精神科医が解説! 小説の凄み「ミシンと金魚」から学ぶ認知症
永井みみさんの「ミシンと金魚」は、言葉の選び方と生き生きとした言葉づかいが印象的な素晴らしい小説です。認知症の方の視点で物語が展開されるこの作品からは、認知症について「とてもとても詳しい方」が書いたのだと感じさせられます。重いテーマを扱いながらも、愛に満ちたエピソードに泣けて、何度も読み返したくなる作品です。
今回は、この小説を例に、精神科医として認知症の症状について解説したいと思います。
記憶障害
記憶障害とは、「覚えられない(記銘)」「覚えておけない(保持、貯蔵)」「思