草刈り
草刈りが楽しい。
なぜかっていうと、
草刈り鎌を使っているから。
電動草刈機をメルカリで売却し、
鎌を使い始めて6年目。
鎌の使い方には
完全になれてきました。
草刈り鎌は
決して力任せに使うものではない。
腕だけでなく、肩、腰、足、いや
体全体を使う。
また意外にも呼吸を
整えながらする。
草刈り、地方移住した人にとっては、
もしかしたら、
重荷になっている人も
いるかもしれません。
移住当初、
確か5万円くらいした
草刈機を半ば強制的に
買わされた記憶があります。
あとあとの付き合いもあるから、という
よくわからない理由で、
地元の農機具屋さんで
ほぼ定価での購入でした。
当時、引越しやその他費用で、
あまりお金をかけたくなかった。
ただ、草刈機って、結構エネルギーを消費するんですね。
使ってすぐに、体にはよくない、ってわかりました。
それでも、使わざるをえない、皆、草刈機を使って作業をしている様子だったので、何年も使っていました。
電動のしびれ、また混合油(ガソリンと専用オイルを混ぜたもの)の排気ガスを
まともに吸うと、
当然、体には負担がかかる。
体を動かしたときとは
全く違う、嫌な疲れが
結構あったと思います。
そんな中、鎌の存在を知り、
使ってみました。
ホームセンターに何種類かあるので、
数千円程度のものから、
ちょっといいものまで、
何種類か使い始めました。
今となって思うのは、
重い、大きいものは、
使いにくかった。
鎌が折れたら、買い替えとなります。
3代目くらいで、
とてもいい鎌を見つけました。
それが
豊稔光山作 裏目式刈払鎌 HT-1126
https://www.yodobashi.com/product/100000001003562514/
この鎌、きっと相当研究して作られたんだと思う。
軽くて、刃の形に特徴がある。 軽く引くだけで、草はバッサバッサ切れる。
しかも安い。多少の価格変動は
あるみたいだけど、
ヨドバシの通販で送料込みで二千円くらいでした。(2024年5月現在もほぼ同じ価格)
刃の形が独特で、力を入れずに
草を切れる。
これがまた、スースー切れるわけです。
使い始めて3年くらい経ってますが、いまだに現役です。
この草刈り鎌、使い方のコツと、慣れ、その他、体全体を使う、呼吸など
いろいろとポイントはあるのですが、
電動草刈機より、楽で早い。
そして疲れない。
(早くできるのは、結構慣れないとできません。)
疲れない、っていうのは、途中で喉が渇いたり、
ブヨや蚊などの妨害昆虫が来ない限り、ほぼノンストップで草刈りができる、ってことです。
繰り返しますが、慣れは必要です。
そして、体を動かしているので、いい汗をかく。
知らぬ間に運動になり、
筋肉もつく。
筋肉をつけようとしてつける
筋トレとは何か違う。
動かしてつく筋肉。
たぶん、ピアノを弾く時や
書道で書を書くときにつくような、
練習していてつくもの。
水泳する人はきっと泳ぐ時に
使う、独特の筋肉ってあると思う。
そして大きいのは、
ご飯が美味しく感じる。
夜もよく眠れる。
これだけでも十分じゃないか。
体を使えば、
慣れて体も楽になる。
筋肉は使わないと減る。
使えば増える。
あとでわかってきましたが、
農作業で筋トレなどの運動も兼ねてできちゃう、っていうことです。
ジム不要、ってことですね。
電動草刈機より早いかどうか、
競争でもしたら、
電動の方が早いかもしれない。
でも、変な疲れはまったくない。
そして何よりも、
草刈りをしたくなる、
という感覚になってきます。
〜したくなる、としないとまずい、っていう感覚は全く別です。
どうせなら、楽しくできた方が
いいと思います。
農作業は地味。
真面目にするものではない。
飽きたら他の作業、
また風や香り、
太陽の光を味わう。
さて、草刈り鎌は刃物です。
鎌や刃物、って力任せにするものじゃない、っていうのは
包丁や彫刻刀でも同様です。
切れ味がイマイチなら、研げばいい。
研いでよく切れる、
結構いいです。
よく切れると
気分良くなる。
料理包丁でも共通ですが、
切れない刃物、って
わずかでも気分が乱れる。
トマトがスッと
切れない包丁とかですね。
そんなときは、研ぐ。
シャープナーみたいなのじゃなくて、
ちゃんとした砥石を
当てて、研ぐ。
それだけでも、何か落ち着く。
書道で墨をする時に
似たような感覚です。
切れる刃物だったら、
料理したくなる。
研いでいて思ったのは、
武士は刀を使う。
大工さんはカンナやノミを使う。
散髪屋さんはハサミやカミソリを使う。
料理人は包丁を使う。
事務仕事だってハサミや
カッターを使う。
ナイフで鉛筆をけずる。
刃物って、身近な存在です。
じゃぁ、農民の刃物って
何かと言えば、
鎌、またナタ、
あるいは剪定ハサミなど
じゃないか、って思う。
こうしてみると、刃物を
使う世界のなかで、
電動草刈機はうるさく、
邪道に見えます。
刃を研ぐわけでもないし、
音と振動で騒音をだし、
自らを傷つけるだけ。
そして、ガソリン等の
燃料代はかかるし、
数ヶ月か年単位で草刈機は壊れる。
修理部品は消耗品があり、
農機具屋に行って修理等が必要になる。
まったく無駄で何の成長もない、
ってことに気がつきました。
むしろ害でしかない。
無駄な出費でした。
結局、草刈機を地元の農機具屋で
買ったのは、
修理もそこで頼むから。
農機具屋さんが修理でも儲かる仕組みに
なっていた、と言うことです。
地域の農機具屋さんと親しくなるのはいいかもしれませんが、
私は別に関わりたくないし、無駄な費用はかけたくもない。
それはさておき、
鎌やナタ、包丁等を研いで使う、
っていい世界です。
刃物をうまく使うといい世界がある。
このことに気がついて、
農民なら、鎌を使おう、
って思いました。
先の鎌に出会うまでは、
重くて扱いにくい鎌もあったし、
折れてしまったこともある。
でも、コツを掴んできてから、もう草刈りが楽しくなってくる。
あと思うのは、運動しよう、
っていうよりも、
何かしていて、それが結局、運動になっていた、という方がいいと思う。
義務感やノリがない、
ってあまり良い気はしない。
草刈り鎌で一つだけ気に
なるかもしれないことを
あげるとしたら、
周りの目。
ナギナタをもっている魔女みたい、って言われたこともあって、
それはそれで、面白くみられていたみたいです。
でも、間にうけて
気にしなければいいですね。
外から見たら、
おかしな光景かもしれない。
人に迷惑を
かけているわけでもない。
むしろ、剣道の素振りでもしているかのような、
独自の世界観に入っている。
この時、草刈りしてるけど、
気持ちは草刈りではない。
集中しているし、
いい汗をかいている。
草刈り、という同じことをしていても、
見ているもの、感じていることが
違うわけです。
同じ日常で
他のものを見ている。
野草の散髪、って感じが
近いかもしれません。
いい汗かいて楽しくやっている。
鎌を使って、いい汗をかく。
電動草刈機は苦痛、
ガソリン、メンテナンス等のお金が
かかる。
そして何よりも疲れる。
何かいいことってあるだろうか?
音が不快、
変な振動もある。
刃が石にキンキンあたる。
長い草が絡まる。
給油時に、少し液体をこぼしてしまう。
起動のエンジンが
一度でかからない時、
なんだか不快感の積み重ね、って
思えてきます。
だから疲れていたのかも
しれない。
草刈鎌だと、逆。
快の積み重ね。
不快感はほぼない。
これは大きい。
農作業って地味なもので、
ときどき進める作業は
変化した方がいいと思う。
農作業は植え付け、草取り、
観察、写真撮り、
収穫、などいろいろあります。
地味だけど、
農作業それぞれは、快。
いかに「快」の積み重ねか、
ってことがわかってきました。
「快」かどうか、
他の作業で
随時チェックするのもいいですね。
小さな快を積み重ねれば、
苦痛と思っていたことを
変えられるかもしれない。
農作業で、おいしい野菜ができる。
きれいな空気を吸う。
いい汗をかく。
太陽の光を浴びる。
鳥の声、蜂の音をきく。
どれも「快」です。
となると、農作業は決して侮れない。
嫌な疲れがない。
農作業は地味でも、飽きずにずっと続けている。
たぶん、考えることなく、
何か楽しんでいるんだと思う。
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