マガジンのカバー画像

地獄おっさん

9
地獄のおっさんに遭遇致しました。 短編小説です。
運営しているクリエイター

#フォローお願いします

『地獄おっさん』⑤

『地獄おっさん』⑤

コウジ、くわえていたタバコをテーブルに落とす。

マサキ、振り返りコウジの視線の先を見る。
マサキ「(呟き)は?…な、なんで?」

マサキ、視線をコウジに戻す。
コウジは落ちたタバコを拾い、火を消している。体は小刻みに震えている。
マサキも、体振るわせ、震えて声で口を開く。

マサキ「コ、コウジ。どうする? どうするよ? なぁー、なぁー」

白いセダンのおっさんは、隣の隣のテーブルに座る。
席に着

もっとみる

『地獄おっさん』⑥

コウジ「ん? なんだ! なんだ!」
マサキ「え? どうしたの? あのおっさん!」

二人は、外に出て行ったおっさんを、ガラス越しに視線で追う。
おっさん、自分の車のところで一度運転席をあけると、またスグに閉め、駐車場の中のマサキとは違う車に向かう。その車に、丁度会計を終えた老夫婦が近づいてくると、おっさんはきびすを返し、もう一台のマサキの車に近寄っていく。
そしてマサキの車の周りを、ゆっくりと回っ

もっとみる
『地獄おっさん』⑦

『地獄おっさん』⑦

マサキ「え?ガム?」
コウジ「あぁ。さっきおっさんが、やってたんだよ…」
マサキ「マジかよ…だめだ! もう逃げよう!」
コウジ「落ち着けって! もう車が使えねーんだ! 外へ出たって、ガムとってる時にぜってーやられる」

二人は異常なまでに体を小さくし、小声でこそこそ話しているが、
おっさんは気にも止めず、淡々とタバコを吸っている。

マサキ「じゃーどうする?」
コウジ「店員に言って、助けてもらおう

もっとみる