【デザイン日記31】愛着
愛着とは、辞書によると、なれ親しんだものに深く心が引かれることという意味らしい。
今日は、母と祖母が断捨離をしていた。私のものも潔く捨てようとするので、心が締め付けられたりする。私は結構、この物への執着を手放せないタイプだ。
最近読んでいた本によると、プロダクトデザインは、優れていなくても、計算できないような愛着というもので成り立つ時もあるらしい。たしかに、自分の思い出や記憶が染みついたものたちは愛着が湧き、価値が高まるような気がする。そういった無意識の記憶と、リンクすることで愛着というものを、デザインの中にも感じるのかもしれない。とても深い。
金沢旅行に行った時も、ホテルで寝泊まりする時にいつもと使用するものが違うという、違和感をすごく感じた。例えば、シャンプーやリンスが違うし、お化粧をする環境も違う、寝る布団も違う。布団に関しては、清潔でピシッとしてるからそれはそれで気持ちがいいはずなのに、いつもとどこか違う不安を感じてしまう。
日々、無意識に感覚で触れているものは、肌がその素材や感触をよく覚えているのだろう。
毎日使うコップや、箸、スプーン、歯ブラシ、バスタオル、ベッド、枕、衣類、そのどれもが身体と触れ合うものたちだ。日常的に触れることで、時間を刻み、身体と一体化していくのかもしれない。それが愛着で、身体から離れられなくなるから、愛着のあるものは、断捨離が難しいのだ。
愛着が、人の記憶に染みつき、身体の一部になるようなものならば、そんなデザインをいつか生み出したい。
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