ブラックジャックの新作だと?
先週、週刊少年チャンピオンにて、「ブラックジャック」の新作が掲載された。
といっても、描いたのは、手塚治虫ではない。
当たり前だ。
先生は、すでに30年以上前に亡くなっている。
なんと、この新作、AIが作ったとのことである。
ふざけんなである。
いくらコンピューター技術が発展したからといって、そんなことしていいのか?
ブラックジャックを描くことが出来るのは、手塚治虫ただ一人だ。
ブラックジャックを描くことが許されるのも、手塚治虫ただ一人だ。
「医者とは何か?」
「生命とは何か?」
「お金より大事なものとは何か?」
壮大なテーマが根底に流れる名作中の名作なのだ。
AIごときに、あの崇高な世界観が再現できるはずないのだ。
漫画の神様に対するリスペクトがあれば、絶対にこんなバカな真似はしない。
これを企画した編集者は一体、何を考えているのか?
そしてそれにゴーサインを出したチャンピオン編集長の良識は、どうなっているのか?
常軌を逸しているとしか言いようがない。
なぜ、どこかの時点で、誰かが「こんなのは間違っている!」と、止めなかったのか?
発売にまでこぎつけた発行元・秋田書店の罪は、重い。
社長は、日大の学長と一緒に辞任すべきだ。
自分は本気でそう思った。
自分はこの新作を一生、読むつもりはなかった。
しかし今日、出社すると、休憩所に誰かが買ってきたであろうチャンピオンが、置いてあった。
「誰や!? こんなん買ってきたアホは! しばくどボケえ!」
清原のように、そう怒鳴りたくなった。
が、いかんせん自分は、職場では一番下っ端である。
なので、心の声で留めておいた。
読まないという選択肢もあった。
しかし、読む事にした。
まあ、どうせ手塚の足元にも及ばない駄作に決まっている。
目も当てられない、クサレへっぽこな珍作に間違いない。
だから、あえて、手塚の凄さを再認識するために、読むことにした。
そしてページをめくりはじめたのだが・・。
予想外にも面白かった。
ストーリーも素晴らしく、ぐいぐい引き込まれた。
「身体のほとんどが、人工になったら人間じゃなくなるの? 人間て一体、なんなの?」
というセリフが途中で出てきたが、このあたりは、非常に手塚っぽいなあと感動した。
新作は、手塚の意思をちゃんと受け継いだ立派な一作に仕上がっていた。
これなら、手塚に引けを取らないんじゃないか?
つか、手塚の描いたヤツより面白いんじゃないか?
もっといえば、AIの圧勝、手塚の完敗じゃね?
とまで思った。
まあ、自分は手塚の「ブラックジャック」をいっぺんも読んだことないのであるが、恐らくたぶんそうであろうと、心の中で勝手な決め打ちをした。
今回の記事。
手塚ファンが、目にしないことを心から祈るばかりである。
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