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出世ルートから外れる中で

長旅で疲れた頭を窓ガラスに預けて、後ろへと過ぎ去る風景に思いを馳せていた。私は激しく瓦解した2年半の努力をゆるやかに市街地から郊外へ運んでいたのである。それは敗戦の一言ではまとめられない、忸怩な出来事であった。

新案件にアサインされた私は浮かれていた。重要な役割かつ大規模な案件だったからである。それに、2年半の経験で会社に貢献できることが少なからずあるという自負が私にあった。

しかしながら、案件に対する私の期待値は想像していたよりもはるかに高いものだった。日を跨いで作成した資料も、上司から見ると質は低いものでやり直しを要求される日々が続いた。始めは成長の機会だと前向きに考えることができていたが、明らかに実力不足に起因する質の低さだと思い知らされた瞬間、立ち上がる気力を失っていた。あと一日、あと一日と指折り数えて週末を待つようになった月末。急に涙が止まらなくなった。うつ病だった。

正直、仕事を離脱するメンバーを多く見てきたが、自分が同じ状況になるとは思わなった。案件の波が高くなり、心身共に追い込まれる時期もあったが、どうにか乗り越えることができていたからである。

なぜ波を超えることができなかったのか。それは今の私は答えを出せていない。そのため、復帰に向けた取り組みとして少しずつ考えていくことにしよう。

休職を選択した時、会社の出世ルートから外れるという疎外感にさいなまれた。しかし、今は前向きに考えられている自分もいる。どこまで走ればよいのかわからない中でもがいてきた中で、やっと自分の体力を知ることができたみたいな感じだ。それじゃ、これからどうするか。それはまだ考えられていない。

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