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無口な歌詞

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あの日から、やめられない作詞。 歌い出してくれたら嬉しいのに。
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2021年1月の記事一覧

せせらぎ

せせらぎ

音楽はタイムマシン
でもそれは非科学
説明する気も
さらさらないから
.
好きなように聴いている
好きなように歌っている
好きなように踊っている
.
時代のせせらぎ
耳をすませば
いつだって傍にある
離そうったって
簡単にはいかない
もう染みついて一つになった
この身体が音楽
.
.
人生のタイムラプス
それだけが思い出
自惚れたい気も
ほとほとないから
.
好きなように決めている
好きなように笑

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りぼーーーん

りぼーーーん

生きたまま
生まれ変わる
生きたまま
生まれ変わる
それだけ
.
.
止まない雨に気を落として
安物の傘をまた買う
ワンピースの載っていない
ジャンプの発売日
鞄が少し重たい
.
それはあくびのようなもの
説明にも及ばない
ごく当たり前のこと
.
生きたまま
生まれ変わる
生きたまま
生まれ変わる
それだけ
できそうでできなかった
それだけ
.
.
明けない夜に目を凝らして
贋物の花をまた摘む

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レシート

レシート

遠くでただサイレンが鳴るのが
聴こえているというだけ
身に降りかかる災難もないと
数秒で忘れてしまう
.
すごく良くできている
素晴らしい
でないと生きてゆけないでしょう
.
百九個目の煩悩を
やっと見つけたというのに
こんな仕打ちは酷いって
声に出す前に零れそうな滴が
必死で堪えている出口
人間らしくてごめんなさい
人間らしくてごめんなさい
人間らしくてごめんなさい
.
.
隣りでただ溜め息を吐

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とことん

とことん

どうせ怖いのだから
もうとことん向き合って
気が置けないくらいの
関係になれたらと
思ってはいるものの
まだ弱い
.
元気がほしい
そんな時に
浮かべる顔があるという幸せ
.
言い訳じゃなくて
目的になる存在
締め切ったカーテンの
隙間から滲んでくる
朝の光のような
子どもらの声のような
決して敵わないものから
こっそりと力を貰う
.
.
どうせ変わらないから
もうとことん付き合って
気が置けない

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泣くもんか

泣くもんか

背中合わせに歩いて行けば
遥か遠い待ち合わせで
また向かい合えるような
地球の丸さに甘える
.
この雨がいつか
私の涙になる頃まで
迂闊に泣くもんか
.
しあわせを投げやりに
今以外を忘れる
どうせ生きられない
ゆめうつつよりも
確かに掴まえられた
この冷たい会話
宝物のように大切に仕舞う
.
.
この夜がいつか
私の痛みになる頃まで
迂闊に泣くもんか
.
しあわせをそのままに
今以外を見捨てる

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Veil

Veil

愛すべきだったと
もう誰も居ない道を
振り返るけれど
そこは知らない街のよう
冷たい風が吹くくらい
.
飲みかけのミルクティーも
ただ甘いだけで
二口目は進まなかった
.
覆い被さった布が
夜に似ていて
見間違いじゃないかと
一応疑ってみる
実は怖いんだ
そんなことを言うために
必要な勇気もある
.
.
語るべきだったと
また月の出ない空を
確かめるけれど
それは消えない染みのよう
大きく見れば判

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調子に乗れない国

調子に乗れない国

九時を過ぎ
布団かコンビニ
永遠の二択に
騙されながらも
またこうして歩く
.
数メートルごとに照らされる
スポットライトが眩しい
僕なんてあの虫と同じ
.
優しさが処方箋
用法用量は守っている
きっと誰だって何かしら
名前のない痛みと
闘っているんだから
僕だって大丈夫
そう言い聞かせる
痛いのに
.
.
日を跨ぎ
帰るか公園
公然の二択に
急かされながらも
また黙って歩く
.
数メートル先に交

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唇

雨にキス
どうせ二人は
濡れるから
傘なんて要らない
.
.
晴れた日の夕焼けは
物足りなくて
クライマックスは
少し前に通った航空機
.
追いかけるように
滑空する渡り鳥
忘れられた町
.
窓にキス
どうせ私は
眠るから
羽なんて要らない
恋しくても
冷たい唇
.
.
触れた手を見つめては
気恥ずかしくて
ハードボイルドな
二つ前に願った流れ星
.
振り解くように
回転する鯉のぼり
容赦のない風

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また明日

また明日

散らばったそれらを
慌てて拾い集める
無造作に思えた
その不自然さの中から
私を見つけるお話
.
両手だけでは
きっともう
抱えきれなくて
.
途方に暮れる
座り込んだ床が
意外と冷たいとか
関係のないことばかり
考え始めたら
今日はそこで終わり
その先はないから
また明日
.
.
集まったそれらを
再び撒いて散らかす
身勝手に思えた
その一通りを踏まえて
私を見つけるお話
.
両目だけでは
きっ

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wink of wind

wink of wind

冷たい風が
濡れたままの心を
なびかせては
乾かしてくれる
.
だから立っている
ないのは理由ではなくて
きっかけ
.
予報通りとはならない
急な雨にも負けず
開いた傘の陰で
そこにある筈の星を見る
嘘っぽい青空よりも
こんな空が好き
.
.
うるさい風が
割れたままの心を
黙らせては
転がしてくれる
.
だから待っている
ないのは勇気ではなくて
がっかり
.
自分勝手とは言わない
特に顔にも出さ

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しるし

しるし

人生という長い小説
僕の切り取ったそれが一日
線を引いたそれが思い出
書き直したそれが過ち
.
最初の頃の気持ちが
まだどこかに残っていても
もう見つけられる気がしない
.
しるしはわかりやすく
そしてわざとらしく
目を引くのはいつだって
決まったこととは限らない
偶然を演出して
次のページに進む
結末は知らないままで
.
.
人生という長い小説
僕の受け取ったそれがあらすじ
角を折ったそれがきっ

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腹痛

腹痛

昨日は何を食べたっけ
思い出しながらさする手に
なぜか懐かしさを抱く
.
痛くなくなればもういいのか
常備薬を飲んではそう呟く
.
飛んで行かないで
もう少し痛いままで
滅多にないことだから
あと少し傍に居て
甘えさせて
頼らせて
って時に限って独り
.
.
財布はどこに置いたっけ
横になりながらさがす目が
部屋の隅の方で留まる
.
判らなくなればもういいのか
床の傷が静かに口を開く
.
聞いてく

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バラとバラ

バラとバラ

アイデンティティなんてないよ
アイデンティティなんてないよ
夢枕に立ったっていいけれど
そんなに繰り返さなくても
判っているからさ
静かにしていて
.
.
架空の星が泳ぐプール
割り箸でつまんで
めんつゆで頂く
.
三週間前のチラシに
踊る激安の文字
.
アイデンティティなんてないよ
アイデンティティなんてないよ
夢枕に立ったっていいけれど
そんなに言い直さなくても
判っているからさ
静かにしてい

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little magic

little magic

あれはやさしさ
お風呂上がりの夜風とか
ノートの一枚目とか
長くは続かないけれど
妙に忘れられない
.
左ポケットに入れたまんま
ずっと見つからないでと
かけた魔法
.
それだけで一生この先
生きてゆけそうな
気だってしているんです
典型的なキャラクター
古典的な落伍者
それでも信じることはやめない
大丈夫だよ
明日から逃げ延びて
.
.
それだけで一生この先
生きてゆけそうな
気だってしているん

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