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【短歌】ひかりはあらゆるばしょにある(2) #さるのうた

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かみさまの与ふるごとき筆遣ひ ひかりが、文字へ、意味へと、散ず



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焼夷弾堕ちたる跡に炸裂す文化の灯にや恋ひ焦がれける


豆腐屋も動員せしめこしらえた兵器の油にがりには似ず



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種なしの巨峰ふにゃりと噛みしめていのちのリレーに幕引きました


ジベレリン本意であてがわれているか青い葡萄は答えてくれず



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ざくろ石マンガン石にばら輝石 磨けば光る路傍のくすみ


ちょうどいい感じになりたい十二面体の見えない頂点結んでもみる


ご先祖がとなりに居ます石に化けひかり届かぬ深海の貝


まさしくん今どこで何をしてますか漂着物の名書に訊いた


庚申にさるなしひとつ置き去りぬ見ざる聞かざる言わざるおきて



いにしえの大地のかけら踏みしめて明日へと歩む千鳥になりて



たましいとはなれたばしょでかがやいている水晶とおはなししよう