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元インター職員のつぶやき③-大学選択の考え方

春休みが近くなると、12年生(日本の高3)は志願した大学からの合否を知らされる。

海外の大学入試制度が日本と違うから、GPAやSATのスコアと教員からの推薦状や、部活動での貢献度、小論文などを提出し、大学側が総合的に判断して合否が決定する。日本でもよく聞かれるハーバード、プリンストン、イエール、コロンビア、MIT、コロンビア、スタンフォード、UCバークレイ、UCLAはただ頭が良いだけでなくリーダーシップ、積極的に自分で考え行動する力が必要とされる大学だ。

毎日のようにあれこれ話を聞いていた生徒から「第一志望に受かりましたー!」と報告を聞くと、ハグをして一緒に喜んでいた。合格した大学名を聞くと、タフツ、カールトン、ブラウン、ウェルズリー、ウイリアムズ、コーネル等の私立大学だけでなく、バージニア工科大学、ワシントン大学のように州立大学を耳にすることが多かった。日本ではマイナーだけど、歴史があり校風がユニークな大学という印象がある。「なぜ第一志望にしたの?」と聞くと、専攻したいことだけでなく「校風が自分に合っていると思う」という答えが返ってきた。彼ら曰く「他にも優秀な大学はある。けれども4年間の学費を払うなら、背伸びせず自分らしくいられる大学に行きたい。アメリカ人の学生だけでなく留学生が多いと聞いているから、インターでの経験を活かせると思う。」とのこと。

それから、アメリカの大学だけでなくカナダやオーストラリアの大学に進学した、日本人の生徒もいる。「アメリカの大学になぜ進学しないのか?」と率直に聞いてみると「教育の質としては、アメリカの優秀な大学とはさほど変わらない。自分はアメリカ国籍を持っていないから、留学生扱いになって学費がすごい金額になる。カナダやオーストラリアの大学の学費の方が安いし、それにみんなと違う経験をしてもいいかなと思った。」という答えが聞かれた。
それから「カナダ人やオーストリア人の〇〇先生の出身校の話を聞いていて、アメリカの大学以外の選択肢があってもいいんじゃないと思った」という声もあった。

彼らの意見を聞いていると、ただ「有名校だから」という薄っぺらい理由で、大学を選んでいない。テンプル、ICU、上智、早稲田を選択した生徒もいる。彼らが納得している様子だったから、わたしがとやかく口を挟む資格はない。あくまでも自分軸で考え、選択して出した結果を受け入れる彼らの言葉は聞いていて清々しさを感じた。

英語には'mature'という単語がある。「分別がある、賢明な」という意味で、彼らの進路に対する見解は、まさにmatureだと思った。「自分は自分」「自分なりに考えをアウトプットし実行する」「他人と違うことを恐れない」こういうところは、インターの長所だと思う。そして独身時代に、matureな若者の意見を沢山聞けたことは、思春期の息子を育てている今のわたしに大いに役立っている。







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