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温度ではなく"温めるしくみ”で痛みを改善する

漢方カウンセラーで国際薬膳師の池田のり子です。

数日前から背中の上部が痛くて、息を吸っても痛い…という状態でした。

何か症状が出るとちょっとワクワクしてしまうのが、中医学(中国伝統医学)を仕事にしている人のヘンなくせ…。

今回の痛みについて、人体実験をしてみました!

どんな痛みも2タイプ

頭痛、胃痛、腰痛、腹痛、生理痛など、いろいろなところで痛みが出ますが、中医学ではどこの痛みであって「不通則痛(ふつうそくつう)」と「不栄則痛(ふえいそくつう)」の2つのタイプで考えます。

(1)不通則痛
通らない(めぐりが悪い)ことで痛みが出る。

(2)不栄則痛
必要なものが足りないことで痛みが出る。

中医学では、気・血(けつ)・水(すい:本当は津液ですが、ここでは分かりやすく水と書きます)の量とめぐりのバランスを考えるので、痛みも同じように捉えます。

人間の体を車に例えて言うなら…

気:タイヤ
血(けつ):ガソリン
水(すい):冷却水

となります。

めぐりが悪いことが原因の痛み(不通則痛)

◎気のめぐりが悪い

車でいうタイヤが正しい方向にまわっていない状態です。

人の体はすべて気で動いているのですが、そのめぐり方にはルールがあります。

そのルールが乱れると、渋滞が起こります。

原因は、ストレスや緊張。

でも、気は空気みたいなもので見ることも触ることもできないので、「なんとなく詰まった感じ」であって、そこには何もないのです

詰まると苦しいし、そこに新たに気がめぐって来て行きどころのない気は大渋滞…。

「詰まる、張る、苦しい」という症状が出てきます。

気は血を乗せてめぐっているので、気のめぐりが悪いと血流も悪くなります。

でも、これは物質が滞っているわけではないので、ストレスや緊張が緩和すると、ウソみたいに痛みが消えるのです。

キーワードは、「いろいろ」。

場所も痛み方も、痛みが出るタイミングも感情や緊張によって変わるので、「いろいろ」なのです。

病院に行っても原因が分からなかったり、「自律神経がね…」とか「ストレスですね…」と言われたり、私ぐらいの年齢だと「そういうお年頃…」なんて言われてしまいます…。

気のめぐりを良くする漢方薬を使ったり、セロリ、玉ねぎ、ピーマン、ジャスミンティーなどの香りに特徴がある食べものを食べるとラクになります。


◎血(けつ)のめぐりが悪い

血(けつ)は赤い血液だけでなく、栄養たっぷりの赤くない血(コラーゲンなども)もあります。

いわゆる血流が悪いタイプで、同じ場所が同じようなタイミングで同じように痛みます

血液が汚れているので、あらゆるところで紫色が出てきます

顔色、生理のときの経血の色、唇の色、あざができやすい…などなど。

「じゃ、血流を良くしよう!」と思いがちですが、それだけではダメなんです!!

血流が悪くなった原因を考えなければいけません…。

◎血の量があること
◎血をめぐらせてくれるタイヤの気がめぐっていること
◎タイヤの空気である気の量があること
◎冷えていないこと(寒いとゆっくりになるから)
◎熱すぎないこと(熱いとドロドロする…)

など、原因がいろいろあります。

血流を良くするものは、黒米、こんにゃく、納豆、玉ねぎ、いわし、鮭などがありますが、原因を見極めるためには、中医学のプロの診断を受けることをお勧めします。


◎水(すい)のめぐりが悪い

血以外の体液すべてのことですが、めぐりが悪いと浮腫が出てきます。

水を溜め込んでいるので、雨の日や台風の前などに症状が悪化することが多いです。

風船の中に水が入っているのをイメージして見て下さい。

頭にあると重く感じて、胃にあると動くたびに気持ち悪くなって、お腹にあると下痢をして、下半身にあると足がむくみます。

利尿作用の高い漢方薬を使ったり、はとむぎ、小豆、うり、わかめなどを選ぶと良いです。

◎邪気

自然界には6つの気があり、それらが体に入ろうとするときに邪気となります。

特に今は、冷たくしたりギュッと縮める寒邪の季節。

寒邪については、こちらで書いているのでご覧くくださいね。

http://norihime.livedoor.biz/archives/52848864.html


これらのめぐりが悪い・余計なものがあることが原因の痛みには、共通点があります。

それは、痛いときと痛くないときが、比較的分かりやすいこと。

あるときに痛くて、ないときに痛くないのです。


必要なものが足りないことが原因の痛み(不栄則痛)

人間の体を車に例えて言うと
気:タイヤ
血(けつ):ガソリン
水(すい):冷却水
ですので、それぞれが足りないときも車(人)は動いてくれません…。

これらは急に増えたりなくなったりしないので、基本的にずっとなんとなく痛いという特徴があります。

基本的に少ない人が、使いすぎたり作れないことでさらに減ったときに痛みが出やすいのです

◎気が足りない

疲れやすかったり、排泄が苦手なことが多いです。

気を作る漢方薬を使ったり、米・芋・豆類などの気を作る食べものを毎日食べましょう。


◎血が足りない

内臓を動かしたり、肌、つめ、筋、目、心、脳、髪に潤いたっぷりの栄養を届けています。

血が足りないと、各パーツが潤い不足で乾燥します。

血を作る漢方薬を使ったり、黒豆、なつめ、ひじきなどの血を作るものを食べましょう。


◎水が足りない

体の冷却水が少ないので、オーバーヒートを起こしてしまいます。

更年期障害のホットフラッシュやほてりのような症状が出てきます。

のどが渇くのですが、あまり飲めないのが特徴。

熱く感じますが、冷却水不足で熱さをコントロールできないだけなので、本当は熱くないのです…。

水を作る漢方薬を使ったり、山芋、ブリ、豚肉、卵などを食べましょう。


◎温める力が足りない

ガスコンロが弱火の状態で、お鍋のお湯(体)が温まりにくいです。

体に冷えを持っていると外の冷えをお友達だと思って取り込むので、寒い冬に痛みや症状が悪化する傾向にあります。

温める力を作る漢方薬を使ったり、羊肉、ニラ、エビなどの温める食べものを食べましょう。


私の背中の痛みの原因は…

同じ場所が同じタイミングで痛むので、血流が悪いということが分かりました。

あと、お風呂に入ると痛みが緩和するので、冷えもあります。

疲れたりストレスが強くなると痛むので、これは「不通則痛」であり、温めながら血流を良くすればいいのでは?と思ったのです。


鮭の粕汁を作ってみました!

そこで、選んだのが酒粕&鮭&ネギ。

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酒粕:温/甘辛/脾/補気、温中、活血
鮭:温/甘/脾胃/補気、補血、温中、理気、活血
黒木耳:平/甘/肺脾大腸肝/補気、養血、潤肺、止咳、止血
葱:温/辛/肺胃/解表、通陽、散寒、健脾、散結
ブロッコリー:平/甘/肝脾腎/補腎、強壮、健脾、補五臓
にんじん:平/甘/肺脾肝/健脾、消食、滋陰、補血、明目
大根:涼/辛/肺胃/消食、化痰、寛中、降気
陳皮:温/辛苦/脾肺/理気健脾、燥湿化痰

いきなり漢字の羅列ですみません…。

でも、薬膳を勉強している人にとったら、ワクワクする表記なんです(笑)。

私の背中の痛みの治療法則は、「体を温めながら血を作ってめぐらせる」です。

寒くて血を作る製造工場の脾が動いていないので、まずは胃腸を温めて工場を動かします。

お腹を温めると背中の緊張が緩みます。

これも陰陽。

脾を元気にすることを「健脾(けんぴ)」といいます。

大根は消化を促進して、食べものを受け入れて消化をする胃をご機嫌にしてくれます。

血を作ってめぐらせることを「活血(かっけつ)」といいます。

酒粕が温めながら活血をしてくれます。

しかも、八海山の酒粕なので、かなり美味。

そこに、温める助っ人が登場!葱と陳皮。

ネギは冷えを改善してめぐりを良くして、陳皮は気のめぐりを良くするので一緒に血を運んでくれます。

メインの鮭は、胃腸を温めて気血を作り、気血をめぐらせてくれる超優秀食材!!


背中の痛みが治りました!

少し濃いめの粕汁をふぅふぅいいながら食べると、すぐに体がポカポカして、指先もジンジン…。

しっかり温めたあとは、おうち酵素を入れたお風呂にゆっくり浸かり、温かいお布団でぐっすり休みました。

翌朝起きると…

痛くな~い!!
粕汁さま、ありがとう~!!


食べものを選ぶときはペアも考えて

今回の私の背中の痛みは、鮭の粕汁で改善しましたが、「背中の痛み=粕汁で改善」ではありません。

筋肉が弱いときでもなりますし、炎症を起こしていることが原因かもしれません。

もし炎症を起こしていたら、粕汁で温めたら悪化してしまいます…。

つまり、必ず「弁証(べんしょう)」というタイプを見極めることが必要なのです。

見極めるためには、きちんと診断することが大事。

何をどう料理するかも大切ですが、診断と弁証の力がないと食べものを選べないのです。

なので弊社が運営している薬膳スクールでは、理論を学ぶことに重点を置いています。

そして、食べものはただ選ぶだけよりも、組み合わせを考えることで、さらに食べもののパワーを活かすことができます。

これを読んで、薬膳を勉強してみたいなと思った方は、暮らしに活かす薬膳セミナーの「初回セミナー」を受けて下さい。

そうすれば、薬膳の世界を知ることができて、みなさんのライフスタイルにあった薬膳の取り入れ方が分かるようになります。

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11時~18時(月火曜日定休)

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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