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[#レトリカル食レポ]口に運ぶほど小技にときめく、お弁当テイクアウト。

まずは南蛮漬けを軽くつまむと、
さっぱりとした酢の風味に絡まって
揚げごぼうの繊維質の風味は
人参に玉ねぎ、ショウガに囲まれ、
束に重なり合い味わいを深める。

ほっくりとした南瓜に目を奪われ、
その甘みを楽しめば、
胡桃が楽しそうにプチと歯をたたき、
小さく切ったベーコンが
じんわりと南瓜の味にとける。

シャキシャキとしたキャロットラペには、
レーズンがするりと甘みを届け、
噛むほどにあふれる鶏の旨みが、
あんからにじむ茸の滋味と
一つになって舌をくるむ
鶏肉のあんかけ煮を際立たせる。

小松菜のおひたしに箸を移せば、
歯の先からお出汁がじんわりと口に広がり、
小気味よく味蕾をくすぐる
菜の花やしらすがほろりと脇を締める。

漬けた桜の花弁が味に奥行きを出す
十六穀米は、一粒一粒を
脳に刻むように頬張る。

つぎつぎに、
味覚の隅々まで楽しませる
ひと品、ひと品は、
この小さな弁当の箱の中で、
幾重にも層になって
口もとほころぶ、
滋味のうねりを呼ぶ。
 
お麩を蒸して揚げたというフライは、
誰もその正体を言い当てられない妙味、
らしいが、
これは、隣で食べている人にあげた。

「食堂カフェ daily」。
今日もご近所の味で。

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