浮海_uu

汚れちまった悲しみに

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汚れちまった悲しみに

最近の記事

Tokyo,report.2020

僕らはみんな息する糞だ。 80歳や90歳の人が生きたいと願い、若いナースは疲弊し鬱病。 救急車を走らせれば大気汚染で地球は傷つく、そんな事を書いてる私もベランダでタバコを吸っている始末。 救いようの無い負の連鎖で青は灰色になっていずれ黒くなる。 三軒茶屋から見える首都高は朝も夜中も車が排気ガスを撒き散らしながら無理心中。 そんな橋と捨てられた大量の廃棄物の間にも鳥が住んでいて今こちらを見ている所だ。 最近じゃ新型ウィルスが蔓延していて、見たことも無い中東の地からはブチギレ

    • 一昔前の興奮

      • +3

        nikon fm2

        • カラン、コロン

          夏夜(かや)の雨は人をおかしくする。 そんな事を考えながら男は一人歩いて行った。虚無を愛しまた憎みながら歩いて行く。全てを捨て去り空虚になったつもりが尚も様々な情念を捨てきれずに歩いて行く。 夏夜のべたついた空気に雨が湿り気を孕ませて男と女が向かいの道で接吻を交わす。 それを見て男は独りの淵に追い込まれて行く が、そのうちに風と共に孤独が彼の味方をし始めた。 そんな全てをただ男は過ぎて行く。 少し濡れて重くなった下駄の音が男の聴覚を犯した、何者も信用できまい。信じられるのは錆

        Tokyo,report.2020

          虫ではないが。

          成長とはある時期を過ぎると皆平等に辛いものなのだろうか。 どれほどの痛みを伴えば平然とやり過ごせるものなのか。十一月の午前三時は私を確実に狂わせていった。 喉の渇きに耐え切れず目を開けたのだ、変な物、者を見た、真冬のそれも屋外のベンチに男女が座っている。街灯もなく、いやそこには男と女とベンチ以外の何もかもが存在していなかった。 私が何故真冬だと分かったかも不明である。 二人は意味のわからない言葉でひたすらに意味のわからない会話を話し続けている。 私はその反対側と思わしき空

          虫ではないが。

          面白くもない話

          彼女は幼少期の極めて特殊な経験から性への独特な見解を持っていた。 一般的にセックスとは性欲を満たすため、動物的な子孫繁栄を目的とした、 自然欲求的な行為とされているが、彼女は幼少期に起こったレイプという特殊体験の為 欲求や伝達指令の他に至って諦めに近い、 其れは一種の心中の様に相手に身をまかせると言った傾向が見られた。 相手がサディストならばマゾに、またその逆も然り。 この文を読んだ貴方はきっとこう思うだろう、そんな人もいるだろうと。 しかし其れは大きな間違いである。何故なら

          面白くもない話

          A Concrete Case

          CASE1 夢落街 ザー…ザー… 激しく降る雨の匂いと歓楽街独特の煙が混じり合い、最後にはいつもこの街をかき混ぜる。 -ここは雨の縱濱- 「全く大概にしてくれよ」 6席しかない狭いバーカウンターの左から2番目。 緑の光がバーテンダーの背中をすり抜け、彼の顔を照らした。 「雨に降られ、今夜も彼女とは会えなかった。おまけに着信の嵐だ、これでは遥々小阪から来た私が報われないとは思わないか?」 …ゴジュウロクビョウの沈黙… 「大体13140夜時元ぶりの

          A Concrete Case

          シー インザ プラスチック

          何でもない事をきっかけに心の防波堤は決壊し、強がりと理想とで出来ていたその壁は余りにも其の場凌ぎで弱い事が分かってしまう。 長く溜め込んでおいた不満だとか、後悔だとかで出来た大きな海はあくまでも人工的で、とても汚い青色をしている。その深い海に何の前触れもなくポタリと最後の一滴が落ちた時、私は私では無くなってしまう。 そんな時、言葉の限界を感じ絵を描く。 センチメンタルな笑顔、雨の日の目つき。 浮輪が浮輪では無くなるように空っぽ。 風には何故香りがつくのだろう。 四季

          シー インザ プラスチック

          二色情下

          一定に光る海灯を背に飛び立つ渡り鳥ー 海面には遥か遠く感じられる向こうの都市が写り、揺らぐ。 空虚を仰げば散り散りの雲間にまだ光きれない青い星達と薄っすらと目が合う。 砂浜には薄ら影の足跡と過去の私がいくつかあった。 海岸に群れた木々は都会から義絶され亡者達を匿う。背には高層ビルと無数のネオンが瞬きをし、足元に目をやれば刈り取られ忘れた過去達が私の足首を掴む。 間も無く第1の昔を抜けるー 二つ目の木々達に化かされるまでの間には虚無な砂浜があった。ふと海岸線から地平線へと

          二色情下

          痛変百夜

          夜も更けて丑の刻に近づいてくると決まって右の顳顬が痛みだす。 そこからつらつらと毎夜痛みは垂れて行き四、五分も経てば首筋に薄っすらと浮き出た頸動脈を撫で始める。 もうそうなると取り返しがつかない。 さらに二、三分すると肩にはふっくらと形を持った痛みがしがみついて煙たげな地下の店でポールダンスを自慢げに踊る女のように二の腕までスルスルと降ってゆく。 そこまで行くと痛みは痩せこけて急に色気を纏始める。 ゆっくりと後肘部の脈を探し当て、愛撫した後注射針のように細く尖り、

          痛変百夜