見出し画像

「親父が死んだ時、やっと自由になれたと思った」カリスマヒモが語った愛


10代からプロのヒモとして引く手数多の佐竹保城(やすき)さん。最近はそのヒモ生活を大手動画サイトで配信し、絶大な支持を得ている。
今回はそんな佐竹さんがヒモとなった経緯、ヒモとして生きていくことへの苦悩についてお話を伺った。

ー先日公開された、「ヒモの一日ルーティン」は50万再生を超え、ヒモのカリスマとしての地位は揺るぎないものとなっています。

佐竹:ヒモのカリスマって一般的には褒め言葉じゃないですよね(笑)
でもまぁ、僕にとっては嬉しい言葉です、はい。
動画は彼女が撮って上げてるんですよ。なんかそういうのが趣味みたいで。僕は何もしてないです。ヒモなんで。

ー徹底してますね。ヒモになろうと思ったきっかけはあるんでしょうか?

佐竹:きっかけですか...何もしたくないという気持ちだけでいたら、本当に何もしなくてよくなった、みたいな感じですかね。人間って与えてくれる人間にはすごく期待するのに、そうでない人間には何も期待しない。むしろ自ら与えようとすら思うみたいなんですよ。

ー佐竹さんがこの活動を始められたのは18歳。随分と達観した心持ちだったんですね。

佐竹:達観.....?そうですね、達観というかはわかりませんが、これからどうしよう、みたいな、そういう時期ではありました。
僕、中学生の頃に両親が離婚してるんです。原因は父のDVなんですけど。で、母親についていくことになって、でもその時にはもう母もなんかおかしくなっちゃってたんです。

ー母親からの壮絶な虐待については、本誌の357号でも語ってくれましたね。

佐竹:そうなんです。それでなんとかそこから逃れようと遠方の大学に行くわけなんですけど、親の援助がないからお金にはやっぱり困るわけで。最初は結構頑張ってバイトとかしてたんですけど、何ヶ月かしたらなんかどうでもよくなってバックれちゃいました。そのうち請求が溜まってきて、これどうしようかなと思ってる時に、同じサークルの先輩に同棲を持ちかけられました。

ーそれが最初の彼女ですね。

佐竹:そうです。特別好き、ってわけじゃないけど、嫌いなわけでもなかったので、同棲することにしました。彼女は僕の家のこともなんとなく知ってたので、結構優しくしてもらいました。愛を知らない子犬に愛を教える、的な楽しさもあったのかもしれません。育てゲー的な。

その時はまだ単発でバイトもしてて、それで滞ってた前の家の支払い関係を片付けました。
それで一応は穏やかな日々を送ることになったんですけど、ある日、大学に出てから連絡をとってなかった母親からLINEが来たんです。

ー突然の連絡、その内容は一体どんなものだったんでしょう。

佐竹:父親が亡くなったという連絡でした。元々アル中だったんですけど、離婚してからさらに悪化したみたいで、最後はアパートで一人死んでたみたいです。

ーその時は何か思うところはあったんでしょうか?

佐竹:うーん、感傷とか、そういった気持ち湧かなかったですね。ただ、やっと自由になれた、と思いました。

実際の話、高校を出た時点で家庭からは完全に切り離されてましたし、向こうも干渉してくるタイプじゃなかったので自由だったんですよ。でもやっぱり父の怒鳴り声とか、割と覚えてて、なんか自由だけど自由じゃない、みたいな心持ちだったんです。

でもその父はもうこの地球上のどこにもいない。僕はもう自由に生きていいんだと理屈じゃなくて、実感としてそういうものがありました。

ーようやく得た自由、そして本物のヒモになっていくわけですが

佐竹:これわかる人にはわかると思うんですけど、急に自由を与えられても、どうしたらいいのか分からないんですよ。今までは父の癇癪をやり過ごして、母のヒステリーを回避して、自由になるためのお金を稼いでって、なんだかんだ忙しかったんですけど、何も考えなくてよくなって、何をすればいいのか分からなくなりました。

それで、とりあえずその時々の彼女に養ってもらってぼーっと過ごしてたら、いつのまにかプロのヒモになってました。まぁ配信の力も大きいですね。僕は何もしてないのでビックリです(笑)

ーヒモを辞めたいと思うことはある?

佐竹:そうですね、やっぱり彼女もそうですけど、みんな一生懸命働いて生きてるわけで、僕も働いた方がいいのかなーみたいなことをうっすら感じることはありましたね。
実際その手のコメントも結構いただきますし(笑)

でも最近は、需要と供給が一致してたらいいんじゃない?と思います。
僕、彼女たちを愛してないわけじゃないんですよ。歴代の彼女は今でもみんな好きですし。その辺よく誤解されるんですけど。

本当に愛がない人と一緒にいられるほど、強いもんじゃないと思うんです、人間って。生活してたら色々ありますしね。

ヒモもヒモなりに使い道があるというか、誰かのためにそこにいていいとか、彼女たちの存在意義って言ったら大袈裟ですけど、そんなものになってるから成立してるのかなと思います。

▪️佐竹保城(さたけやすき)
1999年8月2日生
「ヒモと暮らしてみたら人生変わった」(鮎崎のあ著)のモデル。
配信サイトリルム:ヒモちゃんねる

※この人物はフィクションです。
全てのヒモに幸あれ

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?