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『君たちはどう生きるか』の映画感想まとめ

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『君たちはどう生きるか』についてのすてきな映画感想をまとめるマガジンです。 #君たちはどう生きるか
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2023年7月の記事一覧

『君たちはどう生きるか』と、実際の宮崎駿の両親について(ネタバレあり)

宮崎駿の最新作『君たちはどう生きるか』は、宮崎の少年時代の自伝的要素を多く含んだ作品であり、父親が家の土間に戦闘機のキャノピーを並べる場面などは、かつて宮崎が語った自身の幼少期のエピソードまんまである。 そのせい…だけでもないだろうけど、本作は物語の設定や登場人物の説明をほとんど省略しており、特に重要な存在である両親については、モデルになったであろう実際の宮崎駿の両親を知らないと理解しづらい。 もちろん本作はあくまで「自伝的要素を含んでるファンタジー作品」なので宮崎の人生

私はどう考えたか【「君たちはどう生きるか」を観てきた話】

遅ればせながら、公開前にかなり話題になった、あの映画館に足を運んできました。 そうです。「君たちはどう生きるか」です。 宣伝をほとんどしなかった「千と千尋の神隠し」以上の「宣伝しない宣伝」に、ジブリの強さを感じつつ、ジブリという確固たるブランドがあるからこそできる荒技に、「何を発信するか」ではなく、「誰が発信するか」の重要性を改めて感じた。 まぁでも、素人が一流の食材を使って作る料理より、三つ星料理人が最後に作る晩餐の方が、何が来るかわからなくても食べたくなるもんね。む

君たちはどう生きるか、がめちゃめちゃ刺さった

のでアカウント作ったまま放置してたけど、ネタバレ有りでとにかく吐き出したかったので書く。 直後の感想はTwitterに吐き出したんやけど、まぁとにかく背景で、色で、表情で、動きで、音で、引き込まれた。最初のシーンだけで「映画館に観に来てよかった…!」ってなってたところに、そんなシーンの連続。 あのジブリ作品に似てる、とかそういう楽しみ方じゃなくて、とにかく物語の世界に引き摺り込まれて、これが…!私の求めていた…!読書体験…(読書じゃないけど)…!!ってなった。 小学生の頃

映画 君たちはどう生きるか 感想

「俺は何を見せられているんだろうか」というのが感想だろうか。 情報解禁しないっていうから、じゃぁ極力情報を入れないで見に行きました。#ネタバレ 防止でスペース空けておきます。公式サイトとかTwitterも無いので、ジブリとかジブリ美術館のTwitterで。 なんだろうな、宮崎駿の考えていることを作品から読み解かないと傑作というか面白みが感じられないということなら、たぶん俺は失格だろうな。 ということで、自分はこの作品にはハマりませんでした。 主人公に共感できなかったん

「君たちはどう生きるか」私の考察

いろんな人が書いているが私が感じたことを少しまとめてみたい。 この映画は一切の左脳的な情報を与えず、 見た人がどう感じるのかが大きな映画だと思うので まだ見ていない人は見てから読んでみて。 ネタバレになってしまうので。 この作品は宮崎駿監督のおそらく最後になるのでは? という長編アニメだ。 短編はまだ作るかもしれない。 引退宣言したものの、残しておきたいという思いから作られたのだろう。 いわば遺言のようなものだ。 前の「風立ちぬ」から10年たっているわけだから 次は難しい。

君たちはどう生きるか、考察にもならぬ感想。ネタバレあるのか?!

 出遅れましたが、6年間ほど費やし完成された82歳の駿が監督、脚本した本作観てきました。 広告、情報、キャッチコピー、パンフレットなどまったくないけど、どんな映画もそのように観るので無問題。 ジブリで化け物映画ばっか人生かけて作ってこられた駿に期待せざるをえない…ッッッッッッッッ どんなメッセージでも勉強させてもらうぜ、といった姿勢でした。めちゃくちゃ集中したなあ笑 もう色んな方が考察されてるし、考察するほど情報わかってないので細かいことは割愛 ザックリ、今までのジブリ

『君たちはどう生きるか』を観て、私たちはどう生きるか?

2013年、長編映画制作から引退することを表明した宮崎駿監督が『風立ちぬ』を世に送り出し、その4年後の2017年に再び長編作品を制作すると発表した。ジブリ作品を観て育った私にとってこの知らせは本当に嬉しい出来事だった。 10年という年月を経て公開された最新作は、前情報なしで公開され、その手法も人々を驚かせた。 謎の鳥の絵とタイトルのみが公表され、ティザーも制作されなかった。パンフレットさえも公開当日には発売されないという徹底した情報統制のもと公開日を迎えた。 この異例の

君たちはどう生きるかを感受性豊かなボカロPが見た感想

はじめに こんにちは。メグは空を見ると申します。ボカロPをやっている者です。 今回、宮崎駿監督最新作「君たちはどう生きるか」を見てきました。とても衝撃を受けました。エンドロールで涙しました。 これは、言語化するのが野暮である、頭ではなく魂で見る作品だと思いました。 だけど、自分が感じた感想を、他の人の考察を見る前に受け止めたままの感情を残しておきたいと思いノートを書きます。 ネタバレが難しい映画ですがぜひまっさらな状態で見てほしいので映画を見た人が読むのをおすすめします。

宮崎駿の最新作はラジカルアクセプタンスをテーマに?精神科医の考察

このブログの著者は、精神科医でありながらVR映像にも携わっています。 「君たちはどう生きるか」のストーリーは一部が理解しずらかったものの、 作り手が伝えたかったメッセージがとても強く感じられたので、それについて解説してみたいと思います。 (ネタバレは最小限に留めます。) まず、作品の大きなメッセージ「おれの生き様を見ろ!」ということ。 1)「引退宣言」しても「引退宣言撤回」したり、 2)多大な資金を必要であれば「(日本を除く)Netflixでスタジオジブリを見えるように」

映画『君たちはどう生きるか』見てきました。(ネタバレは最小限かな?!)

今日(2023年7月31日)は月曜日で、市内の映画館で安く見られる日なので(8月1日も1日なので多くの映画館で安く見られるのではと思います😃)、映画『君たちはどう生きるか』見てきました。ちなみに、私は小宮光二さんの動画(チャンネル名はKoji,s DeepMax)のお話を聞いて、この映画に興味をもちました。 宮崎駿監督と言いますか、ジブリ作品の婆さんの描き方とか健在ですね。また、カエルや鳥が気持ち悪いほどいっぱい出てきたりとか気色悪い感じも健在でした。久しぶりにジブリ作品を

わからないから、おもしろい映画がある

20代後半から30代、40代にかけて20年以上も映画にハマっていた時代があって、一年365日、それこそ寝ても覚めても映画のことしか興味がなくて、稼いだお金は全部映画祭やら一般公開されている映画のチケット代に飛んでいった。 性格的に、起承転結のはっきりした美しく結末の定まったアメリカ映画よりも、人間の感性に訴えかける、いわばわかりりにくいタイプのものが好きで、ゴダールはまさにそれだった。アラン・レネ的なタルコフスキーぽいものも、何を描きたいのかわからないままに、ただ観ていた。

【日記】「君たちはどう生きるか」レビュー

先日、2回目を観てきました。 賛否両論飛び交ってる今作ですが(というか否のほうが強めのよう…わたしの周りでは)、 正直に言います。めちゃくちゃ好きでした。 1回目も2回目も変わらず。 正直、1回目のあとにいろんな考察を見て「そういうことだったのか」「わたしの見方ってなんか違ってたのかも」と思ってたのですが、2回目を観たあとに「やっぱり好き!!」と確信。 正直わたしの見るポイントは人とズレてると思うし、ジブリは好きだけど監督について詳しくはないし、あのキャラは実は誰の

宮﨑駿監督作『君たちはどう生きるか』と日本の近代:悪意に満ちた「石」とその桎梏

※本記事はアニメ映画『君たちはどう生きるか』のネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください。  2023年7月14日、終戦記念日に先立つこと約一ヶ月、宮﨑駿監督作『君たちはどう生きるか』(以下、『君どう』と略記)が封切られた。『君どう』は一言で言えば、牽引力に溢れた挑発的なアニメ映画だった。一方で、多種多様なアニメーションの快楽に満ちている。うねる火炎、陰鬱とした屋敷、不気味な塔、不可思議な異界、集合物のうごめき(バラバラな動きのコントロールの妙)、グロテスクさ・滑稽さ・

「アオサギは火の鳥である!」君たちはどう生きるか考察

考察はこれにて一段落です(^^) 体系的な考察は以前の記事でやりましたので、今回はその取りこぼしを回収してお終いといたします。 ↓関連記事↓ アオサギは火の鳥 『火の鳥』は手塚治虫氏の作品で、 古代から未来まで、様々な世界を舞台に描かれており、それぞれのエピソードはそれぞれのエピソード内で完結しています。 物語上で唯一関連するのは永遠の命を持つ「火の鳥」と呼ばれる鳥が登場することです。 「火の鳥」の存在により、それぞれの独立した時間と世界は繋がっているということが分