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サンティアゴへつながる最後の道【ポルトガルの道#12】

歩き旅、ポルトガルの道の旅12日目。とうとう最終日となった。サンティアゴ・デ・コンポステーラのサンティアゴ大聖堂まで残り7.7㎞しかない。2時間もあれば着いてしまう。ゆっくりゆっくり進もうと思った。

世界多分一周旅中ではあるが、私のライフワークともいえる歩き続ける旅「カミーノ」を、長旅の途中に組み込んだ。
通称「カミーノ」とは、スペインの北西にあるサンティアゴ・デ・コンポステーラという町の大聖堂を目指して、そこへと繋がる巡礼路がいくつもあり、道ごとが世界遺産認定されている美しい道。2015年~2017年に「フランス人の道」というフランスから東西に延びる800㎞のメジャーなルートを歩き通し、次に2019年と2023年にフランス国内のルート「ルピュイの道」を少しずつ歩いていた後、私が選んだのは「ポルトガルの道」。
世界一周の旅の途中にポルトガルのポルトに飛び、そこから海岸沿いのルートをずっと北上して、スペインへと国境を越えて、270㎞先のサンティアゴを目指して毎日歩く。その記録。
マガジン「380km歩き旅!ポルトガルの道」にまとめています。

長過ぎる前置き

昨日のはこちら↓

昨日21:30に見た夕日と反対の方向に、朝日が見えた。
朝日を眺めながら、こういう毎日を過ごしてきたのだなと振り返って思った。昨日作ったハンバーガー3個目を静かな森の中で食べる。こういうことも、毎日毎日繰り返してきた。
いろんなものをいろんな場所で、道の途中に食べてきた。これは食いしん坊な人間の食べ物の記録とも言えるが、生きることは食べること。その連続なのだ。今日は何を食べたいか考え、何をどこでどれだけ買うか、気に入ったものを食べ続けたり、新しいものに挑戦したり。夜は、毎晩いろんな人と一緒に楽しい食事の時間を過ごしてきた。
私にとって食事は、誰と食べるか、何を食べるか、どこで食べるかの全てが重要だと気付いた。
巡礼とは歩き続ける旅だけど、歩いて食べて洗濯してしゃべって寝ての繰り返しで、つまりは極限までミニマムにした連続する「生活」なのである。
そういう気づきがこのハンバーガーにつまっていた。

気づきはつまっているが、野菜は皆無のハンバーガー
向こうの方に、観覧車右下あたりに、
サンティアゴ大聖堂が見えた!!

森を抜け、サンティアゴの旧市街地に近づいた。道が二手に分かれていて、どちらに行ったらいいか分からず、クリスティーナと一緒にそこにいたおじさんに尋ねたら、右の方が少し近道になり、左の方は古い修道院と精神科の病院がある道を通るよ、とのこと。
ここで突然の寄り道をすることにした。(noteの流れ的にも寄り道の余談になります。)

ふと、古い修道院の隣の精神病院を訪ねてみようと思ったのである。「ちょっと寄ってみようかな?」とクリスティーナに言うと、少しびっくりした後に、「あなたの前の仕事に関連する場所だし、今無職だし、雇ってもらえるか頼んでみたら?」と笑いながら言って、「じゃあサンティアゴ大聖堂で待ってるから」と前を歩いて行った。雇ってもらうかの冗談は置いておくとして、スペインの精神科医療に興味があったので、1人で病院を訪ねて、「自分も日本で精神科の病院に勤めていたことがあるから興味があります。お話を聞かせてもらえますか?できれば見学できますか?」と突然の依頼を受付の人相手に、カタコトのスペイン語で伝えてみた。
受付の人が精神科医の1人を連れてきてくれて、少しだけ説明をしてくれた。
病床は450床ある大型の病院で、現在は200人ほどが入院しているとのこと。ほとんどが統合失調症で、長期入院者が多いらしい。院内でされている作業療法の作品も見させてもらったが、手工芸の作品は日本と大体似たような雰囲気だったが、バゲットを入れる袋を作っているあたりが日本と違って面白いなと思った。隣に教会と修道院が併設されていて、クリスチャンが多いよう。そもそもキリスト教最大級の聖地にある精神病院なので、敬虔なキリスト教信者が入院をしている傾向があるよう。院内までは見学はできなかったし、私のスペイン語の理解はこのあたりが限界だったが、色々と質問に答えていただけてありがたかったし、興味深かった。

クリスティーナが早歩きで進んでいった。
病院
PAN


さてさて、本筋に戻るとして。
この病院を抜けて、進んでいくと、6年ぶりのアラメダ公園に到着。いつも通り2人のマリア像が立っている。ちなみにこの派手な2人組のおばあさんの像は、「Las dos Marias」と呼ばれる姉妹で、6年前に聞いた話では、フランコ独裁体制の時代に、午後2時になるとこのアラメダ公園に現れる人気者だったらしい。迫害を受けた人々の自由への叫びを、派手なファッションで代弁していたとか。その姉妹に久しぶり!と挨拶し、公園を通って旧市街地の中へ。
歩いていると、通りの隙間にサンティアゴ大聖堂の塔の一部が見えて、一瞬だけ景色が涙でぼやけた。涙がこぼれることはなく、油断すると笑顔になりそうな表情筋を少しだけ引きしめ、みんなが待っているサンティアゴ大聖堂へ急いだ。
大聖堂の前のオブラドイロ広場に着いた時、どう引き締めても笑顔になる。
私のポルトガルの道の旅は、とうとう終わったのだ。

2.25㎞!
インド、リシケシュで買ったガンジス川色の指輪が日焼けした手に似合わなくなってきた説。
Las dos Marias
世界一美味しいハンバーガー
チャチャもお疲れ様

そしてこの続きは、2023年当時に書いた最終回に繋がります↓



大阪から箱根くらいの距離を歩きました!

ポルトガルの道12日目。
O MilladoiroからSantiago de Compostelaまで。
35,000歩、歩いたのは7.7km、2時間半。
ポルトガルの道ポルト~サンティアゴまでの歩行距離は280kmと言われているけど、色々迂回して、ポルトから314km移動した。

さあ。サンティアゴでお祝いタイムが始まる。
続く…


ポルトガルの道の12日間歩き続けた旅はこれにて終了ですが、歩き足りない私は、ボーナスステージとして、クリスティーナやフェデリコ、その他の新しい仲間と、真のゴール地点、西の果ての大西洋のそばの町フィステーラを目指してあと3日間歩くことにしました。
サンティアゴで2日間いろんな人との時間を楽しむ回をお届けした後、「番外編:フィステーラの道」をお届けします。この番外編も「380㎞歩き旅!ポルトガルの道」のマガジンに追加していきます。
(※ポルトガルの道が「280㎞」と言われているのに、マガジンのタイトルがなぜ「380km」なのかというとフィステーラまでの約90㎞やスピリチュアルの道で迂回した分やサンティアゴでこれから飲み歩く分を足しているからです。もはや正式な距離数は不明ですが、380㎞ってことに私はしてます、あしからず。)

あと、2023年6月に、ポルトガルの道の最終回だけを先に書いたnoteがこちらです。
1年半後にやっと書き終えることができて、ようやく「また戻る」のnoteに戻ってつなげることができて、ホッとしています。
ポルトガルの道を読んでくださっていた皆様、ありがとうございました。
歩き旅、あと3日だけ続きます。
それでは!




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のりまき
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