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ベンチャーと大手企業どっちが良いか?

先日、学生から「ベンチャーと大手企業どっちが良いと思いますか?」という質問を受けました。会社の採用イベントでしたが、こうした純粋な質問をできる学生は個人的にもっと話したくなります笑

近年はメガベンチャーだけでなくスタートアップなども選択肢の一つとして当たり前になってきたので、似たような質問も過去に何度も受けた記憶があります。

内定を出した学生が最後にはベンチャーへの入社したり、従業員がベンチャーへ転職したりと、人事として人材獲得競争に危機感をひしひしと感じています。

僕個人としてもベンチャーで働くことに興味を持ちつつも、今日は終身雇用がベースとなっている大手企業や老舗企業で働くイメージを少しでも整理できたらと思います。


ベンチャーの処遇も悪くない

最近はベンチャーの処遇改善がニュースになっています。

昔はベンチャーやスタートアップと聞くと、チャレンジングな仕事はできるけど処遇が見合わないというケースが多いという勝手な印象でしたが、少しずつというか、大手企業よりも改善幅が大きくなっているケースもあります。

調査サンプルの違いはありますが、最近のいくつかニュースでベンチャー企業の初任給が大企業の初任給を平均でも約4万円高い設定にしているという事実があります。

年収ベースでも日経新聞の調査(2022年)でスタートアップの平均年収が上場企業の平均年収を45万円(7%)上回るという情報もあります。

ただ、企業の人材獲得競争が激化している中で、大手企業も初任給を増額させてきています。特に直近は物価高の影響や競合他社の動向も横にらみして、ベースアップに積極的で、各業界でこれだけ上げてきた年は私も今まで経験をしたことがないです。数年や10年ぶりにベアを実施した企業も多いようです。

それでもまだ安定感が強い大手企業

業界によってビジネス環境が様々ですので、ビジネス自体の安定感ではなく、処遇設定の安定感について人事目線で整理しようと思います。

終身雇用をベースにした処遇設定

これは当たり前だと思いますが、まだまだ新卒一括採用が多くを占める企業において、処遇制度においても年功要素が強くなっています。

実際に30代くらいの中堅まではほとんど横並びで処遇が上がっていくことが多いですし、その後管理職クラスにも同期の半数以上、多い場合は80%以上管理職クラスとなるケースが多いです。そのため、将来の処遇イメージをしやすい環境にあることは間違いないですし、それが安心感にも繋がります。

終身雇用から抜け出せない日本企業

”就社”ではなく”就職”しよう!
というキャッチーなタイトルをニュースで目にすることが増えてきました。僕も同感です!だけど、現場視点では今すぐに”就職”にマッチした人事制度を老舗企業で再構築するのはかなり難しいです。

老舗企業となれば、終身雇用の考えをベースにした思想で社内の仕組みが作られています。賃金制度、昇進制度、退職金などなど。多くの従業員もまだまだ終身雇用という考え方が根強いので、すぐに制度を抜本的に改革すると影響が大きすぎて、なかなか踏み込めないことが多いです。

もともと終戦後に企業に求められた要素として、雇用の安定がありました。人々の生活の基盤を整えるという大事な役割を担っていたのです。また、当時は一次産業や二次産業などに就く方も多く、「経験値=能力」という考え方も理にかなっていました。

そのため、企業にとって終身雇用や年功要素というワードは、現代では少し古臭いイメージが強いですが、今の人事制度の屋台骨みたいな存在になっています。この屋台骨に代わるものを僕は探しながら制度設計の試行錯誤をしているところです汗

積み上げ型の処遇制度からの変化が始まる

近年は、変化が当たり前になりつつあるためジョブ型の処遇制度を取り入れてもニュースになることが少なくなりましたが、着実に増えてきている印象があります。一部のジョブ型を入れた企業では、部長や課長などのポストを公募制にする制度を併走させるチャレンジングな取り組みをしているケースも出てきました。

ニュースで取り上げられていない企業でも、時代に合わせた制度改革を着実を進めていることは勇気づけられますし、一方でその現場の大変さが読み取れます。

勝手な想像ですが、多くの企業人事の皆さんが、この終身雇用の思想でガチガチに構築された会社の仕組みを変えないといけないと思いつつも、社内事情や、変えられない状況に試行錯誤して、変化を起こそうともがいている気がします。僕も含めて。

人事のお仕事はブラックボックスになっているところが多くて、何やっているの?っといわれることが多いですが、皆さんも人事に対して”あいつらも頑張っているんだな”っと温かい目で見ていただけると嬉しいです。
(人事の皆さん!これからも一緒に頑張りましょう!)

決め手は”働く目的”

学生から受けた質問の回答として、僕は迷いながらも”働く目的”によってベンチャーか大企業か選んだ良いと伝えました。

すでにやりたいことが実現できるベンチャーがあるのであれば、そこに行くのが最短ルートですし、少しでも迷いや不安があるならベンチャー以外に身を置いて考えるのもアリだと僕は思っています。

画一的だが成長環境は整っている

終身雇用ベースの考え方は社内の教育制度にも大きく影響を与えています。階層別研修ということで、各年齢層に対して必要なスキルや思考力を付与するトレーニングが体系的に整っています。これがベンチャーにない強みの一つです。同じ企業で働き続けるとしても、ベンチャーで働くにしても、社会人の基礎力になる部分は必要ですので、是非企業の教育体系にも注目していただけたらと思います。

また、足らずの部分については、多くの企業で自ら選択できる教育プランを準備しているケースが多いです。ビジネスマナーのような導入研修だけでも社外で受講すると3万程度かかることもあるので、社内教育費として支援があるのはありがたいですよね。

社内キャリアの選択肢も増えつつある

今までの日本企業は従業員に安定を提供する代わりに、個人のキャリアは会社にゆだねる部分が多かったといわれています。

ただ、ジョブ型の処遇制度をはじめ、社内異動施策(公募制やFAなど)も積極活用を目指す企業が増えてきて、社内でもキャリアを実現しやくする流れを感じます。

大企業のように組織規模が大きくなると、それだけ社内に選択肢も増えてくると思いますので、ベンチャーや社外だけでなく、社内でキャリアを実現したいという人が増えてきたら良いなと思っています。

ただ、このような主体的なキャリア支援策は、なかなか盛り上がらないことも現場で見てきました。実際募集をしても手を挙げるのは数人ということも多いです。

制度を使いこなせない会社風土や高操業という課題もありますが、個人がキャリアの選択をするための準備(働く目的整理)が支援出来ていないという課題もあると思っています。

社内のキャリア支援策は「チャレンジできる機会」と「自分のキャリアを深める機会」の両方整っている必要があるなぁと改めて感じています。


今後も少しずつですが人事の現場目線でいろいろ書いていけたらと思っています。乱文ですが最後まで読んでいただきありがとうございました。

では、明日も良い一日を!☀

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