コバ

自動車業界営業職/ジェイラボ准教員・哲学部部長/日々哲学しています。そんな日々の記録

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マガジン

  • J LAB ch0 #ワークショップ

    • 135本

    コミュニティメンバーによるワークショップ関連の記事を投稿する場所。

  • JLAB Open WorkShop

    • 8本

    ジェイラボ研究員で行なう視聴者参加型公開座談会の準備や感想などをまとめていきます。

最近の記事

吉本隆明 『共同幻想論』【基礎教養部】[20240229]

本書は「戦後思想の巨人」と呼ばれる吉本隆明の代表作とされる思想書である。本書を読む上で最も重要だと言える概念は「自己幻想」「対幻想」「共同幻想」この3つである。この3つの概念が本書を構成する上での一貫した視点であり、そこから「遠野物語」や「古事記」の内容、そして時にはフロイト、ヘーゲル、その他の哲学者、思想家、学者らの理論や哲学を思考していくという構成になっている。そのためまずは「自己幻想」「対幻想」「共同幻想」の3つを理解しなければ本書で展開される思考についていくことはでき

    • エレーヌ・フォックス 『SWITCHCRAFT 切り替える力 すばやく変化に気づき、最適に対応するための人生戦略』【基礎教養部】[20240131]

      今回のnote記事で扱う本のタイトルは「SWITCHCRAFT 切り替える力 すばやく変化に気づき、最適に対応するための人生戦略」である。タイトルから分かる通り自己啓発書に分類される本である。「自己啓発」そのものに関しての私の考えは約3年前に書いた下記の記事で述べている。 自己啓発に対する考え方は3年前と今も変わってはいないのだが、今回は本書「SWITCHCRAFT」と数年前に流行った「GRIT」という概念との対比という視点から話をしたい。 「GRIT」とはGuts(闘志

      • 山本七平 『「空気」の研究』【基礎教養部】[20231231]

        人生に迷っていた頃、私は「納得できないこと」に対してひたすら答えを求めていた。人には「分からないこと」がたくさんある。そんなことは当たり前でそれは私も自覚していた。しかし人は時に分かろうともしないくせに「分かったつもり」でいる。もちろん、突き詰めれば我々には何も分からないのかもしれない。しかしそうだとしてもそれを「分かろうとする」ことはできる。 「KY」この言葉が流行った時、当時私は中学生だった。「KY」とは「空気読めない」の略語なのだが、当時の私は「そもそも空気ってなんだ

        • ジェイラボオープンワークショップ(座談会)#02 準備記事「Think difficult ! を6年間読んできた私視点で」

          今回のオープンワークショップ(座談会)は所長のnote記事「Think difficult !」について扱う。概要や記事の背景は所長に任せるとして、私視点での「Think difficult !」ととの関わりを書いていく。 この記事に出会ったのは6年前くらいだった。今はnote記事として掲載されているがそれより前から記事自体は別サイトで公開されていた(補足するとその時はまだ「Think difficult !Final」までは完結はしていなかった)なのでジェイラボのコミュニ

        吉本隆明 『共同幻想論』【基礎教養部】[20240229]

        • エレーヌ・フォックス 『SWITCHCRAFT 切り替える力 すばやく変化に気づき、最適に対応するための人生戦略』【基礎教養部】[20240131]

        • 山本七平 『「空気」の研究』【基礎教養部】[20231231]

        • ジェイラボオープンワークショップ(座談会)#02 準備記事「Think difficult ! を6年間読んできた私視点で」

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        記事

          ジェイラボワークショップ第67回『リベラルアーツ輪読WS版』【哲学部】[20231030-1112]部長総括#JLWS

          今回のWSは哲学部で現在行っている、石井洋二郎 •藤垣裕子(著)「大人になるためのリベラルアーツ」を題材とした輪読(リベラルアーツ輪読)をWSの場で取り組みました。 WS内のクエスチョンを作る準備段階で「フォーマットを作ってそれに沿って回答してもらい、各個人の主張や価値観の差を汲み取りやすくすることで今後のジェイラボ内での議論を司会していく上での質問作成の幅を広げられるのではないか?」という意見が部内で挙がったことに関連して「型」について今回の部長総括では思考していこうと思い

          ジェイラボワークショップ第67回『リベラルアーツ輪読WS版』【哲学部】[20231030-1112]部長総括#JLWS

          レイチェル・カーソン 『センス・オブ・ワンダー』【基礎教養部】[20231031]

          伝える側と受け取る側 「他人(ヒト)に何かを伝える」ということについて私はジェイラボ内で度々語ってきた。その難しさ、限界、突き詰めて考えていくと結局そこの話に行き着いてしまうのだが、今回はもうちょっと日常生活に寄った切り口で話をしたい。 「他人に何かを依頼する」これも「他人(ヒト)に何かを伝える」ことの一種である。ジェイラボであれば現在、基礎教養部の活動として書評の活動をラボメンに依頼しているが、こういった依頼を他人にする時、依頼する側と依頼される側が構造として発生する。依

          レイチェル・カーソン 『センス・オブ・ワンダー』【基礎教養部】[20231031]

          ジェイラボオープンWS準備記事「世直し系Youtuberについて考える」

          今年からジェイラボでYoutubeを用いてオープンワークショップ(以下オープンWS)を行うことになった。所長とラボメン数名で、あるテーマを事前に決めておいてそれについてYoutubeのライブ配信で議論するという活動だ。 記念すべき第1回目のテーマは「世直し系Youtuberについて」である。その大枠のテーマの中で問題提起や意見の切り口は各自で自由に設定することになり、Youtubeのライブ配信の事前準備として一旦note記事で各自の意見や思考を共有するという流れで今回は行って

          ジェイラボオープンWS準備記事「世直し系Youtuberについて考える」

          堀江貴文 『多動力』【基礎教養部】[20230930]

          今回のジェイラボ基礎教養部の活動の中で読書ということについて改めて考えさせられた。 ジェイラボには様々な人達が所属している。大学生、大学院生、社会人、立場もバックグラウンドも様々だ。読書経験ということに関しても習慣的に本を読む方、たまに本を読む方、ほとんど本を読まない方、それどころか今までジェイラボの活動以外で本を読み通したことが無い方もいる。 「読書」という行為が活動の中心に置かれているコミュニティであればそんなことは普通起きない。「読書」という行為が活動の中心に置かれて

          堀江貴文 『多動力』【基礎教養部】[20230930]

          ジェイラボワークショップ第62回『「働く」ということについて』【哲学部】[20230821-0903]部長総括#JLWS

          今回のWSは私が大学3年生の頃に悩んでいた「働く」ということについてなるべく当時の自分の思考を再現しながらロールプレイという形式でWSを進行しました。 WSを進行する中で感じたことは「当時の自分と今の自分では驚くほど考えていることが変わっている」ということです。 これは今回のWSを進行する中で経験しなければ気付けなかったことであり、自分自身大きな気付きとなりました。 感覚としては「当時の自分と今の自分は同一人物と言えるのだろうか」というレベルであり、時間が人の思考や思想に影響

          ジェイラボワークショップ第62回『「働く」ということについて』【哲学部】[20230821-0903]部長総括#JLWS

          宮口幸治 『ケーキの切れない非行少年たち』【基礎教養部】[20230815]

          他者に対する想像 自分が自分である理由。 これに答えられる人はいないだろう。つまり自分が自分である理由など無いのだ。 「ケーキの切れない非行少年たち」について思考しようとした際、私のスタート地点はここであった。 本書で述べられている「ケーキの切れない非行少年たち」の認知のメカニズムは普通我々が共通の認識として持っている認知のメカニズムとかなり異なる。そもそも反省ができないという少年たちの実態を読む中で、その少年たちの認知に対して想像力など持てるのか。少なくとも私は持てなかっ

          宮口幸治 『ケーキの切れない非行少年たち』【基礎教養部】[20230815]

          小泉 信三 『読書論』【基礎教養部】[20230731]

          本書は小泉信三の読書に対する私見や読書をする際の心構え、筆者自身の読書体験について述べられた本である。二十歳頃の私であれば本書を読んで感銘を受ける箇所も多々あったように思う。しかし三十歳になった今、本書から感銘を受ける箇所はほとんど無かった。 この変化はなんなのだろうか。 もちろん当時の私よりも今の私は多くの読書体験、思考体験をしてきたというのも一つの要因であると思う。 しかしこの変化の最も大きな要因は今の私が言語の限界に気づいてしまったこと、またそれに起因して言語そのもの

          小泉 信三 『読書論』【基礎教養部】[20230731]

          ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法 』【基礎教養部】[20230630]

          読んでいない本について堂々と語る方法、キャッチーなタイトルである。 しかし本書は巷に溢れているハウツー本とは一線を画している。 著者のピエール・バイヤールはフランスの精神分析家である。 フランスの精神分析家といえば私はラカンが連想される。実際ラカンやフロイトに関連する内容も本書の中に登場する。 精神分析家ならではの視点も盛り込まれており、人間の精神について思考したい方も本書は興味深く読める内容になっている。 そういった人間の精神といったようなかなり抽象的な内容にまで踏み込ん

          ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法 』【基礎教養部】[20230630]

          ジェイラボワークショップ第57回『能力主義について考える』【哲学部】[20230529-0611]部長総括#JLWS

          今年度からWS後に部長総括として各部の部長がnote記事を作成することになりました。 ジェイラボのメンバーの方々とはコミュニティ内でリアルタイムにコミュニケーションを取れますが、note記事としてWSのログを読んでくださった方とはリアルタイムのコミュニケーションを取るのは難しいので、部長総括を読んでいただくことで実際のジェイラボワークショップの温度感を少しでもお伝えできれば幸いです。 それでは前置きはこれくらいにして本題に入っていきたいと思います。 今回のWSは今年の3月か

          ジェイラボワークショップ第57回『能力主義について考える』【哲学部】[20230529-0611]部長総括#JLWS

          中島 らも『永遠も半ばを過ぎて』【基礎教養部】[20230515]

          最近、コミュニケーションについて考えている。 哲学なんてものに取り憑かれている私のような人間は「言語運用に自覚的であること」を求められる。それは社会からではない、自分自身から求められるのだ。 もちろんその自身からの要請を一時的に無視することはできる。社会生活を営んでいく上で一々「言語運用に自覚的であること」を意識していたらまともなコミュニケーションがそもそも成り立たない。 しかしこれもまた困ったことに、哲学に取り憑かれている人間は無意識にいろんな事を思考してしまう。 そして

          中島 らも『永遠も半ばを過ぎて』【基礎教養部】[20230515]

          ジェイラボワークショップ第46回『読書について』【哲学部】[20230109-0122] #JLWS

          今回の哲学部WSは『読書について』をテーマにジェイラボ哲学部のオリジナルの物語を作成し、WSを行った内容のログとなります。 今回のWSの司会は私、イヤープラグさざなみ君、YY12君、Tsubo君の4人で行いました。 物語の部分に★印をつけておきましたので、★だけを読めば物語部分は読めるようになっています。 それでは早速ログに移ります。 Day1■コバ 皆さん明けましておめでとうございます。 今日から哲学部WSです。 文章は今晩から投稿していきます。 よろしくお願い致し

          ジェイラボワークショップ第46回『読書について』【哲学部】[20230109-0122] #JLWS

          杉岡 良彦『医学とはどのような学問か: 医学概論・医学哲学講義』【基礎教養部】[20221204]

          人間は信じたいことを信じる生き物だ。 何かを「信じる」という行いは、それを信じたくなければ信じることはできない。 「信じたいのに、信じられない」ということはあっても、「信じたくないのに、信じる」ことは不可能だ。 もしあなたが科学を信じているのであれば、それは信じたいから信じているのである。 もしあなたが宗教を信じているのであれば、それは信じたいから信じているのである。 「〇〇を信じる」その根本の部分は「信じたいから信じている」ということ、つまりその「〇〇が何であるか」は根

          杉岡 良彦『医学とはどのような学問か: 医学概論・医学哲学講義』【基礎教養部】[20221204]