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今日という日がいちばん若いと感じた夜の下北沢にて

今から書くのは私が体験した非日常的なことを記した旅ログである。忘れないうちに書き記しておこう。

毎日同じ時間に起きて、同じ時間に会社に行って、同じ時間に家についてご飯を食べて寝る。「そんな毎日で退屈じゃないですか?」と訊かれても困る。日々追われるように過ごしていたらあっという間に過ぎていくだけ。それが「楽しい」「楽しくない」という次元ではない。強いて言えば「次の休みなにしようか」と考えながら毎日を過ごしてる。大体みんなもそうなんじゃなかろうか。理想とする自分を描こうとするけどわからないことだらけ。

そんな折に、Twitterやnoteでお世話になってるフォロワーさんと会った。つい先日のことだ。話の波長が合ったり、好きな物や趣味がよく合う人だ。今回の目的はシーシャ、ヴィレッジ・ヴァンガード、本屋にて本のプレゼント交換。今回、それをすべて満たす場所として選ばれたのは下北沢だ。

ハイセンスでお洒落な人が集う街だ。新宿や渋谷と違い、高い建物がないだけで好感度が高い街だ。学生時代からよく通っていた下北沢はもう自分の庭と言っても過言ではない。(過言)

Tips
下北沢でデートしているカップル、女性の方が奇抜な格好をしがちである。まず黒髪でないことが多い。
noruniru調べ

お昼の11:30頃、無事合流する。はじめましてなのにそんな気がしないほど、すごくナチュラルだった。オンラインでやり取りを重ねているからであろう。このとき、改めて「会う」ことの重さがわかった気がした。

まずはじめにヴィレッジ・ヴァンガードに行く。

いつも行く場所だけど、連れと一緒なので初めてな気がして新鮮な気分だった。他のヴィレッジ・ヴァンガードと違い、下北沢店の店内は本当にラビリンスだ。サブカルチャーなグッズやちょっと怪しい本、ニッチな漫画が所狭しと並べられ、僕の心は血湧き肉躍るような感覚になる。たとえばこの漫画。

「試し読みで読みましたけどシュールで面白かったですよ!」

と言うので見てみたら表紙がもうシュール。なにこのペンギン……(?)僕は基本的に漫画は電子で買うので、後日電子でさっそく買った。

原作者・紺野アキラ『クジマ歌えば家ほろろ』1巻より

居候の身なのにソファで寝転ぶクジマの図々しさに笑ってしまう。

さすがサブカル趣味をもつ人からオススメされる漫画は一癖二癖あっていい。僕はこういう漫画がすきだ。

そのあと漫画や小説を物色してあーだこーだ言いながら1時間ほど滞在してお店を出る。

休憩がてら近くのバーガー屋さんに立ち寄った。

バーガーでかすぎん???これで1210円!?
メニューからただようオシャレさよ

僕はアイスティーとチーズスフレを頂いた。

なにこのオシャレなコップ…ジャムが入ってる瓶にしか見えない。こんなにオシャレになるのかこのコップは…と戸惑いを隠せない。あとチーズがフワフワで口の中で一瞬にしてなくなった。

楽しく談笑していた最中、隣に座っていた男性2人組がSNSトラブルに巻き込まれた話やゴシップ話をしていて、少し気が散りそうになった。ガーシーchでも聞いてるかのようだった。僕もSNSトラブルに巻き込まれないようにしよう。

しかし、オシャレなコップといい、店内もオシャレで周りはオシャレな男女がいっぱいいて、僕がこの中にいるのが不思議に思えてくる。

ちなみにそんなオシャレなバーガー屋さんがこちら。

お店を出て次に向かったのが本屋だ。当初、三省堂書店に行く予定だったが、最近できたTSUTAYA BOOKSTOREに行くことにした。

「オススメしたい小説を買って交換し合う」のが目的だ。店内を一通り物色する。そして相手が好きそうな小説を探す。相手の読書嗜好に刺さりそうな小説は何か考える。あれもこれもと候補はあったが、最終的に川村元気『四月になれば彼女は』をプレゼントした。

愛している、愛されたい。そのことを確認したいと切に願う。しかし、愛や恋もやがて過ぎ去ってしまうのに、どうしてこんなにまで愛や恋について考えてしまうのだろう。それを感じとって欲しいと思ってこれを選んだ。単純に僕が読んでてエモいと思ったからである。

そしてお相手からは須賀しのぶ『革命前夜』をプレゼントしていただいた。僕が歴史が好きだと言っていたので、「ノルさんなら絶対好きそう!」と言っていただいた。

絶対面白そうじゃないですか。早く読んでみたいというウズウズが止まらないッ!

1度やってみたかった夢が叶った瞬間でもあった。読書好きな人と本屋でプレゼント交換するということを。1人でも行って楽しい本屋が読書好きな人と行くとこんなにも楽しいんだって。相手にプレゼントしたい本を選んでる時間も楽しければ、好きな小説や漫画の話ができる幸せの時間に感極まっていた。

次に向かったのはシーシャ屋。かつて僕はシーシャを吸うと変な元カノを思い出すという記事を書いた。こういうとき大体1人で吸っているときに起こる。でも今回は違った。一緒に吸う相手もいるからそんなことを忘れさせてくれる。

今回お邪魔したのはnorth villageというお店だ。

インスタはこちら。

アイコンがハリウッドザコシショウなのが癖すご。

店内はとにかくオシャレで、ハンモックもあれば寝転びながら吸うこともできる。

メニューも年季が入ってて逆にオシャレッ!しかも冊子になってるのがいい。

店内には2人の店員がいた。1人はチャットモンチー・橋本絵莉子似のガーリーな服を着た女性、もう1人はシシドカフカ似のかっこいい女性がいた。

その内の橋本絵莉子似の店員さんが

「あのぅ、今日はとても混みやすい日でして、もしシーシャが死んだらフレーバーの注文をお願いしております」

と、店内のBGMに負けそうなものすごい小さな声だったので全集中で耳をすませた。なんとか聞き取った僕は「わかりました!その時になったら声掛けてください」と言う。いや、「シーシャが死んだら」って、シーシャが「死ぬ」って言うん???

そして今回は「Mahal chai nirvana」を注文した。ラグジュアリーなオリジナルチャイをイメージした、シナモンベースのスパイシーなチャイにジンジャーとラムを加えたフレーバーだ。

シーシャを吸ってる時間は特別だと思いたい。普段行くことのない非日常な空間に酔いしれている時間が幸せだ。

そんなこと思いながら僕は天井に向かって紫煙をふかせていると

「元カノさんのこと思い出してます?笑」

と言われ、僕は思わずむせた。さすが僕のnoteを読んでくださってる購読者様だ。たしかに一瞬だけ思い出していた。あのときの元カノもきっとどこかでシーシャ吸うておるのだろう。

お互い、シーシャを吸ってる自分を写真に収めた。タバコやシーシャを吸ってる姿は見惚れてしまう。お相手の許可をとって何枚か撮らせていただいた。久しぶりに味わう「あっという間に過ぎてしまう時間」がそこにはあった。

あれ、このコップ……さっきのバーガー屋さんでも見たぞ!下北沢の飲食店はこのコップがマストなのかッ!
なんか文豪みたいになった。というかなんかナヨナヨしてない?

やりたいことをやっぱやらなきゃダメだなと思う。今日という日が人生の中でいちばん若いのだから。そんな気がした。もうアラサーだけど。

もう一方の相方も気持ちよさそうに紫煙を吐いていた。見ているこちらも気分がいい。

3時間ほど滞在したのち、お店を出る。いい時間を過ごしたなと思い余韻に浸る。外はもう日が暮れていた。

そのあと、串カツ田中にて串カツを頬張った。

ここでもやはり好きな本の話が絶えない。TSUTAYA BOOKSTOREでもらったカドフェスのフリーペーパーを読みながら好きな作家や読んでみたい本の話をする。そしてあの『ドグラ・マグラ』が映画になっていたことを知って驚愕する。

あの奇書が映画になったら精神状態が保たれるのかいよいよわからなくなってくる。『ドグラ・マグラ』は本で充分だ。

小腹を満たしたあとは駅前の広場にてノンアルコールビールを飲んだ。

もうすぐでバイバイする時間が迫ってくるのを押さえつけるように、駅前の広場でもう一時の時間を過ごした。そのとき相方はきのこ帝国「クロノスタシス」を流した。

今の状況にピッタリな曲にすっかり気分を良くしてしまい口ずさむ。

コンビニストアで350mlの缶ビール買って
君と夜の散歩 時計の針は0時をさしてる
クロノスタシスって知ってる?
知らないと君は言う
時計の針がとまって見える現象のことだよ

今日会ってから今までの時間を反芻する。遅れた青春を取り戻すかのような、暖かくてゆったりでこの日が後にも先にももうやってこないのかもしれない。あぁ、楽しかったなぁ。などとひとりで考えて勝手に感傷に浸る。

そのあと夜の下北沢を散策した。時間にしてもう20:00を回っているころ。お店も閉店してガランとした商店街を練り歩く。

そこで撮った写真がこちら。

この謎のポーズはというと「片手ダブルピース」というやつだ。元ネタはこちら。

今度会った折に「一緒にこれをやろう」と約束していた。ようわからんノリに付き合ってくれる人はもれなく好きだ。SNSの世界は広しといえども不思議な縁を感じる。

雨も次第に強くなってきたところで、21:00頃、次会う約束をし別れの挨拶を交わした。同じ人と長時間一緒にいたのはすごく久しぶりだった。てっきり18:00くらいで解散するかと思っていたけど、興が乗っていたようだった。

日常を生きる活力はいつのときだって欲してる。毎日の生活が「楽しい」「楽しくない」の次元にいても、1日くらい時間を気にしないまったりとした空間で落ち着く時間が必要だ。それが僕はシーシャだったのかもしれない。今日という日がいちばん若かった。

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