高齢化率50%超え、本土と一本橋の島の防災減災考
私が住んでいるのは、自然災害の絶えない日本列島ですが、
世界中の様々なニュースが毎日流れてくる中で、
自分事としてとらえることができなくなっていた、と気づかされました。
それが、2024年の幕開け、能登半島地震でした。
2か月半が経つ今も、断水が続いたり、避難生活が続いたりと、大変な状況におられる方が多くらっしゃると聞きます。心からお見舞い申し上げます。
私が住む周防大島も、能登半島と似ている?
周防大島町は平成29年に、本土とつながる唯一の橋「大島大橋」に貨物船がぶつかり、本土からの送水管が断裂。断水と強風時には通行止めという日々がしばらく続きました。
能登半島は陸続きですが、道路が断絶し、陸の孤島となってしまいました。
自治体の人口規模、高齢化率、人口当たりの行政職員数を比較しても、周防大島と似ていると感じる自治体があり、また新耐震基準が適用される(1981~)より前に建てられた家屋が多いという点(中国新聞2024.2.2)も、共通しています。
周防大島町が巻き込まれる災害が起こったら…能登のニュースを観ながら、本当に他人事とは思えず、日ごろの備えを考え直さねばと思いました。
明日3月18日の議会一般質問では、私を含め3人が防災・減災の視点で質問を予定しています。
私が質問しようと思うに至った経緯を、地域の方々の取り組みと、防災講演会講師のお話し、そして今回の能登半島地震での復興に携わっている現地のまちづくり会社、中間支援組織をっやっておられる森山奈美さんのことを紹介しながら、お伝えしようと思います。
被災直後は行政の支援は届かない!とのつもりでサバイバルを
月に1回、近隣のお年寄りたちが”サロン”を開催し、集まって勉強会をしたり体験をしたりと茶話会を開いておられます。
ちょうど、「2月、何かネタはない?」と話を振られていたので、これは防災・減災のお話しにするしかない!と思い、役場総務課消防防災班に相談し、職員さんに講義に来ていただくことにしました。
2月14日のバレンタインデー。茶菓子と日本茶をいただきながら、集会所で勉強会が開催されました。
職員さんのことばで、最も切実に心に響いたことが2つあります。
講演の最初に言われた、次の事。
そして最後に言われた、次の事。
国や自衛隊が動き出して現地に支援が届くのは、数日後。
今回の自身では、役場も被災して、連絡手段もなく、当初は状況を把握できていない地域も少なくなかったようです。
そうなると、被災直後から外の支援が来るまで、頼りになるのは”自分”と周りにいる人たちです。
住民一人ひとりが、自分の命をどう守るか
役場にサロンへの出前講座を相談した際、お伝えしたのが
参加者層(高齢者のおひとり暮らしもしくは高齢者のみの世帯、耐震ではない家屋に住んでおられる方が多い、女性が多い)と、その人たちが具体的に家に帰ってすぐにできることを話してほしい、ということ。です。
職員さんの私物だという防災リュックを持参し、中身を広げて見せてくださいました。
よく言われている、水3本、簡易トイレアルミポンチョ、ライトなど、ドラえもんのポケットのようにどんどん出てきました。
とのこと。
避難所に行けば、水やなんかは何とかなることも多いそうで、毎日飲んでいるような持病の薬が手に入らず困るので、これは持って逃げてほしいということでした。確かに…。
これだけなら、小さなポシェットに入れて持ち歩くことも、玄関に置いておくこともできそうです。
耐震化のリフォームをするとなると、それなりに費用もかかります。
それが無理でも、崩れる前に家から脱出する時間を稼ごう!という視点でお話しくださいました。
これなら、やる気にさえなればできそう。
家屋全体の耐震が無理でも、よくいる部屋だけやる、というのもいいそうです。
年に一度の防災講演会が10日後に。タイムリー!
サロンで職員さんが直接宣伝したこともあり、サロンに参加された方々を中心にご近所誘い合って、うちの地域からは多くの方が参加されました。
講師は、東日本大震災時に岩手県釜石市で防災課長をお勤めだった、消防庁の「津波語り部」として活動されている佐々木守さん。
どれだけ大変なご経験と思いをしてこられたか。
前日は役場職員向けの講演を行われ、この日は住民向けに講演を。
自主防災組織がどう動いたか、子どもからの防災教育がいかに重要で効果があるかということなど、事例を交えながら丁寧にお話しくださいました。
うちの地域ではどうだろう?と、みんなの顔を思い浮かべながらの聴講となりました。
いざとなったらやっぱり動けなかった
この3日後の2月26日。
周防大島でも最大震度3の地震が起きました。
道端で会ったご近所さんは
「あれだけ話聞いたのに、いざとなったら何もできなかった…」
と、悲しい顔をされていました。
私はというと畑で開墾中で、揺れにさえ気が付いていませんでした…。
忘れず、ちょこちょこ、気にしながら生活することが、まずはスタートしている私たちです。
過疎高齢社会の弱みと田舎社会の強み、他地域との連携の重要さ
Voicyという音声配信アプリで、木下斉さんの番組を毎日聞いています。
その中で、七尾市でまちづくり会社「御祓川」をされている森山奈美さんとの対談がありました。
”テレビ新聞では分からない、地域活動視点の能登地震の復旧復興のリアル”
というタイトルで、有料放送ですが、これは必聴だ!と、購入しました。
ーレジリエンスを高めるのは、地域の日ごろのコミュニティ。
ー事前に育ててきた全国ネットワークが被災時に活かされた。
などなど…
ほんと何度聴いても学びがあります。
今日(3月18日)から3日間、特別価格で前編後編各500円で視聴可能となっています。
ぜひ、お聴きください。
森山さんの活動に関するサイトも、以下にリンクを貼っておきます。
自助・共助・公助。補完しあうために
日ごろから健康のための散歩を通じでご近所さんの様子を把握しあったり、定期的にサロンに集って情報交換をしたり、同じ勉強を一緒にして知識や課題を共有したり。
先述の対談の中でも、平常時のつながりの強さや意思決定の方法が、非常時に活かされるものであって、「一朝一夕にできるものではない」と言われています。
違う地域の自治体同士(もしくは中間支援組織などの民間組織同士)が協定を結ぶなど日頃から横のつながりを作っておくと、被災地域を被災していない地域が初動の支援を迅速に行える。
「自助と共助でここまで頑張ってほしい」ということを行政にはもっと地域に伝えてほしいし、地域は地域でどこまでできるか、出来ない部分をどう保管していくかは外に求めたり行政に相談するなどして打開策を考えるなど、押しつけではなく歩み寄りで自助力・共助力を高めていかないといけないと感じています。
そして公助の部分はしっかりと、町が県や国と連携して整備していくことが、安心な暮らしにつながるのかなと思います。
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