ボクは好奇心のかたまり (遠藤 周作)
遠藤周作氏の著作は、実のところ小説もエッセイも読んだことがありませんでした。
今回は、たまたま満員電車の中でも開けるようなかさばらない文庫本が切れていたので、納戸の本棚から取り出してきたのです。1979年刊の文庫本ですが、単行本は1976年刊ということなので、かなり昔の本ですね。
中身はと言えば、確かにユーモアに富んだ楽しい内容です。評判どおり遠藤氏は、軽妙洒脱なエッセイの書き手ですね。
氏の “仲間内の話題” もあるのですが、そこに登場する方々(佐藤愛子氏や北杜夫氏等々)のエピソードも面白く、それはそれで興味深く読みました。
たとえば、一例を挙げるとこんな感じです。
以前、遠藤氏はピーターさんと同じマンションに住んでいたそうです。そのマンションからピーターさんが引っ越した後、しばらくしてからのできごとです。
若い頃のピーターさんや研ナオコさんのイメージが湧く方であれば、確かにありそうと合点がいくのではないでしょうか。もちろん、後で研さんとピーターさんとの間でも話題になったのは間違いありません。
さて、こういったユーモアに富んだいくつもの話の中に、ちょっとシニカルなくだりやシリアスなフレーズも織り込ませています。
日本の精神風土におけるカトリック信仰の問題をテーマにした作品を残した「小説家」遠藤周作としての一面も、ほんの少し垣間見られたような気もします。
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