成功の法則92ヶ条 (三木谷 浩史)
著者の三木谷浩史氏は、「楽天」の会長兼社長、現代インターネットビジネスの起業家の代表格の方です。
本書は、その三木谷氏のビジネスに対する姿勢、それを成功に導くための要諦を具体的に92項目に章立てして紹介したものです。
もちろん、語られているものの多くは、従前からいろいろな方が述べられていることと同じです。以下のような「リスク」に対する意味づけとかは、その一例です。
とはいえ、中には、三木谷氏ならではのアドバイスや言い回しも見られて、なかなか興味深いものでした。
たとえば、本書の冒頭で語られている「夢」についての三木谷氏の台詞です。
3 また、「未来を見る努力」についてのコメントも、三木谷氏らしさが表れています。
さて、その他のフレーズで、私の関心を惹いたものをいくつか覚えに記しておきます。
まずは「ブランド」の将来形についての三木谷氏の考えです。
ということは、「ブランド」は、所有する人の理念に呼応した“その企業の理念”を象徴するものでなくてはなりませんし、そもそも、企業には「掲げるべき明確な理念」がなくては存在し得ないことになります。
もうひとつ、三木谷氏が考案した「2ミニッツ・コール」というルールについて。
インターネットビジネスにおいては、極力人手をかけたオペレーションは省こうとする傾向が顕著ですが、三木谷氏は、肝になる瞬間には「人手」を厭わないようです。ヴァーチャルとリアルのコミュニケーション連携のひとつの効果的な実例ではありますが、ベタな手法で、かえってあまり気づかないものです。
最後に、「0.5%の努力」を大事にすべきとの三木谷氏のアドバイスです。
ア. (p278より引用) 誰もが努力をしているのが、競争社会の前提だ。・・・
にもかかわらず、実際の製品や、サービスには明らかな差がある。これは、どういうことだろう。その差はいったいどこから生れてくるのか。
僕は最後の0.5%の努力の差だと思っている。
限界まで頑張ることは、誰にでもできる。限界まで頑張ったその上に、さらに0.5%努力を重ねられるかどうか。その差なのだ。
・・・僅かな差であっても、限界の上に積んだ0.5%は、決定的に大きな差になる。なぜなら、その僅かな差を敏感に感じ取ってしまうのが、人間の感性というものの性質だからだ。
この指摘には、私としても大いに反省させられました。
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