物語の結末から見せる演出手法「フラッシュフォワード(Flashforward)」
上記の記事では、少なくともエンタメは結末を最初に持ってきても成り立たない、と主張しているが、果たしてそうだろうか?
クリストファーノーランは時系列をよくいじる映画監督でメメントなんて時系列の最後、落ちから始まる。
同監督のインターステラーも主人公達の未来の語りから始まる。
更に、テッドチャンのSF小説あなたの人生の物語をドゥニヴィルヌーヴ監督が映画化したメッセージも既に終わった事から語られて始まる。
日本で根強い人気のゲーム、ファイナルファンタジーシリーズのFF10のオープニングは、最終局面の一幕から始まる。
更に、先述の冒頭のリンク記事は「犯人はあなたです」から始まるのは成り立たないと主張しているが、京極夏彦の絡新婦の理では「あなたが蜘蛛だったのですね」と名探偵が犯人を指すところから始まる。そして、それがエンタメとして頗る評判が良い。
もっと言えば、同作家の鉄鼠の檻というミステリィ小説では「拙僧が殺めたのだ」と犯人の自白から始まる。
電影少女で知られる桂正和が描いたダークヒーロー漫画ZETMANでは、既にヒーローに変身後に謎の正義側っぽいイケメンに追い詰められてる場面から始まる。
こういった物語の落ちや結末から展開する演出をフラッシュフォワードと言う。
この演出方法は1960年代には確立されており、それなりの歴史もある。
確かに少数派の演出であることには間違いないが、ネタバレ厳禁のミステリィさえ用いられている古典的演出である。
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