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【気になる生態】 #33 人を恐れない神の鳥「ライチョウ」

長野県のお土産といえば、信州そばやおやきだったり名産品がたくさんありますが、なぜか記憶に残っているのが「雷鳥の里」というお菓子。

子供の頃はそんなかっこいい名前の鳥がいるんだなといった感じでしたが、今になってどんな鳥なのか気になりました。

今回はライチョウの生態について紹介していきます。

氷河期の生き残り

標高2000m以上の高山帯に生息するライチョウですが、今から100万年前の氷河期にまだ陸つづきだった北半球の寒い地域から日本にわたってきたと言われています。

やがて氷河期が終わり、地球があたたかくなりはじめた頃には日本列島がすでに大陸と離れてしまっていました。そこでライチョウは寒冷な気候の山岳地帯に移りすみ独自の進化を遂げてきました。

そのためライチョウは世界各地の寒冷地にいますが、日本のライチョウは分布の南限に位置しています。また、場所によって生態も異なり他の国のライチョウは海辺に暮らすものもいるみたいです。

人を恐れない神の鳥

古くから日本人は富士山をはじめ山というものに対して信仰が厚く、山の自然を大切にしてきました。そうなると高山にいるライチョウも縁起物の鳥として崇められてきました。

長い間人間に襲われることがなかったライチョウは人間への警戒心がなくなったと言われています。

海外のライチョウは警戒心が強く、近くで見ることができないそうです。

日本の山岳信仰が生んだ生態とも言えますね。

衣替え

季節によって羽が変わる動物は多くいますが、ライチョウはなんと一年に3回も羽を変えます。

冬は雌雄ともに真っ白、春は雄が黒、雌が茶色のまだら模様になります。また、秋になると雌雄ともに灰色に変化します。ただし、お腹と翼の色は一年中白いままです。

 山の景色も四季によって変わるため、体の色を変えることで、敵から身を守るための 保護色になると言われています。特にメスは子どもを育てるためにオスよりもっと目立たない色をしています。

もともと飛ぶことを得意とする鳥ではありませんが、冬のライチョウはめったに飛ぶことはなく、歩いたり雪の中でじっとして体力を温存するようです。また、ライチョウは脚に羽毛を持っていて、他のキジ類にはない特徴を持っています。

天敵の増加

絶滅危惧種となっているライチョウですが、その背景には今まで天敵の少なかった高山へ多くの動物が生活エリアを拡大していることが理由の一つとなっています。

開発などによって、どんどんと高山に追い込まれてしまったが故に、ライチョウも捕食対象となってしまったのです。

ライチョウを襲う生き物で、最も捕食圧が高いのはキツネと考えられています。捕食跡には羽毛が散乱していますが、羽軸についた噛み跡や近くに残された獣フンから、多くの場合がキツネによる被害だと推測できます。ライチョウと同様、冬に白く色変わりするオコジョは、高山を代表する獣です。オコジョは、ライチョウの巣を見つけて卵を持ち出したり、そのヒナや幼鳥を襲います。ハヤブサの仲間のチョウゲンボウは、高山帯にも生息域を持つ鳥ですが、近年繁殖したようで、周辺のライチョウの家族が襲われてヒナが全滅したこともあります。カラスもライチョウの巣を襲い、卵を持ち出す様子が観察されています。

https://raicho-mimamori.net/jp/ecology/lifespan.html

以前ライチョウを保護する活動を紹介するTV番組の中でチョウゲンボウに狙われるライチョウの映像を見かけたのですが、他にもこれだけの天敵がいたことに驚きました。

チョウゲンボウ

飛ぶことをあまり得意としていないライチョウだからこそ、季節に合わせて羽を変えることは欠かせないのです。

最後に

数が減ってしまったライチョウですが、環境省や動物園などが日々保護活動や、繁殖を試みています。

これは人間に対して警戒心のないライチョウだからこそ取り組めることかもしれません。

生息地域が限られているからこそ、少しでも今後ライチョウの数が増えることを願っています。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!


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