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べつに怒ってない (武田 砂鉄)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。

 著者の武田砂鉄さんの本はちょっと前に「マチズモを削り取れ」を読んでいます。なかなか面白い感性をお持ちのように感じたので、この本にもトライしてみました。こちらは、かなり “くだけた” エッセイ集です。

 ビジネス雑誌に連載したものの再録とのことで、正直なところ、合う合わない、多種多様、玉石混交な内容です。
 とはいえ、ここで部分的であってもその内容を紹介してしまうと、これから手に取ってみようという読者のみなさんの楽しみを奪ってしまうことになりますから、私の感性と同期したくだりをひとつだけ書き留めておきます。

(p223より引用) 何かをするよりも、何かをしないほうが好きなのは、そっちのほうが頭の中が楽しくいられる、と信じ込んでいるからなのだろう。
 街には、ぼーっとベンチに座っている老人がいる。何を考えているのだろう。その前に、仲間たちと歩く老人グループが通りかかる。ベンチに座っているほうが楽しそう、と自分は思うのだ。

 で、本書を読み通しての感想です。

 この手のテイストのエッセイもオリジナリティのある切り口でなかなか面白いのですが、正直なところ、私とは今ひとつ “波長” が合いませんでした。

 武田さんには、やはり現代社会で横行している “なにか変、これはダメでしょう” といった事象を取り上げて、そこを切り裂いていくような鋭いメッセージの発信を期待したいですね。
 すべての従来型メディアが批判精神を忘れて “長い物には巻かれろ” 的な機能不全に陥っているなか、武田さんのような尖がった突進力を発揮できるキャラクタはとても貴重だと思うので。



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