佐渡伝説殺人事件 （内田 康夫）

（注：本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。）

　かなり以前に読んだ内田康夫さんの “浅見光彦シリーズ” ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。

　ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら “浅見光彦シリーズ” の制覇にトライしてみようと思い始ました。

　この作品は「第5作目」です。舞台は “佐渡”。
　出張では新潟市までは行ったことはありますが、佐渡島には渡ったことがありません。何らかの関わりがあったとしたら、30年以上前の職場の上司の方が郷土愛溢れる佐渡のご出身だったことぐらいです。

　ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、この作品、モチーフ自体月並みな上に、事件の解決シーンもちょっと浅見光彦らしくないですね。肝心のところを犯人に延々と語らせているのはどうにもいただけません。
　ほかにも、陽一郎の絡み方がスマートでなかったり、ヒロインの存在がまったく活かされていなかったりと、シリーズとしての “お約束” が守られていないのはかなり残念です。

　極めつけは物語の舞台となった “佐渡” の扱いです。陰惨な雰囲気が先に立って地元の方々にとっては期待外れだったことでしょう。
　正直なところ、本作品の “旅情ミステリー” としての満足度もかなり低いと言わざるを得ませんね・・・。

　さて、取り掛かってみた “浅見光彦シリーズ制覇チャレンジ”、それほど強い意志をもって完遂しようとも思っていませんので、まあ、“どこまで続くことやら” です。

　次は「白鳥殺人事件」ですね。

佐渡伝説殺人事件 (角川文庫)