(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
いつも利用している図書館の新着書の棚で目についた本です。
雨宮処凛さんの著作は初めてです。
本書は、長年にわたり「貧困問題」に取り組んできた雨宮さんが、今般のコロナ禍がもたらした貧困に苦しむ人々の生活への強烈なインパクトを、時の政権の取り組みや現行の福祉制度を押さえつつ書き記したレポートです。
本書では、数々の貧困の構造と課題が示されています。その多くは、2008年のリーマンショックを端緒とし、その時の教訓が何ら活かされることなく、今般のコロナ禍で問題が一気に噴出したものでした。
たとえば、「フリーランス」の場合。
セーフティネットとしての「公助」は機能せず、“民間ベースのボランティア(助け合い)活動” に頼りながら、厳しい状況は一向に改善されないまま迎えることになった2020年の12月。
本書で雨宮さんが目指したこと。
もちろん、立法や制度、それらを実際に運用していく体制等々、是正・改善すべき課題はそれこそ山のように顕在化していますが、それらが政治の責任で解消されない以上、まずは、“今を何とかしのぐ”、その切羽詰まった人たちに手を差し伸べること、これが不本意ながらも、最優先に取り組むべきアクションだということです。
そして、今2021年も年末が近づいています。
本来なら一年前よりも格段に状況が改善されているべきではありますが・・・、ともかく一年前より少しでも人々の苦しみが減っていることを心から祈りたいと思います。