【取材】人に寄り添う織物を手織りで
にしの:弓浜絣は、機械化をされることがなく、ずっと手織りで織られてきたと聞きました。手織りだからこそできること、手織りの魅力などはありますか。
佛坂:手織りって柔らかいというか、平面じゃない感じがするんですよね。立体物みたいになるというか。手紡ぎだからっていうのもあるかもしれませんが、デコボコがあるんですね。
にしの:たしかに。目で見ただけだと平面に見えるかもしれませんが、手でじっくり感触を確かめてみると、ほんの小さなデコボコがあるように思います。
佛坂:そうなんです。そういうデコボコがある方が体に馴染むんじゃないかな、と思っていて。人間の体の曲面やデコボコに織物のデコボコが添うというか、合さる具合というか、その方が気持ちいんじゃないかと思うんです。
にしの:なるほど。その目には見えない細やかなデコボコがあるからこそ、誰の肌にもフィットし、寄り添うのかもしれません。手織りのものを手にした時の温かみとは、こういうことなのかもしれませんね。
■profile
佛坂香奈子(Kanako Butsusaka)
1984年 鳥取県境港市生まれ
2007年 信州大繊維学部感性工学科卒業後、文化服装学院へ進学
その後、鳥取県弓浜絣後継者養成研修に従事
2010年 弓浜絣工房B開業(綿栽培、手紡ぎ、手括り、手織りをおこなう)
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