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報道自由度が66位の日本について考察してみた

こんばんは。シロクマです。

本日の映画は"新聞記者"です。

メディアが多様化する現代で、私たちは"情報"とどう向き合っていくべきなのか。映画を見て思ったこと、感じたことを書きたいと思います。



新聞の現状

新聞(記者)は昔から社会の一定評価を受けてきました。


それは新聞が「第四権力」として、政府権力に対しての、チェック機能を果たしていたからです。

行政・立法・司法の三者の権力に加えて、報道を三権(行政・立法・司法)に次ぐ権力のこと。


ただ、情報化社会の進展をきっかけに、情報の源が新聞から他のメディアに多様化し、インターネットの速報性相互コミュニケーション性に欠ける新聞は太刀打ちできなくなっていると言えるでしょう。


報道自由度(2020)

日本の新聞やその他マスメディアはどのくらい自由度を持って報道できているのでしょうか?

画像は世界の報道自由度をマップにまとめたものです。

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66位 日本 (スコア28.66)


アメリカやヨーロッパ諸国が1位~40位前後の上位につける中、日本の66位はかなり低いと言えるでしょう。


※評価方法が気になる方は上記で確認お願いします ☝


反対に、注目すべきは

1位 ノルウェー(スコア7.84)
2位 フィンランド(スコア7.93)
3位 デンマーク(スコア8.13)
4位 スウェーデン(スコア9.25)


と、北欧諸国がトップ4を独占しているということです。


言われてみれば、メディアを通して世界中に情報が拡散された、グレタ・トゥーンベリ(Greta Thunberg)さんはランキング4位 スウェーデン出身でしたね。

私がここで言いたいことは、日本でグレタさんのような少女が同じ行動をしたと仮定し、ここまで正当に情報が拡散されるメディア基盤が日本にあるのか?ということです。


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School Strike for Climate=気候のためのスクールストライキ

話は少し脱線しますが、彼女の行動には賛否が分かれています。

しかし、多方面から応援の声や批判が集まる中、どれだけ彼女が反対派に非難を浴びようと、社会にこれほど大きな問題意識を投げかけている時点で、彼女のアクティビストたる存在意義は十分に証明されていると言えるでしょう。

特に北欧出身(もしくはヨーロッパ出身)の若者にとって、グレタさんの行動はかなり"身近"なものであったと言え、以前よりもメディアというプラットフォームの速達性国際性を認識したでしょう。

このような若者の自立的行動の根源には、"教育の質"も大きく関連しているのではないかと思います。ランキング2位 フィンランドの教育に対する理解はとても興味深いです...

宿題もなければ、学費もない。貧富の差に関係なく、同じ公立学校に通い多様な価値観を学ぶ。若くして、客観性を持ち、物事を俯瞰的にとらえることができる子どもが北欧の将来社会を担うのでしょう。



話を戻しましょう。

日本が66位を取った原因は何なのか?

原因を探るべく、日本の情報基盤と個人的見解を述べたいと思います。


新聞社と通信社

新聞の情報はどこから来ているのか?

それを理解する上で、"通信社"の存在を忘れてはいけません。

通信社は、社員の半数以上を占める記者が、取材を通して得たさまざまな情報を基に記事を執筆し、各メディア(新聞社・テレビ局・ラジオ局)や企業、組織に配信する役割を担います。全国各地に記者を配置するほか、世界各国にも記者を配置しており、国内外さまざまなニュースをカバーしています。通信社の配信を多く受けるのは新聞社です。

通信社の存在意義は一言で表すと、情報収集に特化した組織といったところでしょうか。新聞社は通信社によって提供される幅広い情報を、自社の記事に掲載しているということですね。

また、通信社が独自で情報を報道しない理由は単純で、自社の媒体を持っていないからです。記者が執筆した記事は各メディアや企業に配信し、その対価や契約料、出資金が利益になります。

そうして考えてみると、通信社は情報の根源とも言い換えることができます。


世界と日本の通信社

もちろん通信社は各国にもあります。

世界の通信社
APとUPI(アメリカ)、ロイター(イギリス)、AFP(フランス)、(イタル・)タス(ロシア)

(個人的には、イギリスのロイター通信なんかは聞き覚えがあります。)

新聞社がこれらの通信社と、どのような関係を構築するかで新聞などメディアに掲載される情報のコンテンツはかなり変化すると思います。


アメリカと日本を比較して考えてみましょう。


・アメリカ

アメリカの新聞社と通信社の関係はこんな感じです。

1. 通信社 → 情報提供
2. 新聞社 → 受け取った情報の精査分析
3. 新聞社 → 自社理念に基づき記事を掲載

とこんな感じです。アメリカの新聞社は情報を集めるというより、通信社から集まった情報に対しての裏付け、分析を行うことで多面的な見解を報じることができます。

・日本

一方日本の新聞社と通信社の関係は...

1. 通信社 → 情報提供
2. 新聞社 → 受け取った情報を掲載

"極端"に書けばこんな感じです。


ではなぜ他国と日本で差が生まれるのでしょう?


①文化的差異

日本では競合となるライバルとて横並び、が当たり前とされているため、コンテンツに大した差が生まれない原因となっているのでしょう。

逆にアメリカではこの概念が、恥ずべき行為とされているため、多様な意見が採用されるのだと思います。


②役割

日本には新聞社と通信社の間に明確な役割分担がないと思います。

情報を収集する機関は一つで十分なはずです。しかし、日本では同じ現場に両社 (新聞社・通信社) の記者が群がり、同じ情報を収集し記事を作成する。

効率悪くないですか?


こうした原因を改善していかない限り、他国で掲載されているようなコンテンツに追いつくことは今後不可能かと思います。



記者クラブの"特異性"

記者クラブ


次に、日本の記者クラブ"の特異性(謎制度)について述べたいと思います。


皆さんは記者クラブと呼ばれる組織を知っていますか?

公的機関や業界団体などの各組織を継続して取材することを目的として、大手メディア(大手新聞社含む(朝日・読売など)) が中心となって構成されている任意組織のこと

とありますが、この記者クラブこそが、日本の報道を腐らせている一つの要因であると思います。


他国では

新聞社 ↔ 通信社 の関係が一般的ですが、

日本では

記者クラブ → 新聞社 ← 通信社 が独自の構造としてあるように思います。


それではこの"記者クラブ"に関して、少し深堀をしていきましょう。


①記者クラブってどこにあるの?

多くの記者クラブは役所内の一室を記者室として無償提供されており、そこを拠点に会見などに参加します。

例えば

千代田区永田町1-7-1 国会内

文字通り国会内に報道組織があります。


②何が問題か?

政治家や官僚との癒着です。

好立地(国会内)な場所で、常に政界の最前線で情報をキャッチできる記者クラブ。


ですが、政界にとって否定的な記事や情報を公開するとどうなるでしょう?


追い出されますよね。


そうなると困る記者クラブは、政界の飼い犬として情報操作を行い、組織が閉鎖的になるのは目に見えています。


「情報発表に消極的な公的機関に記者クラブが記者会見を求めて実現させてきた!」など歴史的に機能していた一面はあったとしても、現代の情報社会にとっては不要な制度不要な組織、と言えるでしょう。



ジャーナリズムの変化

日本の報道自由度の順位が低下した別の要因として、ジャーナリズムの変化も挙げられます。


①発表ジャーナリズム

これは大震災や原発事故などの国家危機が発生した際に、その情報源が政府に集中することにより、問題が発生します。

→政府が記者会見で発表した情報をそのまま鵜呑みにして報道する姿勢。

先ほど、アメリカと日本における「新聞社と通信社の関係」を比較した際にも記した通り

日本のジャーナリズムは、問題に対しての主体的分析や取捨選択をすることなく、そのまま情報を横流しにしているだけです。

こんなことなら、AIが自動で音声を読み取って、記事を書かせた方がよほど効率的です。


②コンプライアンス・ジャーナリズム

→戦場や被災地など危険な地域に自社の記者を派遣しないで、フリー・ジャーナリストに依存する問題。

つまり、メディアとしての企業コンプライアンスによって、危険な地域には自社の社員を派遣せず、フリー・ジャーナリストに依存する構造的問題です。

私はこの問題に対して特に懸念を抱いています。

なぜなら、危険を冒してまで、戦争やデモの最前線で活動をしたジャーナリストの情報が、提供先の都合で取捨選択され、本来ジャーナリストが伝えたかった情報は蔑ろにされるケースがあるからです。

情報搾取ですよね…


最後に

いかがでしたでしょうか。

私たちが日常的に目にする情報は、どれだけ正確で、どのような過程を経て発信されているかを判断することは不可能に近いです。


それはあなたがこれまでに得た情報にも共通します。


これまで培った情報を信じることは忘れてはなりません。

しかし、その反面

情報に対して疑いの目を持つことも忘れてはなりません。


そのためには、作中で登場した


Believe and doubt yourself more than anyone else. 
誰よりも自分を信じ、疑え。


という言葉を、情報に触れるすべての”発信者と受信者”が持つべき共通概念だと思うのです。






最後まで読んでいただきありがとうございました。






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