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無口な歌詞

1,611
あの日から、やめられない作詞。 歌い出してくれたら嬉しいのに。
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2022年9月の記事一覧

セレンディピティ

セレンディピティ

理屈よりも即効性のある愚痴
溜め込んだままだと
知らぬ間に毒に変わって
内側から蝕んでしまう
.
叶わなかった分を
今は数えている
その方が時間も潰せるから
.
僕だけが繋げられた
つまりはきっと
僕だけが見つけられた
奇抜な星座に
名前などつけない
もう二度と同じようには
出逢えそうになくても
この空の何処かしらでずっと
光り続けているんだ
こんなに心強いことはない
.
.
理想よりも粘着性のあ

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多重露光人格

多重露光人格

淋しい時には
淋しいって言える
逢いたい時には
もう走り出している
.
そんな人に
そんな人に僕は
なれないから
なりたかったのです
.
一瞬を切り取れば
何と美しい
動くことのない永遠の中
華やいだ幸福
あと数回
シャッターを多く押したら
それは跡形もなく
消えてしまうとしても
忘れられる訳がない
どんな僕であれ
愛おしい筈だ
.
.
嬉しい時には
嬉しいって言える
待てない時には
もう笑いかけ

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鎮座する

鎮座する

炭酸を煮詰めたような
粘着質な爽やかさが
流れゆく風を構築している
そして綺麗
.
逢いたくなった
荒っぽい
そんな一言が
.
言葉にならない理由を
解き明かすこともないまま
立ち尽くすコンクリートの上で
染まろうとする空に見惚れている
あったとしても
なかったとしても
どちらでもいいのならば
なくてもよかったと
どうしてか
言い切れない癖に
.
.
退屈を極めたような
典型的な暇潰しが
薄れゆく

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グレー

グレー

限りなく白に近い黒と
限りなく黒に近い白
どっちも白だし
どっちも黒
大きく言えばきっと同じ色
.
何処にもない
そんな線の真上に立てば
見えるかな
.
グレーは知らない
半端に混ざった
それは汚れていない
何ならむしろ
美しいとさえ思うのです
グレーは飽きない
何度も染まった
それはくすんでいない
何ならむしろ
新しいとさえ思うのです
.
.
限りなく朝に近い夜と
限りなく夜に近い朝
どっちも朝

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らしい僕

らしい僕

ださかったなぁ、今の
そんなことばかりを
繰り返していれば
いつかちゃんと
泣いてしまう
.
踏み切りの傍らに咲いた
よく見かけるのに
名前を知らない花のような僕
.
そのままとか
ありのままでは
足りなくて
着飾った蛇足こそ
そのままとか
ありのままでは
語れない
絡まった魅力だと
言い切りたいだけだった
.
.
ひどかったなぁ、今の
そんなことばかりを
振り返っていれば
いつかちゃんと
泣いて

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H-12

H-12

きっとそうだとしても
叶うことはないし
また必ずしも
叶ってほしいとは思わない
.
見捨てられた愛が
ぽつんと落ちているだけ
.
僕はそれを
思いも寄らず
拾ってしまった
誰のせいでもなく
僕はそれを
確かめもせず
信じてしまった
誰のためでもなく
たとえば空席の中から
たった一つのお気に入りを
見つけるように
.
.
ずっとそうだとしても
変わることはないし
また必ずしも
変わってほしいとは思わ

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おやすみ

おやすみ

声色でもお見通し
敵わないんだな
重力に従って
落ちる涙に気づいたら
おやすみ
.
やさしい夜だ
.
きっと誰にも奪えそうにない
何よりも価値のある静けさ
全てを忘れたつもりで
毛布の端を掴む手
それでいいのに
きっと誰にも奪えそうにない
何よりも意味のある暗闇
全てを信じたつもりで
枕の裏を撫でる手
それでいいのに
それがいいのに
.
.
夕焼けならいとをかし
変わらないんだな
引力に伴って

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散歩

散歩

寄る辺ない身一つ
濡れたせいで
重たくなったシャツは
しつこく張りつくばかり
二枚目の肌のように
.
新品の傘は
使えなかった
どうしてだろう
.
追いつきそうになって
立ち止まってみた
駆け引きのつもりだったのに
そこには誰も居ない
触れたかったのは
他の何でもない
自分の背中
しっかりとその手で
触れてほしかった
掴まえてほしかったんだ
.
.
寄る辺ない身一つ
脱いだだけじゃ
変わらなかった

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日常譚

日常譚

走馬灯の大半が
何かしらの画面だなんて
淋しいような
そんなことを考えた
.
集中力の続かない暮らし
スキップしたい会話
待ち受ける奇跡
.
これはきっと伏線
そう思って生きてみれば
この鬱憤にも
活躍の場がありそうで
間延びした日常
立ち止まるしかない
選択肢の中
見つけた兆し
拾い集めながら向かうだけ
.
.
老婆心の行く末が
誰かしらの涙だなんて
哀しいような
そんなことも考えた
.
想像力

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静まらない星

静まらない星

ふと落とした溜め息でさえ
小さな歌になってしまう
この今もほら
誰かが誰かのことを
思ってやまない
.
もう惰性で回っているとしても
だからこそ生まれた
永遠と終わりの中心で
.
隣りで立てる寝息
触れて知る胎動
消えそうなキャンドルの火
換気扇が食べる空気
どれだけ僕が黙ったところで
どれだけ僕が止まったところで
在るのは賑やかな静寂
つまりは煩い空洞
覗けば覗くほど
濡れてゆく
目玉
.
.

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same old same old

same old same old

履き慣れた靴だったら
ここまで痛くはなかったのか
止まらないのは
やけに響く乾いた足音だけ
.
どうでもいいけれど
それだけは嫌だ
ってさ
.
same old same old
何かと終わらせようとしないで
same old same old
何処まで知っていようと知らない
same old same old
一度に抱きしめられるなんて
とんだ勘違いすら
輝いて見える
この瞬間にしかない風速で

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憧れ

憧れ

まだ踊るには
踊り続けるには
どうすれば
.
まだ歌うには
歌い続けるには
どうすれば
.
きらきらと消えていった
名前もない星の屑は
燃え尽きたらしい
.
世が世なら
何になっていたのだろうと
馳せるばかりの想いに
させたくはないから
いつまでも
何を知っているのだろうと
逃げるばかりの背中を
見せたくはないから
残らなくても
光る
.
.
まだ笑うには
笑い続けるには
どうすれば
.
ぐるぐる

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dig

dig

誰を護るための嘘ならば
赦されるというの
裸にされたりしながら
自分が埋められるための穴を掘る
.
日帰りのロードムービー
曲がった轍の先から
祭り囃子
.
突っ立っているよりも
笑われたっていい
下手に躍れ
泣き顔がよく似合う
人間になった
考えてみるよりも
踏み込んだっていい
派手に唄え
後悔がよく似合う
人間になった
.
.
何を願うための声ならば
救われるというの
心に触れたりしながら

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透過

透過

「いっせーのーで」で
綺麗さっぱり
一緒に居なくなれないのならば
何の意味もないじゃないか
.
時差の要領で
順番に生まれ落ちて
また順番に
.
それが嫌なんだ
手を繋いでゴールの
仲良し小良し
そういうことでもないけれど
やっぱり独りなんだなって
改めて知らされるのも
酷く淋しいもので
時にはこう
駄々っ子になり
声を上げたくなる日もあるのです
.
.
「いっせーのーで」で
二度とはっきり
偏に

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