「和歌山に日本のアマルフィと呼ばれた漁港があったのをご存じですか?」
「いいえ! 知りませんでした。ハイ!」
「アマルフィ海岸」とはイタリアのユネスコ世界遺産に登録されている景勝地で、海の斜面に小さな町が点在する美しい景色で有名とのこと。(トップ写真)
和歌山には仕事で7年程かかわり、土地勘もあったが日本のアマルフィと呼ばれた魚港は毎度台風が到来したときに、テレビ局がレポートに来るので有名な場所!
はっきり言って、それくらいの認識であった。
そろそろ、登場するがその名は「雑賀崎(サイガザキ)漁港」
和歌山では誰もが知る漁港で、私も何度か釣りに出かけている。
全体的な雰囲気は潮風に吹かれ・波に打たれ・雨風にされされ、酷使されたであろう防波堤を見て頂くとご理解いただけるが、少し古めいた感じがする。
その反対に漁船は丁寧に整備されている。
全体的に緑色に統一されており一見、雑に泊めらているかのように見える魚船の距離感は、微妙な「アンバランスの美しさ」を保ち停泊されている。
一歩間違えれば命に係わる仕事に携わる、漁師さんの「職人魂」と「繊細な操舵の技術」が伺え、プロの技術が垣間見える。
「雑賀崎漁港」の歴史は古く万葉集にも記されており
「紀伊國の 雑賀の浦に出てみれば 海人の燈火 波の間に見ゆ」
と歌われた程、古い港であり近辺には「和歌の浦」と呼ばれる日本遺産にも認定されている景勝地もあり、景色の良さでは和歌山随一のエリアである。
雰囲気は一変して、すぐ近くにこんなカフェがあった。
恐らく近所の方が古い民家を改装したものであろうが、「日本のアマルフィ」を意識してデザインしたようにも見えるのが微笑ましい!
「現在と言うものは、過去の全ての生きた集大成である」
という言葉を聞いたことがあるが、「雑賀崎漁港」も長い歴史の中で絶えることなく今日に受け継がれてきたのは、そこに住む人たちが厳しくも与えられた環境に感謝し、先祖から漁業の技術を受け継ぎ自然と戦ってきた集大成が、現在の姿であると感じられる。
現代人は例え話や似たものを探すのが好きであるが、そこには見た目や雰囲で伝えるのでは無く、それぞれの歴史や伝統・文化・技術・生活等を守り続けてきた人々がいることを忘れてはならない。