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2024年版 中小企業白書を読んで「なるほどなぁ」とスッキリしたこと

(今回の内容は約2,000字、所要時間:5分程度です)

5月10日。私たち、中小企業診断士の教科書、中小企業白書の2024年版が発表されました。

いつの時代も、教科書というのは本当に苦痛な読み物ですが、これを読まずして中小企業を語るわけにはいかないのです。
...一応、リンクを貼っておきますね。よ、読むならどうぞ。

2024年版中小企業白書(なんと全700ページ!)
概要版(スライド40ページ)

実は「小規模事業白書」なるものもあるのだが、ややこしくなるのでここでは触れない

ということで、教科書のナナメ読み(言っただけで先生に叱られそうな読み方だな...)をして、想ったことを少しずつ綴っていきます。


1.中小企業・小規模事業者が直面する課題と今後の展望

(1)課題は何といっても「人材不足」

中小企業・小規模事業者が直面する課題は、何といっても「人材不足」。

・コロナ明けで売上は回復基調だが、それに伴う人手不足感が強まっている
・これまで女性・高齢者の就業で人材不足を補ってきたが、それも頭打ち
・人材確保ができている企業は、賃上げが進んでいる

中小企業白書第1部からNORICONが要約

(2)今後の展望1つ目、「賃上げ」

つまり、直面する課題=人材不足に対する、今後の展望の1つ目は「賃上げ」して人材を確保すること。
大きな視点では、政府・日銀が言う「賃金と物価の好循環」で日本経済を盛り上げることにつながる。

(3)今後の展望2つ目、「生産性向上(に向けた省力化投資)」

2つ目は「生産性向上(に向けた省力化投資)」(本文P184)。
...ということで、直面する課題=人材不足に対する今後の展望は、
①「賃上げ」をして人材を確保すること
②「生産性向上」を図って人材がいなくても何とかすること

もう一つ。「賃上げ」の原資(付加価値)を確保するために、生産性を向上させようって文脈もありますね。
だから...
③生産性向上→賃上げ→生産性向上→賃上げの好循環をつくろう

...と、ここまでは教科書の内容そのままです(笑)

2.「なるほどなぁ」とスッキリしたこと

ここからは、私が「なるほどなぁ」とスッキリしたことを書きますね。
まずはこの図です。

(1)いま、人材不足にどう取り組んでいるか?

2024年版中小企業白書より(本文中に何回も出てくる、つまりそれだけ大事な図)

何を言いたいかというと、人材不足への対応として企業が実際にやってることは、圧倒的に人に対することなんです(当然か(笑)、日本語変だな)。「省力化投資」ってのは、最後の最後に書いてあって、なんなら外注とか下請けと一緒になってて、全然意識されてないんですね。
それでも白書では、堂々と今後の展望に入れてるわけです。

...なんで?

(2)やってないけど必要なこと=ニーズがあること

白書ではこう分析してるんですね。

省力化投資を行っている企業は比較的少数で、中小企業における省力化投資への取組は拡大の余地が大きいといえる

2024年版 中小企業白書より

やってないこと(省力化投資)は伸びしろがある、と言っているわけです。
こうしたことから、今年度の省力化投資の支援メニューは、すごいことになってるんです。

①中堅・中⼩企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金
②中⼩企業省力化投資補助事業
③物流効率化に向けた先進的な実証事業
④省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費

リンクを貼っておいたので詳細はクリックしてご確認ください

今やってること=ニーズがあること、ではなくて、やってないけど必要なこと、それこそがニーズで、そこに政策誘導していくんだという、とても分かりやすい事例だなあと想いました。
...ところで、そもそもニーズとは何か?
それってもしかして、ウォンツじゃないのか?

3.ウォンツではなく、ニーズを読み取る

(1)ウォンツとニーズの違い

私たちがしょっちゅう使っている「お客様のニーズ」という言葉は、残念ながら本当のニーズではない場合が多い。
「ドリルを買いに来た人が欲しいのは穴である」というドリル理論とほとんど一緒だ。この場合、ニーズ(本当の課題)は「穴をあけること」、ドリルはウォンツ(そのための手段)。

(2)ニーズを読み取る=本当の課題を探る

ここで今回の中身をおさらいしよう。

中小企業・小規模事業者が直面する課題と今後の展望
直面する課題=人材不足
今後の展望=
 ①「賃上げ」をして人材を確保すること
 ②「生産性向上」を図って人材がいなくても何とかすること
 ③生産性向上→賃上げ→生産性向上→賃上げの好循環をつくろう

中小企業白書を読んでNORICONが考えたことです

この場合の、本当の課題(ニーズ)って何だろう?と想いにふけってみる。直面する課題を一言で人材不足と片付けているけれど、余白を考えてみる。
それは、人材不足(で会社がうまく回らなくなってきたから、どうやったら会社をうまく回せるか?)、そういうことなんだろうと想う。

4.白書は続くよ(どこまでも)

(1)取りあえずの続き

実はこのパートには、人材不足(で会社がうまく回らなくなってきたから、どうやって会社をうまく回せるか?)への対応策として、①賃上げして、②生産性向上を図って、③その好循環を実現して、の続きがあって...
 ④しっかり価格転嫁して、
 ⑤働き方改革して、
 ⑥GXして、
 ⑦サーキュラーエコノミーを意識して、
 ⑧DXする、
と続くのです。

(2)さらに続くよ 

さらに言うと、これって白書の第1部で、いわゆる前半戦の肩慣らし。
さて。第2部・後半戦を読んでみるかな。そう想ってPCを閉じました。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。
後半に続きます。

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