレーラーって、期待させて、映画の中身を見てもらうための助走部分なので。たとえば、日常シーンから入って、いきなりバーンと差し込みが入って、そこから矢継ぎ早に展開して……とか。
僕も、1冊の本のあらすじを3パターンか4パターン書いて、自分で朗読して、他人にも読ませて、最後に1個決めるという風にやっていたので、何パターンか書いてみるのがいいと思います。
Q23. あらすじには結末まで書いたほうがよいですか?
萩原 結末まで書いたことによって、読者が「これを読んでみたい」となるか、結末まで書かないことで、「これを読んでみたいと」なるかという観点が大事かなと思います。どちらでも構わないですが、意思を持って決めてみてください。
Q24. あらすじは本の裏表紙にあるような読書欲をあおるようなものですか? それとも作品の起承転結を要約したものですか?
萩原 質問の意図はさきほどの「結末を含めますか?」と一緒だと思うんですが、この質問にちょっと回答を付け加えることができるなと思っています。起承転結を要約したものは ── 公募の新人賞だとこういうパターンが多いのですが ── 編集者目線で言うと、それだけでは全然足りていないです。起承転結を要約したものが、おもしろくないとダメ。あらすじは助走なので、あらすじ単体でエンターテインメントになっていないとダメ。
起承転結の順番通りに書く必要はないんですよ。本文を読みたくなっちゃう、そういうあらすじを書かなきゃいけない。今回もそうです。
最後に
志村 締め切りの7月17日まであと2ヶ月半くらいあります。たくさんの出版社・編集部の方に作品を見ていただけるチャンスなので、ぜひ自分の渾身の一作でチャレンジしていただきたいなと思ってます。
でも、これはコンテストでもあるんですけれども、創作のお祭りだとも思っていますので、まずは楽しんでいただけたら嬉しいです。
萩原 今回いろんなレーベルの方々にご協力いただいて、創作大賞を開催することができました。それぞれのレーベルからしても、新しい才能、新しい人の、新しい作品を読みたいというのは当然あるんです。今回はプロ・アマ問わないということで、プロの方でも普段とは別のジャンルに挑戦する機会になると思いますし、自分はこういうのを書いても楽しめるんだなっていう発見をしてもらう機会にもなると思う。
これはプロだけじゃく、デビューを目指す人も同じです。このレーベルに自分が書くなら……って普段書いているものにちょっと掛け算して考えて、ワクワクしたなと思ったらやってみる。そのぐらいの感じで参加していただけるといいなと思ってます。それが新しい扉を開くことになると思うので、そういった 作品を僕も読ませていただきたいです。
創作大賞のスケジュール
応募期間 :4月25日(火)〜7月17日(月) 23:59
読者応援期間:4月25日(火)〜7月24日(月)23:59
中間結果発表:9月中旬(予定)
最終結果発表:10月下旬(予定)
関連イベントのお知らせ
【毎週木曜20:00〜】創作大賞RADIO
5月11日からは、週替わりで協賛編集部の担当者が出演し、求める作品像や創作のアドバイスなどをお話しします。
【5/6(土)10:00〜18:00】noteオフライン創作会
創作大賞に応募したいと思っているみなさんを対象に、noteのイベントスペース(外苑前)を1日開放し、黙々と執筆を進められるスペースを用意します。人気作家の丸戸史明さん・津田彷徨さん・蒼月海里さんによるトークセッションや、萩原によるプロットのレビュー会なども行います。
【5/19(金)20:00〜】新川帆立さん。ミステリー小説の書き方、教えてください。
『別冊文藝春秋』編集部の特別審査員を務める作家の新川帆立さんによる小説講座を開催します。現地観覧の申し込みも受付中です。
詳しくは、創作大賞 特設サイトをご覧ください。