【気になる生態】 #25 取り外せるクチバシ!? 「エトピリカ」
中学校の頃に上級生が合唱コンクールで歌っていた曲に「エトピリカ」という曲がありました。(情熱大陸のテーマソング「エトピリカ」とはまた別の曲です)
その歌がとても耳に残る曲でそれをきっかけにエトピリカってなんぞやと調べて驚いた覚えがあります。
エトピリカはアイヌ語でくちばしの美しい鳥という意味です。
しかしなんて不気味なクチバシの鳥なんだというのが第一印象。
今回はエトピリカのクチバシの謎をを紐解いていこうと思います。
なぜこんなに短く分厚いのかという疑問なのですが、理由は子育てにありました。
エトピリカは繁殖期以外はほとんど海の上で過ごす海鳥です。そしてイナゴやニシンなどの小魚を餌としています。
ペンギンなどの海鳥は一般的に子供に対して、自分が一度食べたものを消化して与えるのですが、なんとエトピリカの赤ちゃんは生まれた時から小魚を食べて育ちます。
そのためエトピリカは何匹もの魚を雛に与えなければなりません。
何度も巣と餌場を往復するのは面倒です。
その時に有効なのがこのクチバシなのです。エトピリカは一度の潜水で大量の獲物を口に咥えることができます。さらにクチバシには棘のような返しがついていて、一度に多くの魚を捕まえることができるのです。一度にくわえれる小魚の数は平均10匹ほどらしいのですが、過去には100匹を超える小魚を一度にくわえた記録があるそうです。
スーパーの掴み取りか!
これはエトピリカの仲間のツノメドリなのですが、このように大量の魚を加える姿が度々話題になっています。ちなみにエトピリカやツノメドリの仲間を総称してパフィンと呼ぶそうです。
そしてエトピリカの生態を語る上で大きな特徴なのが、換羽(鳥たちにとっての衣替え)です。カモなどの水鳥は羽が変わると印象も変わることが多いですが、エトピリカも夏と冬で姿を大きく変えます。
上の写真が夏のエトピリカで下が冬のエトピリカです。同じ鳥だとはとても思えない変貌ぶりです。夏の鮮やかな羽はメスへのアピールのためと言われていて、繁殖期が終わるとその役目を終えます。
なんとなく付き合ったカップルの男性がおしゃれしなくなるみたいなのに似てる気がします。
しかし子育てが終われば天敵から目立たない色にするって自然界においてとても頭の良いルーティンですね。
そして今回一番驚きだったのこちら!
そこ外れるの!?アクセサリー感覚かと思わず突っ込みたくなる事実です。
第二のクチバシとも言えるよう部分が取れるとは。どうやら角質でできているということなので、爪が伸びているようなものなのでしょう。
ペンギンもあの部分が取れるようです。。海鳥系ではあるあるなのかもしれませんね。
未だに不気味さが残るエトピリカのクチバシですが、面白みに気づけたことで少し愛着が湧きました。
しかし北海道の一部地域でしか見ることのできないエトピリカは年々数を減らしているようです。環境問題は動物保護における最大のテーマですが、一人ひとりの意識で少しでも住みやすい環境を作ってあげたいですね。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!