昆虫はすごい (丸山 宗利)
(注:本稿は、2014年に初投稿したものの再録です)
新聞の書評欄でみて気になった本です。
地球上の生物種の大多数を占めるのが「昆虫」なのだそうですね。
著者の丸山宗利氏は、昆虫の多様性の研究では第一人者とのこと、本書において、驚くべき昆虫の不思議をこれでもかと紹介してくれています。
たとえば、私が最も不思議に思っている“擬態”のプロセスについてですが、著者の見解はこうです。
つまり、偶然がトリガーで選択により生存確率が高まる方向に収斂していった結果だというのです。気が遠くなるような遠大な道程ですね。
さて、本書を一貫している著者の主張のエッセンス、すなわち
という指摘はとても興味深いものです。
そして、それは、本書で紹介されている昆虫たちの姿を見れば確かにと大いに首肯できるところでもあります。
たとえば「農業する」との項での「ハキリアリ」の生態。
ハキリアリは、木の葉を切り取り巣に持ち帰って、そこに「菌」を植え付けます。ただ、その菌園は放っておくと雑菌が増えて壊滅状態になります。そこでハキリアリは、なんと ”農薬” を使うのです。
この方法は、・・・悪いたとえだが、ごく最近開発された悪名高き農法、雑草を枯らす除草剤をばらまき、そこに除草剤に耐性のある遺伝子組み換え作物を栽培する最新鋭の農法と原理的に非常に似通っている。
もうひとつインパクトがあったのは、昆虫の世界での ”奴隷制” の存在です。ここで「奴隷を使う」というのは ”寄生” の一形態でもあります。
幼虫や蛹を略奪して奴隷とするケースもあれば、宿主の巣に乗り込んで乗っ取るケースもあります。ただ、乗っ取りに失敗して返り討ちにあう場合も少なくないようで、やはり双方の生存を賭けた厳しい世界ではありますね。
最後に、本書の中で最も驚いたこと。
著者が支持する分類法によると「カマキリ」は「網翅目」に分類され、ゴキブリやシロアリなどと同類とされていることでした。だいぶイメージは違いますよね。
〔ハキリアリの生態動画〕
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