師弟百景 “技”をつないでいく職人という生き方 (井上 理津子)
(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)
いつも聴いているピーター・バラカンさんのpodcast番組に著者の井上理津子さんがゲスト出演していて紹介された著作です。
内容は、今日に続く “職人” の世界を舞台に、“伝統的技芸” を伝えていく師弟関係の「今」を小文と写真で紹介したものです。
丹念な取材で描き出された “職人の世界” のエピソードはどれもとても興味深かったのですが、それらの中から特に印象に残ったところをいくつか書き留めておきましょう。
まずは、井上さんが本書で特に注目した「現代の職人像」が表れているくだり。
文化財修理装潢師の現実から。
また、江戸木版画彫師の関岡裕介さんはこう語っています。
同じような例をもう一つ。茅葺き職人の中野誠さんの指導方法。
だからといって、職人の師匠に弟子入りした若者たち(なかには、ミドルエイジの方も)は、その境遇に甘えて受け身になっているわけではありません。
左官職人の弟子、吉永真美さんの場合。
先の茅葺き職人中野さんの弟子、湯田詔奎さんは、今日流のツールもフル活用しています。
昔のような厳しい徒弟制度ではないにしても、本書に登場している弟子の方々はみんな、伝統を引き継ぐ気概を持って、師の一挙手一投足を見逃すまい、一言をも聴き洩らすまいと真剣な姿勢で取り組んでいるのです。
そして師匠らもまた、自らの技の全てを惜しみなく教え伝えています。
今日流の “師弟関係の進化形” ですね。
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