【気になる生態】 #17 世界一”臭い鳥”のサバイバルスキル 「ツメバケイ」
「世界一〇〇な鳥」では速さや大きさなど目に見えて分かりやすいものが取り上げられることが多いのですが、では皆さんは世界一”臭い”鳥を知っているでしょうか。
それがツメバケイです。
日本に住んでいる鳥ではないため、その存在を身近に知ることはないのですが生息する南米では臭い鳥として認知されているみたいです。
では一体なぜツメバケイは臭いのか。
答えはツメバケイの食性にありました。
ツメバケイは鳥類でも珍しく葉っぱを食べるため、その消化器官が他の鳥とは違うところに理由があるようです。
本来一時的に食べ物を蓄える器官(そ嚢)が発達していて、葉を消化するために微生物の助けを借りて消化します。牛などの草食動物によく似たシステムです。
この消化器官における発酵がとてつもない臭いの原因になっているそうです。
また、そ嚢の大きさが体の3分の1を占める大きさと言われていて、それ故に飛ぶ能力をほとんど失っています。しかも消化に40時間もかかるため基本休んでいます。
生き残るために葉を食べることを選択し、そしてそのために飛行能力を捨てざるを得なかった中で臭さという防御力を生み出したんですね。
色々なものが混ざり合って彼らが生き残ってきたんだなということを感じます。
そしてなんとこのツメバケイ、驚くべき能力をまだ備えています。
その生態は雛の時だけ現れるのですが、翼から爪が生えているのです。
これが爪羽鶏(ツメバケイ)の名前の由来にもなっています。
この爪の本領が発揮されるのは天敵に襲われた時で、ツメバケイの雛は川に飛び込んでその場をやり過ごし、しばらくして爪を使い木を登って巣に戻るそうです。
潜水機能にも驚きですが。。。
自然界において鳥の雛が巣から落ちた場合、本来生存確率はぐっと下がりますが、ツメバケイに関していえばその心配はなさそうです。
ただ最強のアイテムとも呼べるこの爪ですが、2〜3週間くらいで消失するそうです。
大人になっても絶対必要なものだと思うのですが、めちゃくちゃ謎です。
色々調べた結果の憶測なのですが、まず雛は生まれたばかりの時にはそ嚢に微生物を蓄えていないため、親が食べて分解した葉をもらうことで微生物との共存が始まるそうです。
なので生まれたばかりの雛は臭くないということになります。
だからこそ親よりも雛が襲われる確率が上がるため、その身を守る手段として爪というものが一時的に備わるのかもしれませんね。
しかしここまで特殊能力を備えている鳥はいないのではないでしょうか。とてつもなくサバイバル能力に長けている鳥ということに驚かされるばかりでした。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!
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