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タクシードライバーの最期

男「はぁ…今日も残業疲れたなぁ…帰るか…ん?(振り向く)うわびっくりした。お義父さん?いま病院じゃ?」

お義父さん「カクカク云々あってね…あれは数時間前のことだった…様態が急変しちゃって意識を失っちゃったんだよね。」

男「え?今ここにいるじゃないですか。」

お義父さん「あー、ちがうのよ、幽体離脱的なことしてきたのよ。」

男「怖っ…というかなんの用ですか!こんなに元気なら意識取り戻せるでしょ!」

お義父さん「いやぁ…もう長くないんだよ。最近は心臓が止まったり、走馬灯が見える日もあるからねぇ…にもかかわらず君は見舞いに来ない…とんだ親不孝者だ!!!さみしいよ!」

男「義理のお父さんですからそんな馴れ馴れしくできないですよ!これからはちゃんと行くんで許してください。」

お義父さん「約束だよ、指切りだよゆーびーきーり!!」

男「めんどくさっ、いい大人が指切り求めないでくださいよ!!まさかこれを言うためだけに来たわけじゃないですよね?」

お義父さん「あ、そうだそうだ忘れてた。お願いがあってきたんだよ。もう私、長くないからさ、娘と孫に会わせてくれないか?」

男「今から家に帰るんで全然いいですけど、お見舞いいくのじゃだめなんですか?」

お義父さん「なんか今すぐ見たい気分なんだよ!」

男「気分で幽体離脱しないでくださいよ!その状態だったら嫁も娘も見えないと思いますけどそれはいいんですか?」

お義父さん「泣いたりしたら恥ずかしいし見えないほうがいいんだよ。あれ…なんで君は見えてるんだい?」

男「生まれつき霊感強いので」

お義父さん「えぇぇ!いいなぁ!!実は幽霊とか見えるようになるために修行とかしてたんだよね!壺100個買って毎日磨いてたし。なんでこんなにしたのに見えなかったんだろうねぇ…」

男「いやそれ多分偽物ですよ!!よく毎日飽きもせず磨けましたね!アホなんですか?」

お義父さん「うるさーい!それだけ会いたい人がいたの!」

男「誰ですか?」

お義父さん「童貞卒業させてくれた風俗嬢の架純ちゃん」

男「ストーカーじゃねぇか!!絶対お前が追いかけまくったせいで死んだんだろ!いい加減にしろよ!!」

お義父さん「あっ?もうすぐ付きそうだね。」
男「切り替え早いな…顔見たらすぐ帰ってくださいね。まだまだうちの娘も小さいですから亡くなっちゃだめですよ?」

お義父さん「はいはい分かってますよ。早く降りましょう」

ガチャッ

嫁「おかえりなさい。あらっ?お父さんの匂いがする。」

僕が後ろを振り返るとお父さんはもういなかった。


ーendー


トップリードっていう芸人さんがいて、その人たちのタクシードライバーのネタが好きで、そのネタをイメージして作った話です。1ナノメートルでもいいなと思ったらスキ押してください。泣いて喜びます。

ではまたね。

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