弦之介

アーメン東京のセラピスト 秘湯の宿系吟遊詩人セラピスト♨️アルティメットノーマル&…

弦之介

アーメン東京のセラピスト 秘湯の宿系吟遊詩人セラピスト♨️アルティメットノーマル&ねち甘。リクエスト出勤。 出張承ります🚄 マシュマロ→https://x.gd/qAw3A

最近の記事

恋愛時計 あとがき

恋愛時計はいかがだったでしょうか。 元々は恋愛時計をモチーフにしたポストが始まりでした。 多くの方からそのポストに賛同をいただき、調子に乗った僕は小説を書きます!と宣言してしまったのです。 過去に何回か小説のようなものは書いてはいたのですが、エンディングまで書けたのは1回のみ。進めるうちに描きたい内容が増えてしまい、ゴールが果てしなく先に見えて先に進めなくなってしまうんです。 なので、今回はエンディングを先に書きました。そこに向けてストーリーを作っていけばとりあえず形

    • 恋愛時計 最終話 エピローグ

      最終話 エピローグ 「ママー早くしてよー!間に合わないよー」 翌年の年末、紗弥は祥子を急かしていた。渋谷のホールで行われる「KANADE」のワンマンライブに行くためだ。 春先にアルバムをKANADE名義でリリースした奏は、同時期に始まったドラマの主題歌に恋愛時計が使用され、YouTubeでの再生回数が3,000万回を越えていた。 年頃の紗弥にとって恋愛時計は外せない流行りの曲だっただけでなくKANADEのルックスも大のお気に入りで、すぐに推しになった。 今も出掛ける

      • 恋愛時計 第29話 恋愛時計

        第29話 恋愛時計 シャワーを浴びながら、祥子は奏への思いを感謝に変えるためにはどうしたらいいかを考えていた。このままではこれからも苦しむことはわかっていた。 けれども簡単にこたえが見るかるはずもなく、寝室のドレッサーで髪を乾かしていた。 その時和夫が祥子に話しかけた。 「ちょっと目を閉じてー」 「え、どうしたの?何で?」 「いいからいいから」 「う、うん、わかった」 目を閉じている祥子の手に和夫は小さな箱をそっと置いた。 「え?」 と目を開ける祥子。

        • 恋愛時計 第28話 恋と愛

          第28話 恋と愛 奏は年内でセラピストを辞めることを告知していた。これまでの感謝の気持ちで大晦日まで毎日何件もの予約に対応していた。 12/24の演奏会を除いては。 この日は奏が数ヶ月前から祥子の誕生日にスケジューリングした演奏会だった。 ただディズニー旅行のあと二人の関係はどこかギクシャクしていた。お互いを強く思う気持ちとは別に、祥子は家族を思い、奏は祥子や彼女の家族に迷惑をかけてしまう、と思っていた。 「12/24の演奏会、来て欲しい」 「まだよくわからないの

        恋愛時計 あとがき

          恋愛時計 第27話 事故

          第27話 事故 ディズニーシーのパレードを見ていたとき、祥子のスマホに着信があった。和夫からだった。パレードの音楽の中だったので終わるのを待って静かな場所からかけ直した。 「祥子!脩平がバイクで事故った!」 「え!」 「今、世田谷の関東総合病院にいる」 「脩平は大丈夫なの!?」 「意識不明で状態は詳しくはわからないんだ」 「すぐに帰るから!」 「うん、急いで!」 突然のことに祥子はうろたえていた。 「息子が事故で運ばれたの、ごめん、帰るね」 「え!僕も途

          恋愛時計 第27話 事故

          恋愛時計 第26話 ディズニー旅行

          第26話 ディズニー旅行 祥子はディズニーが大好きだった。子供たちが生まれる前は和夫とよく一緒に出掛けては二人で子供のように楽しんでいた。 ただ子供たちが生まれてからは、主役は子供たちで自分たちは子供たちが望むものを一緒に楽しむだけだった。もちろん、子供たちの笑顔を見るのが幸せだったから何の疑問も抱くことはなかった。 ただ奏と出会った今、自分のために楽しみたかった。奏と一緒に楽しみたかった。 「奏くん、12月のディズニーって行ったことある?」 「ううん、行ったことな

          恋愛時計 第26話 ディズニー旅行

          恋愛時計 第25話 嫉妬

          第25話 嫉妬 そんなことがあってから、お互い少し気まずくなり連絡を取り合わなくなった。 そして1週間が過ぎたある日。 祥子は奏のことが気になって写メ日記を見たが更新されていなかった。Xのポストもなく少し心配になっていたが、口コミを見た瞬間、心配したことを後悔した。 この1週間で10件以上の口コミがあり、中には何をしたかなど事細かに書いてあるものもあった。 怒りにも似た感情が祥子を襲う。 以前、ギタリストの奏が、涅音として女性用風俗のセラピストをしていると知った夜

          恋愛時計 第25話 嫉妬

          恋愛時計 第24話 最後の一線

          第24話 最後の一線 祥子と涅音、いや、奏はホテルにいた。奏が会いたいと思う気持ちと同じ、それ以上に祥子は奏に会いたかったのだ。気付いたら祥子は予約を入れていた。 二人はすぐに肌と肌を合わせ、慈しむようにお互いの温もりを感じていた。お互いに気持ちよくなってもらいたいと願い、お互いにお互いの手で誰よりも気持ちよくして欲しいと思っていた。 祥子が何度か絶頂に達し、奏自身に触れていた時、二人は同じことを思っていた。 (ひとつになりたい) 女風では最後の一線は守らなければな

          恋愛時計 第24話 最後の一線

          恋愛時計 第23話 セラピスト

          第23話 セラピスト 奏は月に1回演奏会を行っているが、ファンはさほど多くない。30人といったところだろうか。CDをリリースしても100枚プレスして在庫が余るほどだ。 ただ暇潰しや趣味ではなく本気でプロギタリストを目指して夢を追い求めているのだ。 女風セラピストをしているのには夢に関する理由があった。世界に20本しかないマーチンの「OM 20th Century Limited」を手に入れて演奏したいからだ。500万円以上するこのギターで自分の曲を弾きたかった。そしても

          恋愛時計 第23話 セラピスト

          恋愛時計 第22話「指」

          第22話 指 祥子はベッドの上にいた。 涅音は、いや、奏はシャワーを浴びている。 もう後戻りできないところまで来てしまった。今、祥子は女である。母親でも妻でもない、女になってシャワーを終えて出てくる男を待っている。心臓が胸を突き破るのではないかというぐらいドキドキしながら。 「お待たせー」 「奏くん、今すぐ私に触れて欲しい」 祥子はこのドキドキに耐えられずすぐに触れて欲しかった。 「え、揉みほぐしはいいの?」 「いらないから、今すぐして」 「う、うん」 奏

          恋愛時計 第22話「指」

          恋愛時計 第21話 疑似恋愛

          第21話 疑似恋愛 11月に入り急に寒くなってきた。祥子と奏は毎日のようにLINEで連絡を取り合い、お互いの存在が特別なものになりつつあった。 奏は祥子に会いたかった。涅音としてではなく奏として会うにしても店舗から見れば涅音であり、タダ会いはルール違反。許されないことである。 ルールに沿って会うことはサービスの提供であり、会いたいと言うことは祥子に対価を支払ってもらうことになる。祥子にとって奏の会いたいは営業文句でしかなく、本当の気持ちを伝えるのは難しかった。 「祥子

          恋愛時計 第21話 疑似恋愛

          恋愛時計 第20話 セッション

          第20話 セッション 家に帰るとすぐにシャワーを浴びた。そうしないと身体があの熱に包まれたままになってしまう気がしたから。 「ママー、パパから電話があって今日は少し遅くなるってー」 「はーい、わかった」 ホッとした。普通じゃない自分を見たら、かずが違和感に気付くかもしれないからだ。 帰宅途中、祥子の中に一瞬見えなくなっていた罪悪感がわき上がってきた。今、シャワーを浴びながら罪悪感と自分の中の女が戦っている。だとしても、もう動き出してしまった恋愛時計が誰にも止められな

          恋愛時計 第20話 セッション

          恋愛時計 第19話 キス

          第19話 キス 「こんばんは、祥子さん」 10月上旬、2度目のデートを申し込んだ。会うのは4回目になる。 「ごめんなさい、次の演奏会でお会いするのを待ちきれなくてお誘いしました」 「そうなんですか!もうこっちでは会ってもらえないだろうなって思ってたから嬉しい驚きです」 (やっぱり奏の時よりも声が少し高くて饒舌な感じがするわ。これがセラピストの涅音なのね) 食事の後、海の音が聞こえる公園を散歩した。涅音は自然に腕を回して、指が腰に触れている。 (この指があの音を奏

          恋愛時計 第19話 キス

          恋愛時計 第18話 涅音と奏

          第18話 涅音と奏 8月の終わり、祥子は麻布十番の演奏会に来ていた。今回も奏の演奏に何度も貫かれ、彼の腕に抱かれたらどうなるんだろうという気持ちの高まりを感じていた。 でも今日は何も話さずに帰るつもりだった。なぜならセラピストとしての涅音と会った直後ということもあり、何を話せばいいのか、どういう顔でいればいいのかわからなかったのだ。 帰ろうと出口に向かっているとき、呼び止められた。 「祥子さん!」 (えっ!!) (奏?ど、どうして?) 「あ、あの、こんばんは・・

          恋愛時計 第18話 涅音と奏

          恋愛時計 第17話 温泉旅行

          第17話 温泉旅行 夕食の後、リビングでテレビを見ていた和夫が話しかけてきた。 「お盆休みはどうしようか、家族で旅行でも行く?」 洗いものをしていた祥子は答えた。 「そうね、でも紗弥も脩平も友達と遊びに行くんじゃないかしら」 「もう家族で出掛けることもあんまりないのかな、寂しいなぁ」 「二人で温泉にでも行く?」 「いいねー!ちょっと調べとくよ」 二人の夫婦仲は決して悪くない。それどころか外から見たら仲睦まじい夫婦で祥子も和夫の誠実さと優しさを常に感じていた。子

          恋愛時計 第17話 温泉旅行

          恋愛時計 第16話 二度目の出会い

          第16話 二度目の出会い デート当日、祥子は何を着るか悩んでいた。それ以前にかわいい下着を持っていないことに気付いた。 (でも服を脱ぐことはないよね、だってデートって決まってるんだもんね) ウキウキして初めて男性とデートする気分だった。 青系のワンピースにヒールで代官山の駅近くで奏を待っていた。もう少ししたら彼が来る。祥子はドキドキを抑えることが出来ずに何度も深呼吸していた。 中目黒の演奏会の後に話したこと覚えてるかな?覚えていて欲しい気持ちと忘れていて欲しい気持ち

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