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無口な歌詞

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あの日から、やめられない作詞。 歌い出してくれたら嬉しいのに。
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2020年9月の記事一覧

王道

声色に出てしまうほど
わかりやすくなんて
なろうと思ってなれない
.
不束ではありますが
ふてくされてしまおう今日だけ
.
階段の脇であからさまに
うずくまってみたり
夕暮れの土手を自転車で
駆け抜けてみたり
ばからしくて
意外としてこなかった
王道に汚れてみたい
.
.
顔色に出てしまうほど
わかりやすくなんて
なかなか狙ってできない
.
不束ではありますが
ふてくされてしまおう今日こそ
.

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ブルメーション

ずっと眠っているような
でも夢は見られないような
曖昧な状態がなおも続く
終わってしまってもいないのに
.
あくびをしたままで
固まる身体
.
とどめの一撃が届かない
それでよかったのかと
訊ねられても応えられない
世界からいなくなったとしても
私の中にはあり続けるだろうから
もう今夜はこのまま
そうこのままで
.
.
ずっと笑っているような
でも顔は見られないような
贅沢な抵抗がなおも続く
頼ん

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コーン

年齢とともに視力が
緩やかに落ちてゆくように
ゆっくりとピントが
合わなくなってくるの
.
他人事だった頃が
懐かしいなんて
もう自分で笑うしかない
.
折り返しのコーンを
何処に置いてしまうのか
いつの間に目の前を
帰り道にしてしまうのか
誰かに決められたくもないが
決めきれずに駄目になるなんて
もっとつまらないから
そろそろ見極めないとな
.
.
絶望に沿って気力が
目に見えて失せてゆくように

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アルプススタンドの中の誰か

振り返ることもなかった
背中に向かって
投げつけてやったのは
悔しさだけじゃなく
震えながらの声援
.
.
立ち止まって見上げる
空の遠い向こう側
未来も過去も全部そこにあると
誰かが言っていたから
.
何かやってやろうと
まるで進研ゼミの漫画のよう
やる気だけは握りしめた
.
振り返ることもなかった
背中に向かって
投げつけてやったのは
悔しさだけじゃなく
震えながらの声援
.
迎え撃つこともな

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プロジェクター

曇り空にプロジェクター
映画でも観ようか
みんな窓辺に集まって
好きな体勢で寛いで
.
そよ風は旅人
その荷物の半分でも
置いていけたら
.
大きなひとりぽっち
小さなひとりぽっち
初めから誰もが
そもそもひとりぽっち
だから肝心なのは
そのことに気がついた時の歳と
いつまでも付き合えること
.
.
その背中にプロジェクター
懐かしくなろうか
狭い布団に包まって
同じ香りまで着飾って
.
うたた寝

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ピック

ブラックホール宛ら
ことあるごとに
指先から奪っては
美味しそうに食べてしまう
.
決死の救出とはいかず
その度に見せるのは
思いの外に滑稽そうな舞
.
呼んでも返事のない
ホールの中のピックは
汀に浮かぶ空き瓶のよう
力任せに漂うだけ
運試しのおみくじか
どうかこちらへ
またこの手の中へ
.
.
ブラックジョーク宛ら
ことあるごとに
指先から逸れては
足許へと逃げてしまう
.
迷子の捜索は長引く

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duo

影は一つ
だったとしても
淋しくはない
知っているから
.
いつもそんな気持ちで
居られる筈もないけれど
その度に確かめる
.
.
声は一つ
だったとしても
空しくはない
持っているから
.
いつもそんな二人が
見られる訳もないけれど
その度に確かめる
.
.
並んで歩く明るい夜道
傘で遮った憂いを
狙うものの鳴き声が
遠く近くで上がる
響く程にはないとしても
止むことは恐らくない
.
挙って黙る

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テープ

まだ笑えることに
少し驚いてしまった
言葉にはならなかったけれど
.
まだ返せることに
少し気がついてしまった
言葉では足りなかったけれど
.
当然の報いだ
.
透明なテープで
つなぎとめられるのは
目に見えるものだけ
ここにあるものだけ
それだけでも
大したものだとしても
.
.
まだ笑えることに
少し驚いてしまった
言葉にはならなかったけれど
.
まだ望めることに
少し戦いてしまった
言葉まで

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歩いて帰る

蹴飛ばした空き缶に睨まれた
まだ赤く腫れた目で
どれだけ睨み返そうと
喧嘩にはならなくて
ほっと息をつく
.
今が何時かも判らない天気
廃れた町内会の掲示板
持ってきてしまったリモコン
.
どうせならば
雨でも降ってくれと
乞い願うものの
ただ無情な風ばかりが
真横を抜けるだけ
もうしばらく
もうしばらく
歩いて帰る
.
.
振り向いた野良猫と目が合った
まだ赤く腫れた目を
どれだけ隠し通そうと

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朝蝶

地球滅亡寸前なのか
数えられるだけの人影と
静かに忙しなく光る
明かりばかりが生きている
夜と朝の隙間
.
時計も気を抜く汀
砂に足を取られるよう
歩きづらそうに帰る
.
鳥にはなれず
それでも空を覗く
そこに何があるかも知らず
それでも空を望む
艶やかさを着飾って
見様見真似で飛んでみる
閉じた瞼のすぐ裏で
.
.
地球滅亡寸前なのに
過ぎてしまうだけの朝焼けは
つぶさに余裕なく燃える
さっきば

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コウイ

三度目の正直の後
初めての夜が訪れた
足音も立てないで
駆け抜けた時間の短いこと
素っ気なくまた泣いた
.
侮ってはいけない
容赦のない朝
綺麗に見えたのは多分
忘れていたから
.
侮ってはいけない
合図のない朝
暖かかったのは多分
疲れていたから
.
.
初めての喪失の後
懐かしい影が横切った
波風も立てないで
振り向いた仕草の尊いこと
呆気なくまた泣いた
.
躊躇ってはいけない
加減のない朝

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パイロット版

夕風を掴まえた
飲みかけのペットボトル
投げ出した足の指を
くすぐったから
.
路肩に転がるあの瓶の中にも
そんな物語があったりして
.
面白くもないから
特に話すようなものでもない
ひなびたエピソード
いつか思い出そうものならば
できるだけ風化していてほしい
それが味と呼ばれる日まで
グッナイとバイバイ
.
.
青春が絡まった
背の高い鉄のフェンス
積み上げた空の箱を
蹴飛ばしたから
.
河原に

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ヒーローインタビュー

まだ明けきらない
空は舞台袖
深呼吸がいつの間にか
寝息に変わりそうで
少しだけ水を飲む
.
カーテンの隙間から
一直線のスポットライト
真っ白になった頭で語り始める
.
何者でもない僕が
何かを成し遂げたのか
仕出かしたのかは知らないが
ようやく慣れてきた瞳が捉えた
昨晩と同じままのワンルーム
夢か記憶だったとしても
言いたいことは一つ
だから言わない
.
.
まだ醒めやらない
酔いは人いきれ

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トマソン

忘れ去られたのならば
それでよかった
それがよかった
あまりに見つめられると
泣きそうになる
.
季節通りに風邪を引く
優しいあの子だって
もう大丈夫
.
振り返ってはいけない
ここは風が吹き
抜ける場所
立ち止まる者は居ない
空が今日も綺麗です
星を捜して帰りなさい
.
.
置いて行かれたのならば
それでよかった
それがよかった
誰かに見つけられると
泣きそうになる
.
時間通りに眠くなる
鋭い

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