精神科医あやママ

こんにちは、あやママです。 息子2人の育児をしながら、都内で精神科医をしています。医療…

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こんにちは、あやママです。 息子2人の育児をしながら、都内で精神科医をしています。医療のことだけでなく、子育ての悩みなど手助けになる情報を配信したいと思います。ご興味持っていただきましたら、フォローをお願いします。

最近の記事

映画『関心領域』が問うのは、私たちの行動

映画『関心領域』で描かれているのは、アウシュビッツ収容所から壁一枚隔てた家で暮らすアウシュビッツの収容所の長官の一家の日常です。 一見、幸せそうに見えます。この映画は何を伝えたいのでしょうか。 想像する映画だと言われていますが、私には「戦争へのあなたの態度を問う」強烈なメッセージ性のある映画だと感じました。 異常な世界で泣くのは当然か 映画ではずっと、不協和音が流れています。そしてよく聞くと、銃声、怒る声そして逃げるような叫び声、モーター音、エンジン音が流れています(実際

    • 『インサイド・ヘッド2』が大人気の理由とは?感情科学とアートが紡ぐ生き方ガイド

      『インサイド・ヘッド2』が話題を呼んでいる背景には、感情科学の最新知見とアートの見事な融合があるのではと思います。この映画は、幼い子どもも、思春期の子も、大人も科学者も見応えがあるものになっていると思います。 感情科学を専門とする立場から、映画がどのようにして私たちの感情を巧みに描き出し、生き方をガイドしているのかを解説します。 今回のテーマは、「感情をコミカルに描いているのが面白い」という話です。 シンパイ (Anxiety) シンパイは、未来を計画し、準備するための重

      • 『インサイド・ヘッド2』 の新キャラは大人になってくると表れてくる「二次感情」

        ディズニー&ピクサーは最近、大人向けの感情をテーマにした映画を多く制作しています。今回は、大人が泣けると言われている、日本で8月1日(木)に公開される映画『インサイド・ヘッド2』にでてくる感情ついて、精神科医が解説します。 『インサイド・ヘッド2』の製作者は、この映画のメッセージを「ダメなところも含めて自分を愛すること、すべての感情はいつか宝物になる」としています。 では、「すべての感情はいつか宝物になる」とはどのような意味なのでしょうか。なぜ、大人になった主人公ライリー

        • 自分のにおいに悩む方へ:精神科医からのアドバイス

          自分のにおい(体臭や口臭)が他人を不快にさせているのではないかと悩んでいる方は多いかと思います。 しかし、医師としての立場から申し上げますと、すべての人が生きている以上、多少におうことは避けられません。そして、実際ににおいを気にしている方の多くは、あまりにおわない場合が多いのです。 最近、ある青年が「自分のにおいで人を不快にさせるのが怖いので、人から距離を置いています」と打ち明けてくれました。私はその青年に対し、こう尋ねました。「例えば、Aさんという人があなたのことを好き

        映画『関心領域』が問うのは、私たちの行動

          精神科医が解説! 小説の凄み「ミシンと金魚」から学ぶ認知症

          永井みみさんの「ミシンと金魚」は、言葉の選び方と生き生きとした言葉づかいが印象的な素晴らしい小説です。認知症の方の視点で物語が展開されるこの作品からは、認知症について「とてもとても詳しい方」が書いたのだと感じさせられます。重いテーマを扱いながらも、愛に満ちたエピソードに泣けて、何度も読み返したくなる作品です。 今回は、この小説を例に、精神科医として認知症の症状について解説したいと思います。 記憶障害 記憶障害とは、「覚えられない(記銘)」「覚えておけない(保持、貯蔵)」「思

          精神科医が解説! 小説の凄み「ミシンと金魚」から学ぶ認知症

          終わってない戦いはありますか?『ゴジラ−1.0』から学ぶトラウマと成長の心理学

          映画『ゴジラ-1.0』は、「生きて抗え」という強力なメッセージを伝える作品でした。 この作品は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を予防する映画となりえると感じました。この映画を通じて、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、心的外傷後成長(PTG:Post Traumatic Growth)、二次被害、サバイバーズギルトに焦点を当て、精神科医の視点から解説します。 注意:ネタバレを含みます! 【心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状】 主人公の敷島浩一 (演:

          終わってない戦いはありますか?『ゴジラ−1.0』から学ぶトラウマと成長の心理学

          宮崎駿の最新作はラジカルアクセプタンスをテーマに?精神科医の考察

          このブログの著者は、精神科医でありながらVR映像にも携わっています。 「君たちはどう生きるか」のストーリーは一部が理解しずらかったものの、 作り手が伝えたかったメッセージがとても強く感じられたので、それについて解説してみたいと思います。 (ネタバレは最小限に留めます。) まず、作品の大きなメッセージ「おれの生き様を見ろ!」ということ。 1)「引退宣言」しても「引退宣言撤回」したり、 2)多大な資金を必要であれば「(日本を除く)Netflixでスタジオジブリを見えるように」

          宮崎駿の最新作はラジカルアクセプタンスをテーマに?精神科医の考察

          兄弟のライバル意識を減らすためには、お互いを褒めることを賞賛しよう。小児精神科医が考える子育てのヒント。

          兄弟のライバル意識を減らすためには、お互いを褒めることを賞賛しよう今回は、兄弟のライバル意識強すぎる時の対処法のお話です。 兄弟のライバル意識が強すぎて、頑張ってくれているのは良いのだけれど、ちょっと心配になることがあると思います。 兄弟間で素直に褒めあったり、称え合ったりできないときは、葛藤がある状態です。 「すごいな」と思う気持ちと、「すごいと認めたくない」という相反する思いの両方があるのです。そうすると褒められなくなります。 そんなときに、親が褒めあったり、称え

          兄弟のライバル意識を減らすためには、お互いを褒めることを賞賛しよう。小児精神科医が考える子育てのヒント。

          ウルトラマンポーズと「レベル〇〇」で子どものやる気を上げる。小児精神科医が考える子育てのヒント。

          子どもが何かに挑戦したいと言ったら、挑戦させてあげたいものです。 学年が上がったり、環境が大きく変わるタイミングは特に挑戦したいという気持ちが湧いてきます。 子どもが何か挑戦したいけれども一歩踏み出せない様子であったら、子どもの好きなキャラクターのポーズをさせるのです。 私の息子はウルトラマンが大好きなので、「ウルトラマンポーズ」と掛け声をかけて、そのポーズを取らせることで、一歩踏み出す勇気を出させています。 もう一つ有効的なのが、チャレンジにレベルを付けて言うのです

          ウルトラマンポーズと「レベル〇〇」で子どものやる気を上げる。小児精神科医が考える子育てのヒント。

          最近聞く、デジタル治療って何?

          最近「デジタル治療」と聞くようになりましたが、それは何?と思っていらっしゃる方をもいると思います。 「薬物治療」と言ったら、薬物つまりお薬で病気を治療をするということですよね。 「デジタル治療」と言う場合には、「デジタル、主にはアプリ」などで病気を治療するということになります。 「デジタル医療」、「デジタル治療」は新しい分野なので統一的な定義はありません。 一般的にいうと、デジタル医療、デジタル治療と行った時には、病気の診断・治療・予防に使われます。 (逆にデジタルツールと

          最近聞く、デジタル治療って何?

          色彩感覚も子どもの頃に鍛えた方が良いらしい。小児精神科医が考える子育てのヒント。

          今回は、幼児教育とクリエイティブについての小話です。 「モンテッソーリーってどう思う?」と、子育て中の友人から度々質問されます。 私は、モンテッソーリについて日本語で書かれてい本は一通り読みました。 (モンテッソーリとは、イタリアのローマで医師として精神病院で働いていたマリア・モンテッソーリによって考案された教育法です。モンテッソーリ教育法においては、子どもたちは生まれながらにして知ることを強く求めているというもので、自発的に学び始める力を持っているとしています。) モン

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          多様性は相手の文化を学ぶということ。小児精神科医が考える子育てのヒント。

          多様性は相手の文化を学ぶということ多様性の感覚は一晩で身に付くものではないと思います。 友達や患者さんについて、「文化」が知らないせいでよく理解ができていないなって思ったら、そのことについての映像だったり書籍だったりを見るようにはしています。 LGBTについて知りたかったら、海外のドラマを見ます。 ある宗教について知りたかったら、本を読みます。 趣味のサークルで悩んでいる人がいたら、その趣味ってどんなものなのか漫画を読みます。 自分が当たり前だと思っていることが、もし

          多様性は相手の文化を学ぶということ。小児精神科医が考える子育てのヒント。

          「医療」と「テクノロジー✖️クリエイティブ」の架け橋になりたい。精神科医の私がデジタル治療を開発する理由。

          私は、医療とテクノロジー✖️クリエイティブの架け橋になるような存在になりたいと考えています。小学生の頃から私は、「派手なグループ」と「静かなグループ」の橋渡し的な存在でした。 精神科医になってからも気がつくと、「研究」と「(患者さんを診る)臨床」の架け橋であったり、「精神科医」と「心理職」の架け橋をしていました。 両方の立場から見て、どうしたらwin winの関係を作れるのか考えるのが好きなんだと思います。また「えいっ!」って他の領域にも臆せず飛び込んでしまうところもあり

          「医療」と「テクノロジー✖️クリエイティブ」の架け橋になりたい。精神科医の私がデジタル治療を開発する理由。

          オンラインのカリスマ先生✖️モチベーションを上げてくれるリアルな先生がいれば最強。小児精神科医が考える子育てのヒント。

          カリスマの教えるのが上手な先生(オンライン)と、モチベーションを高めてくれる先生(リアル)がいれば最強です。子どもたちはのオンライン教育でわかってきたことは、 カリスマの教えるのが上手いオンライン上の先生と モチベーションを高め寄り添ってくれるリアルの先生がいれば最強だということです。 現在、仕事で作っているVRも わかりやすく教えてくれるVRの先生と共感してくれてモチベーションを高めてくれるリアルの先生をイメージして作るのが良いのではと思っています。 子どもたちの周り

          オンラインのカリスマ先生✖️モチベーションを上げてくれるリアルな先生がいれば最強。小児精神科医が考える子育てのヒント。

          自分に余裕がないことはどうしたら分かる?精神科医の考える生きるのが少し楽になる方法。

          「自分に余裕がない」ことはどうしたら分かるようになりますか?と聞かれることがあります。認知行動療法としては、セルフモニタリングが大切ですというのが答えになりますが、 簡単に確認できる方法を一つお伝えします。 「数字をランダムに言ってみて」と言われて、ランダムに言うことができたら余裕あるということです。もしも本人はランダムに言っているつもりなのに、順番になっていたら余裕ないということなのです。 ランダムに言える、つまり、「遊びがある」状態は余裕があると言えます。 ランダ

          自分に余裕がないことはどうしたら分かる?精神科医の考える生きるのが少し楽になる方法。

          優しい社会をつくりたい。精神科医の私がデジタル治療を開発する理由。

          「優しい社会をつくりたい どうして「私」がデジタル治療を開発しているのか」についてお話します。「優しい社会をつくりたい」と考えると、なんだか泣けてきます。これは私がずっと願ってきたことなのです。 子どもの頃から感受性の強すぎる私にとって、社会は「そんなに優しくない」ところでした。「社会ってそんなに優しくないな」「自分がみんなに優しくしていたら、自分自身が潰れてしまうな」と思う場所でした。 (精神科医になりたいと決めてからは、脇目も触れず「私は理系だ」「医者になりたいって決め

          優しい社会をつくりたい。精神科医の私がデジタル治療を開発する理由。