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ダンス男子とPD母

K-POPアイドルにハマった次男がダンスを始めて9か月になる。

当初、通っているダンス教室の生徒が彼以外全員女子だったこともあり、やや遠慮がちな様子でレッスンを受けていた彼も、その後同級生男子が入会してくれてますます楽しそうに通っている。1時間のレッスンを終えて帰ってくるといつも汗びっしょりなのでなかなかいい運動になっているようだ。

習い始めてから少しすると、次男は毎週SNSにダンス動画をアップするようになった。自分の好きなグループの曲や、教室で習ってきた振り付けを30秒ほど踊るだけの動画。毎週金曜日にもう半年以上継続投稿している。

Tik TokやYouTubeでダンス動画を見まくっているので、自分もやってみたくなったらしい。私が撮影と動画編集を担当している。次男からは「お母さんはPD(プロデューサーのこと)的な役割をお願いします。」と言われているのだ。

たかが週1投稿と思っていたらこれがなかなか大変だ。一週間って本当にあっという間に過ぎるのである。

このプロジェクトの作業の流れは、以下の通り。

まずは次男と何の曲を踊るかを考えるところから始まる。ここでけっこう意見が分かれ、一筋縄ではいかない。しかも選んだ曲が難し過ぎたりして結局断念せざるを得ないこともある。

曲が決まると、YouTubeでプロダンサーの方がアップしているチュートリアル動画や、アイドル自身が踊っている振り付け動画を見ながら練習をする。

当たり前のことだけれど、ダンス初心者の彼にとってアイドルの振り付けは猛烈に難しい。毎回大汗を流しながら一生懸命練習する。

とりあえず振りを覚えられたら、自宅のベランダやリビングの片隅、駐輪場などで撮影をする。何度も何度も失敗して撮り直しをする。

ずっと続けていると、母はもう面倒になってきて、「さっき撮ったやつでいいんじゃないの?」などと提案する。すると次男は「あんな下手なやつを見てもらうのは嫌だ。」と反抗してくる。そして何度も撮り直しを重ねる。

謎のプロ意識。


そうしてなんとか納得のいくものが撮れるとカメラチェックをし、次男のOKが出ると終了である。あとは私がアプリで編集をするのみ。

動画を投稿すると、「今、何いいね来てる?」とか「コメント読ませて。」などと尋ねられる。そしてそのいいね数やコメントに一喜一憂している。

お前さん、本気なんだな。


母はその姿に感心してしまう(親バカゆえ)。そんなに真剣なら母は撮影も編集も頑張ってやろうと思う。

いつまでこの撮影は続くのだろう。きっと思春期になったら、母と撮ったダンス動画なんてちょっとした黒歴史になってしまうかもしれないけれど私はずっと懐かしく思うのだろうな。

次男にいつまでこの投稿を続けるのか聞いてみると、

「高校卒業まで」

と返ってきた。母は白目になった。

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