精神科医あやママ

こんにちは、あやママです。 息子2人の育児をしながら、都内で精神科医をしています。医療のことだけでなく、子育ての悩みなど手助けになる情報を配信したいと思います。ご興味持っていただきましたら、フォローをお願いします。

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最近の記事

映画ジョーカー2『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』を精神科医が考察

今回は、アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)が「アーカム州立病院」に収容され、前作での罪について裁判を受ける設定の映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』を取り上げます。物語では、看守たちがジョーカーのジョークを求め、弁護士が妄想性障害や多重人格を主張して死刑を回避しようとします。そして、リー・クインゼル(レディー・ガガ)はアーサーの熱狂的ファンであり、2人は恋に落ちます。 精神疾患の症状はしばしば原因や持続理由が明確には分からず、原因探しが必ずしも意味を持たないことも

    • スクリーンタイムの罪悪感、英語学習アプリ「マグナとふしぎの少女」で解消!ママ精神科医のリアルな工夫

      「うちの子のスクリーンタイム、長すぎじゃない?」と心配している親御さん、多いのではないでしょうか。私もその一人です。児童精神科医として、よく「スクリーンタイムは1日2時間以内」とアメリカ小児科学会のガイドラインをお話ししていますが、実際のところ、我が子はそれ以上の時間を過ごしていることのほうが多く、罪悪感を感じてしまいます。 その罪悪感を少し和らげる方法は、子どものYouTubeやゲームの時間=英語学習とすることです。特におすすめなのが「マグナとふしぎの少女」という英語学習ア

      • 『インサイド・ヘッド2』と認知行動療法:コアメモリーと信念がどのように私たちを形作るのか

        ディズニー&ピクサーの映画『インサイド・ヘッド2』を観て、「私は良い人」という花が何を意味するのか、疑問に思った方もいるかもしれません。ここでは、認知行動療法を専門とする精神科医として、この映画に隠された心理学の深層に迫ります。映画が描く「中核信念」と「コアメモリー」の概念を解説し、私たちの心にどのように影響を与えるのかを探ります。 「私は良い人」の花が示すもの 映画の中で、「私は良い人」というのを表す「白い花」が登場します。これに関連するのが、認知行動療法で言う「中核信

        • ディズニー&ピクサーが描く心の世界:『インサイド・ヘッド2』の不安症と『インサイド・ヘッド3』のうつに迫る

          ディズニー&ピクサーの映画『インサイド・ヘッド2』が公開されました。 私は、認知行動療法や感情の研究を行い、支援方法のアプリなどを開発している児童精神科医です。この映画が「感情教育」以上に、「不安症に対する支援」という深い意図を持っているのではないかと感じましたので、その解説をしていきたいと思います。 インサイド・ヘッド3のテーマはうつ 『インサイド・ヘッド3』のトレーラーが公開され、次作での主人公ライリーの状態は「うつ」であることが明らかになりました。うつは、強い悲しみ

          「LINEの頻度あげたいときにも奥さんに料理してほしいときにも…応用行動分析で実現するコミュニケーション術」

          こんにちは、精神科医の蟹江絢子です。今日は「応用行動分析」を使って、コミュニケーションを改善する方法について解説します。 「LINEの返事が遅い」「奥さんにもっと料理をしてほしい」といった日常的な悩みについて、どのように心理学のテクニックを使うと良いかをご紹介します。 応用行動分析とは? 「応用行動分析(ABA)」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。ABAは、相手の行動を変えるために、「環境(きっかけ)」や「自分の対応(褒める、無視する)」を工夫する方法で

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          「人生をやめたくなったら、××と言ってね」精神科医ママが教える、自殺予防のヒント

          夏休みがもうすぐ終わりますね。実は、この時期は子どもたちの自殺リスクが高まると言われています。だからこそ、今、どうしても伝えたいことがあります。    自殺は「これをすれば絶対に防げる」という方法があるわけではありません。しかし、家族としてできる工夫はいくつかあります。今回は、私が心がけていることや、子どもとのコミュニケーションの方法をご紹介します。 1. 「子どもの名前をたくさん呼ぶ」 まず、日々意識しているのは「子どもの名前をたくさん呼ぶ」ということです。子どもに愛され

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          映画『関心領域』が問うのは、私たちの行動

          映画『関心領域』で描かれているのは、アウシュビッツ収容所から壁一枚隔てた家で暮らすアウシュビッツの収容所の長官の一家の日常です。 一見、幸せそうに見えます。この映画は何を伝えたいのでしょうか。 想像する映画だと言われていますが、私には「戦争へのあなたの態度を問う」強烈なメッセージ性のある映画だと感じました。 異常な世界で泣くのは当然か 映画ではずっと、不協和音が流れています。そしてよく聞くと、銃声、怒る声そして逃げるような叫び声、モーター音、エンジン音が流れています(実際

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          『インサイド・ヘッド2』が大人気の理由とは?感情科学とアートが紡ぐ生き方ガイド

          『インサイド・ヘッド2』が話題を呼んでいる背景には、感情科学の最新知見とアートの見事な融合があるのではと思います。この映画は、幼い子どもも、思春期の子も、大人も科学者も見応えがあるものになっていると思います。 感情科学を専門とする立場から、映画がどのようにして私たちの感情を巧みに描き出し、生き方をガイドしているのかを解説します。 今回のテーマは、「感情をコミカルに描いているのが面白い」という話です。 シンパイ (Anxiety) シンパイは、未来を計画し、準備するための重

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          『インサイド・ヘッド2』 の新キャラは大人になってくると表れてくる「二次感情」

          ディズニー&ピクサーは最近、大人向けの感情をテーマにした映画を多く制作しています。今回は、大人が泣けると言われている、日本で8月1日(木)に公開される映画『インサイド・ヘッド2』にでてくる感情ついて、精神科医が解説します。 『インサイド・ヘッド2』の製作者は、この映画のメッセージを「ダメなところも含めて自分を愛すること、すべての感情はいつか宝物になる」としています。 では、「すべての感情はいつか宝物になる」とはどのような意味なのでしょうか。なぜ、大人になった主人公ライリー

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          自分のにおいに悩む方へ:精神科医からのアドバイス

          自分のにおい(体臭や口臭)が他人を不快にさせているのではないかと悩んでいる方は多いかと思います。 しかし、医師としての立場から申し上げますと、すべての人が生きている以上、多少におうことは避けられません。そして、実際ににおいを気にしている方の多くは、あまりにおわない場合が多いのです。 最近、ある青年が「自分のにおいで人を不快にさせるのが怖いので、人から距離を置いています」と打ち明けてくれました。私はその青年に対し、こう尋ねました。「例えば、Aさんという人があなたのことを好き

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          精神科医が解説! 小説の凄み「ミシンと金魚」から学ぶ認知症

          永井みみさんの「ミシンと金魚」は、言葉の選び方と生き生きとした言葉づかいが印象的な素晴らしい小説です。認知症の方の視点で物語が展開されるこの作品からは、認知症について「とてもとても詳しい方」が書いたのだと感じさせられます。重いテーマを扱いながらも、愛に満ちたエピソードに泣けて、何度も読み返したくなる作品です。 今回は、この小説を例に、精神科医として認知症の症状について解説したいと思います。 記憶障害 記憶障害とは、「覚えられない(記銘)」「覚えておけない(保持、貯蔵)」「思

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          終わってない戦いはありますか?『ゴジラ−1.0』から学ぶトラウマと成長の心理学

          映画『ゴジラ-1.0』は、「生きて抗え」という強力なメッセージを伝える作品でした。   この作品は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を予防する映画となりえると感じました。この映画を通じて、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、心的外傷後成長(PTG:Post Traumatic Growth)、二次被害、サバイバーズギルトに焦点を当て、精神科医の視点から解説します。   注意:ネタバレを含みます!   【心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状】 主人公の敷島浩一 (演:

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          宮崎駿の最新作はラジカルアクセプタンスをテーマに?精神科医の考察

          このブログの著者は、精神科医でありながらVR映像にも携わっています。 「君たちはどう生きるか」のストーリーは一部が理解しずらかったものの、 作り手が伝えたかったメッセージがとても強く感じられたので、それについて解説してみたいと思います。 (ネタバレは最小限に留めます。) まず、作品の大きなメッセージ「おれの生き様を見ろ!」ということ。 1)「引退宣言」しても「引退宣言撤回」したり、 2)多大な資金を必要であれば「(日本を除く)Netflixでスタジオジブリを見えるように」

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          兄弟のライバル意識を減らすためには、お互いを褒めることを賞賛しよう。小児精神科医が考える子育てのヒント。

          兄弟のライバル意識を減らすためには、お互いを褒めることを賞賛しよう今回は、兄弟のライバル意識強すぎる時の対処法のお話です。 兄弟のライバル意識が強すぎて、頑張ってくれているのは良いのだけれど、ちょっと心配になることがあると思います。 兄弟間で素直に褒めあったり、称え合ったりできないときは、葛藤がある状態です。 「すごいな」と思う気持ちと、「すごいと認めたくない」という相反する思いの両方があるのです。そうすると褒められなくなります。 そんなときに、親が褒めあったり、称え

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          ウルトラマンポーズと「レベル〇〇」で子どものやる気を上げる。小児精神科医が考える子育てのヒント。

          子どもが何かに挑戦したいと言ったら、挑戦させてあげたいものです。 学年が上がったり、環境が大きく変わるタイミングは特に挑戦したいという気持ちが湧いてきます。 子どもが何か挑戦したいけれども一歩踏み出せない様子であったら、子どもの好きなキャラクターのポーズをさせるのです。 私の息子はウルトラマンが大好きなので、「ウルトラマンポーズ」と掛け声をかけて、そのポーズを取らせることで、一歩踏み出す勇気を出させています。 もう一つ有効的なのが、チャレンジにレベルを付けて言うのです

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          最近聞く、デジタル治療って何?

          最近「デジタル治療」と聞くようになりましたが、それは何?と思っていらっしゃる方をもいると思います。 「薬物治療」と言ったら、薬物つまりお薬で病気を治療をするということですよね。 「デジタル治療」と言う場合には、「デジタル、主にはアプリ」などで病気を治療するということになります。 「デジタル医療」、「デジタル治療」は新しい分野なので統一的な定義はありません。 一般的にいうと、デジタル医療、デジタル治療と行った時には、病気の診断・治療・予防に使われます。 (逆にデジタルツールと

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