恋心を打ち明けるくらいなら、友だちでいたい。
そんな風に考える人たちが増えているのだろうか。
■「恋人未満の方が気楽だから」という理由
「友だち以上恋人未満関係の相手がいる人」500名に
訊いた「LoveMA」の2021年の調査によると
「友だち以上恋人未満の関係を続ける理由」のトップは
「気楽な関係でいたい」からで、
告白して恋人関係に進展させたいと
思っている人の割合は25.4%と低かった。
そうした事情から、
友だち以上恋人未満の関係が続いている期間は平均4年とか。
自民党の少子化対策の欠陥として、
将来の生活設計が描けない現状が指摘されるが、
そもそも恋愛をコストパフォーマンスの枠組みで
捉えるような意識の広がりは、なお深刻だ。
■ドラマに広がる“恋人未満”ストーリー
朝の連続テレビ小説「舞いあがれ」で
舞(福原 遥)は、親友の久留美(山下美月)に
「もし告白してしもたら、今の関係には戻られへんやんか」
と言いながら、
貴司(赤楚衛二)とは、ずっと恋人未満の
関係に踏みとどまっていた。
「しょうもない僕らの恋愛論」で
絵里(矢田亜希子)は、慕っていた旧友の拓郎(眞島秀和)に
「友だちなら、ずっと傍にいられるから」
打ち明けられなかったと伝えた。
この二つのドラマのヒロインの気持ちは、
まさに前述の調査の
「気楽な関係でいたい」という理由と呼応している。
どちらも結局、自分から告白して、
めでたく「恋人」になるのだが、
知り合ってからの期間が20年以上
という点も共通している。
ただ、この告白が現実を反映しているか、
と考えると大いに疑問符が付く。
■コスパと孤独の間で揺れ動く20~30代
「夕暮れに、手をつなぐ」では、
リストカットの過去をもつ
セイラ(田辺桃子)が、
「一人は寂しいから、誰かとつながりたいって
思うんだけど、つながったら余計寂しくなる」
と打ち明ける。
「Woman type」による2021年の
「働く女性調査(20~30代)」では、
66%が「どうしようもなく寂しいと
感じたことがある」と回答している。
内閣官房孤独・孤立対策担当室の
「人々のつながりに関する基礎調査」(2021年)でも、
孤独感が「しばしばある・常にある・時々ある」と
答えた割合は20代が26.3%、30代が22.4%と
全世代の最上位を占めた。
*
もちろん、20~30代は他世代よりシングルの割合が
高いはずで、その辺りが影響していることは否めない。
ただ、恋愛で傷つくのはコスパ的に損だし、
友だちであることを維持したい。
だって寂しいから、
なんていう友情意識が働いているとしたら、
若い世代の恋愛・結婚観の問題は根深い。