見出し画像

【スクワット】しゃがむと重心が前に流れる|足部と重心の観点から

今回の記事では、スクワットでしゃがんでいくときに、重心が前に流れてしまう問題を、足部と重心線の問題から解説をしていきます。

スクワットをするときの重心線について

バーベルスクワットでしゃがんで立ち上がる動作を行う際には、ミッドフット(足の真ん中)にバーの位置を合わせることで、前後にふらつかずに動作を遂行することが出来ます。

画像1

そしてバーを担がずに行う「自重スクワット」では、バーの重量がないので、体の真ん中(仙骨前面)に重心があります。ここと「ミッドフット」を合わせることで自然としゃがめるようになります。

画像2

スクワットを始めたて数ヶ月の方の中にも、重たい重量でバーベルスクワットをするときはフォームが安定するのに対して、軽い重量や自重スクワットを行うときにはフォームが不安定になり、上手くしゃがめない方もいらっしゃるかもしれません。

これは、重たい重量では『バーが重心線』になっているのでフォームが乱れていても、『感覚的』にしゃがんでも自然としゃがめるようになります。ですが軽い重量や自重スクワットでは「体の真ん中」が重心線になっているので、フォームが崩れると重心線が前後にブレやすいため上手くしゃがめなくなってしまいます。

画像3

もし、皆さんが自重や軽い重量でバーを担いでスクワットを行ったときに、フォームが不安定になっている方や上手くしゃがめない方は、スクワットのフォームを見直す必要があります。ここでは解説を省かせていただきます。以前の記事動画でもフォームの解説をしているので、そちらを参考にしてください。

スクワットと重心が前に流れる原因

バーベルスクワットの動作中は、上記のように『ミッドフット』とバーが同じラインにある場合、自然なフォームでしゃがんで立ち上がることが出来ます。

ですが、『踵荷重』でスクワットを行うと、深くしゃがむことは出来ますが、立ち上がるときにはバーが前に流れてしまい重心線も同時に乱れます。その代償で「お尻が先に浮いて立ち上がる動作」になってしまいます。この動作は「グッドモーニングスクワット」と呼ばれています。

そしてボトムポジションでは、バーと股関節の距離が長くなってしまい、無駄な力が働きます。その間にある腰部へのストレスも高くなるため、このまま続けていくと腰を痛める原因になっていきます。

画像4

この『踵重心』でスクワットをされている場合、足趾(足の指)で踏ん張ってしゃがむようにしていきましょう。

すると、自然とミッドフットとバーのラインが同じになり、安定したスクワット動作になっていきます。

ミッドフット(足の真ん中)に重要な『つま先で地面を握る力』

足の真ん中で体重やバーを支えるためには、つま先にある『足趾の力』が必要になります。

足の指が自然に使える方は、立った姿勢でほんの少し指で地面を踏ん張っています。すると、踵からつま先までのちょうど真ん中に「重心線」が出来上がります。そのまましゃがんでいくときにも、自然と足の指先で地面を踏ん張り続けて、足の真ん中でバーの重量を受け止めて真上に押し返すことで自然と立ち上がれます。

画像5

ですが無意識で立った姿勢で、足の指先で地面を握らずに浮いてしまったり、地面にただ着いているだけの方もいらっしゃいます。

これは、指先を握る力が弱くなってしまい、前足部を母趾球や小趾球でしか支えることが出来なくなっています。この姿勢では、母趾球と踵の真ん中に重心線が存在し、自然と踵重心でしゃがむようになっていきます。上記で紹介した「グッドモーニングスクワット」のようなフォームになりやすいです。

画像6

これを未然に防ぐためには、意識的に足の指先で地面を握る意識をした状態でしゃがんでいくことをおすすめします。すると、自然としゃがみやすくなっていきます。

足趾の機能低下

ですが、「足趾の機能」が著しく低下している場合は、意識的に地面を握ろうとしても足の裏がつってしまったり(筋の痙攣)指先に力が入らずにふらついてしまう方もいらっしゃいます。この状態でしゃがもうとしても、ミッドフットに体重を乗せることが出来ずに、フォームが不安定になります。

画像7

足趾の筋機能が低下して、足趾の関節可動域も低下していることが多いです。特に、足趾を屈曲(指先を曲げる)していく「長拇趾屈筋」と「長趾屈筋」の機能が低下することで、上記の状態に陥りやすくなります。

画像8

さらに、これらの「長拇趾屈筋」と「長趾屈筋」の機能が低下すると、腱の走行部である『距骨の後方で癒着』が起こり、「距骨の後方移動の制限」が起こります。

画像9

距骨と足関節

距骨は足関節を構成するのに重要な骨の一つで、足関節を「背屈(つま先を上に上げる)」させると「後方移動」し、「底屈(つま先を下に下げる)」させると「前方に移動」します。

画像10

ただ、「足趾の屈筋腱の癒着」により『距骨の後方移動制限』が起こり、『足関節の背屈可動域の制限』に繋がります。「足関節の背屈可動域の制限」が起こると、スクワットでしゃがんでいくときに膝を前に出せずにお尻を後ろに引いたしゃがみ方しか出来ないようになります。

画像11

この「足の指先で握る力が低下(足趾の屈筋群の機能低下)」したことで、ミッドフットで体重を支えれなくなります。そして、それらの筋が癒着することで距骨の後方移動の制限がされます。その結果足関節の背屈制限により、さらに踵重心でしかしゃがめないようになっていきます。

足趾の機能低下が起こりうる原因と評価

何故、足趾の機能低下が起こるのかについて解説していきます。1つ目が可動域制限で、2つ目が足部の不安定性によるものです。

①可動域制限

足趾の機能低下が起こる原因の一つが『前足部の可動域制限』です。中足骨から遠位の足趾の伸展・屈曲可動域が低下することで周囲の筋肉を活動させることが出来なくなります。

評価をするときには、自動(ご自身の力)でゆっくりと足の指先を握って開いて見てください。いわゆる足先でグーとパーを作るような感じです。このときに上手く動かせなかったり、途中で震えてしまった場合、可動域が制限されているかもしれません。

画像12

②足部の不安定性

以前に足首を捻挫した経験がある方は、『足部の不安定性』が後遺症として残っている可能性があります。この状態に陥ると、足関節を内側と外側で支えている筋肉のバランスが乱れて片足立ちが出来なくなってしまったり、先程解説をした「距骨の後方移動」が上手く出来ずに『足関節の背屈制限』が起こり、よくつまづいたりするのが特徴です。もちろん「長拇趾屈筋」や「長趾屈筋」といった筋機能も低下して、弱化していることが多いです。

画像13

画像14

上記の「可動域制限」と「足部の不安定性」の両方を抱えている方もいらっしゃいます。これらを改善するためのリハビリをしていく必要があります。

リハビリ方法に関しては、動画ベースで解説をしているので、下記を参考にしてください。

前足部の可動域制限と長拇趾屈筋のマッサージ方法↓

距骨の後方移動が出来ずに足関節背屈制限を抱えている方↓

まとめ

スクワットをするときには、「足の裏全体」で地面を踏ん張ることで、ミッドフット(足の真ん中)に体重を乗せることができ、フォームが安定して自然としゃがめるようになります。

そして、「足趾の機能」が低下したことで「指先を曲げる力」が弱くなり、意識的に指を曲げてもふらついてしまうこともあります。

これらの原因は、「前足部の可動域制限」「足部の不安定性」によって踵重心・足関節の背屈制限が起こります。

その結果、スクワットでしゃがんで立ち上がるときには重心が前に流れやすくなります。「グッドモーニングスクワット」のようなフォームで繰り返すと、腰を痛める原因になりフォームがふらついてしまう可能性があります。

スクワットをするときに、重心が前に流れやすい、フォームがふらついてしゃがんでいる場合、足趾の機能が使えているかをご自身で確認してみてください。

最後までご覧いただきありがとうございました!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 皆様から「サポート」や「シェア」をしていただけると今後の活動の励みになります。