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13. キャリアデザインの機会を提供し、キャリアパスを提示する

■Keynote

リーダーには、部下を育て、きちんとキャリアをつくってあげる責務があります。
Byサイモン・クーパー
(ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニー最高執行責任者)

■終身雇用の崩壊により、キャリアを考える必要が増した

従前の多くの日系企業は終身雇用を前提としており、社員のキャリアとはすなわち、入社年次や年齢により会社が一律管理できるものであった。社員は終身雇用という一生涯の安定を得る代償として、転勤や希望以外の業務に従事することも受け入れ、その見返りとして将来、社内で上位の役職を得るという終身雇用制度中心の生態系が形成されていた。

しかし、経済が右肩上がりに成長し続けることが難しくなるにつれ、企業も企業終身雇用を維持することが難しくなってきた。一方、従業員の側も働くことについての意識が多様化し、必ずしも滅私奉公的な勤務を是としない風潮も生じてきた。自分の働き方を会社に全面的に委ねるのではなく、自身で考えて自身のキャリアを選択する生き方や、転職が後ろめたくない風潮が形成されてきた。

■会社として従業員のキャリアを支援する

従業員個人が自身のキャリアを考えることが前提となっている現在、企業として、社員のキャリア形成についてどのように考え、取り組むべきか。一つには早期選抜制度が挙げられる。企業から見て優秀な人材には、年功序列を待つことなく仕事と責任、成長の機会を提供することで、社員が会社内で自身の将来のキャリアを前向きに捉えられるようにすることである。一方選抜対象では無い社員向けには、社内の秋ポジションに挙手して挑戦できる社内公募制度などを提供することができる。従業員の意志や志向性を尊重し、新たな職種にチャレンジする機会を提供するのである。他にも評価面談や自己申告制度を活用し、将来の希望をヒアリングし、次期組織編成の参考にすることなども有効な手段である。
社内におけるキャリアパスを提示し、従業員の心の内側から「頑張ろう」との意欲を引き出すことが肝心だ。特に組織の高齢化が進んでいる場合は、全員が管理職になれないことを前提する必要がある。その場合、保有する特定のスキルを磨き続けて専門家として活躍する道も、会社から提示するキャリアパスのうちに入れておくべきだろう。その際、技術やスキルは時代とともに陳腐化する可能性があること、それゆえ常に新しい技術を学び、成長し続けることが求められることもセットで伝えていきたい。

■ダグラス・ホールのキャリア理論

「キャリアとは、一生涯にわたる仕事関係の経験や活動とともに個人がとる態度や行動の連なり」

<キャリアについての4つの側面>
1.キャリアとは、成功や失敗を意味するものではなく、早い昇進や遅い昇進を意味するものでもない。

2.キャリアにおける成功や失敗は、キャリアを歩んでいる本人によって評価されるのであって、研究者・雇用主・配偶者・友人といった他者によって評価されるわけではない。

3.キャリアは行動と態度から構成されており、キャリアを捉える際には、主観的なキャリアと客観的なキャリアの双方を考慮する必要がある。

4.キャリアとはプロセスであり、仕事に関する経験の連続である。

■Let's Think!

 □ 自社の社員は自社でキャリア形成していく事を前向きに捉えられているだろうか?

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