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種まき


種さえ蒔けば、
実る可能性がある。

蒔いても実らないこともあるけど、
実る可能性はある。

結果がすぐにでるわけでもないけど、
これからもっとやっていこうと思う。

野草をみていると、
種の量はとても多い。


ススキです。
一気に種をまくのではなく、
風に任せてタネが飛んでいく。
セイタカアワダチソウです。真っ黄色の花が枯れると、種に変わります。
すごい量の種です。
一度でも蒔いたら、毎年できるエゴマ。
自然落下する種の量は結構多い。

改めてみると、自生しているものって、種の量が圧倒的に多い。

たくさん
蒔いているから、実る。

大半は枯れるか
発芽すらしないのかもしれません。

アフリカのワニは
80個くらいの卵を産むそうですが、

大人になれるのは、
せいぜい1匹くらいだそうです。

こうしてみてると、
勝手に生えてくる、

と安心しきっている
背景には、たくさん種が
撒かれている。

細かい確率の計算は
しないだろうから、
とにかく、種をたくさんまく。

あの量をみていると、
考えない方がいいですね。


圧倒的な種の量が
自然農法では大切に
思えてきました。


その中でどれだけ実るのか、
とだけ考えるのじゃなくて、
実らなくてもいいから撒く。

というのは、撒けば、生き物が集まる。

たとえ途中で枯れたとしても、
根が張れば、微生物から
コガネムシの幼虫、クモ、ムカデ、
ミミズ、オケラ、その他生き物が
多く集まる。

食って食われる食物連鎖の世界だけど、
要は生きた土、生きた環境が
ある世界になる。

どの種をどう蒔くか、
計算できるものではないし、
誰もわからない。 

予想はできても
その通りになるとは限らない。

蒔いたら答えは
自然が答えを出す。

実は、実家に甘夏の木が
育ってるのですが、

元は私が小中学生の頃に、
ばら撒いた種です。

家で食べた柑橘類、葡萄、りんご、その他、ビワなど、

とにかくあらゆる種を
たくさん蒔いていました。

正確には土のあるところに
ばら撒いた。

りんごは全くだめで、ブドウは時々発芽、でも長く育たなかった。

みかん、ゆず、はっさく、
グレープフルーツ、などは、

結構高い確率で育った。
ビワは特に大きく育った。

種から発芽するのに興味があったのと、
アゲハチョウの幼虫を
昔飼っていた時期がありました。

アゲハチョウの幼虫の食べ物は
柑橘類の葉っぱか山椒の葉。

小遣いでは苗は買えなかったので、
エサ用に種をまいていました。

キアゲハはパセリ、ニンジン、
ミツバの葉っぱなどですが、
葉っぱ自体はアゲハ蝶に
くらべて安い。

ミツバでキアゲハの幼虫は
育ってくれました。

スーパーなどで買っていたのを
覚えています。


こうして甘夏の木を振り返ってみても、
アゲハチョウという生き物と
セットになっていたのを思い出します。

今では家で幼虫を飼おうと
までは思いませんが、

アゲハチョウの幼虫を見かけたら、
そっと見守るようにしています。

ここで思うのは、農家だときっとチョウの幼虫は殺すだろう。

しかし、山椒の木などで
見かけたアゲハチョウ、

にんじんの葉についたキアゲハの幼虫、
大半は鳥か何か動物に
食べられてしまうようです。

急に見かけなくなることは
よくありました。

サナギになるものは少なく、
チョウの数は減っていると思う。

そもそも、アゲハ蝶を見かける数が
年々少ない。

となると、別に人が
害虫だからと言って取らなくても、

殺虫剤を使わなくても、
いいというわけです。

逆に人から殺されるとしたら、
いつか絶滅する可能性が
あるかもしれない。


子供心ながら、アゲハ蝶はきれいで、
楽しめる存在。

とても貴重な生き物に思うけど、
大人は殺す。

今思い出すと、大人への最初の
不信感だったかと思う。

幼虫がみかんやニンジンの葉を
食べようが、十分に実る。

今でこそ、甘夏の実がたくさん実るようになっていますが、
アゲハがいようが実る。

当時は将来みかんが実る、とは全く想像もしていませんでした。

期待はしないけど、
種は全て蒔いていました。

期待しないから、途中で枯れても、
折れても気にならなかった。

落ち込むこともなかった。


たくさん蒔いた結果、
そのうちのわずか一本だけが、
20年以上も生き残り、
実るようになった。

完全な放置放任、
無農薬、無肥料の甘夏です。

種が発芽するかもしれないと
思うと、ゴミ箱に
捨てるのは惜しい。

期待していなくても、
最高のみかんが実った。

今となっては結構助かります。

少なくとも、子供の頃は、
アゲハ蝶に夢中だったわけですが、
期待せずの種蒔きがよかった。



甘夏。
20年くらい前に実家の庭に
投げ捨てた種から実ったもの。



狭くて窮屈そうにみえるけど、
種からのものは強い。
あらためてみると、立派。

みかんの種は、ばら撒くだけで
育ちやすい。

実るまで確かに時間はかかるけど、
他のことをしておけばいい。

急がず慌てず、
手出し無用。放っておく。

期待せず、ただ、種をゴミ箱ではなく、
土のあるところに捨てる。

丁寧に植えつけた記憶は
全くない。

実際に、今でも家の空いているところに、種を投げ捨てることも
ありますが、

柑橘類はところどころ、
生えてきました。



渋柿と柿の種。動物のフンに混ざっているのを何度も見ました。
山にあちこちに生えている柿は、おそらくイタチ、テンなどの
動物が種まきをしたように思います。
柑橘類の種。(スダチ、ゆず、山のみかん、のどれかだと思います。)
ところどころ発芽しています。

春以降になると、
葉にいるアゲハチョウの
幼虫をたまに見かけます。

鳥のフンのような幼虫から
成長し、緑色になります。

それでも大半は途中で
鳥などにやられてしまう。

完全自由にさせても、
自然は厳しい。

さらに人に害虫扱いされれば、
もはや減るのは必須。


ただ、みかんが発芽すれば、
その根っこにも多くの生き物が
あつまる。

ある程度育てば、アゲハ蝶も
来るかもしれない。

そして、期待しないけど、
また何十年後かに
みかんが実っているかもしれません。


今から、8年前に梅の種を
蒔いたのですが、
これも全く期待せずでした。

ところが、去年、立派に実りました。

梅はせいぜい10kg程度でしたが、梅は種からでも8年で実ることが
わかりました。

いや、たったの8年で10kgも実った、
と考えた方がいい。

梅が自給できるレベルになる日も
そう遠くはないかもしれない。

途中、1メートル以上の豪雪の時が
何度もありました。

枝や幹は何度も折れています。
それでも、種から育つものは、強いのか、枯れず。

今では3、4メートルくらいの
高さまで育っています。

寒さを真っ先に乗り越え、
花を咲かせます。
これも完全放任です。
剪定すらしていません。

花は風で落ちるかもしれないし、期待はしていません。

それでも、種から実ったのは、
本当、素敵なことです。

ちなみにホームセンター等で
買える苗木は、
あまり強くはありません。

レモンやユズなどの苗木を植えましたが、全て雪の時に埋もれて
枯れました。

種からだと根がしっかり張る。
だから強い。

今思うと、種を蒔けば、
発芽する確率がある。

芽が出たのをみると、結構嬉しいし、ましてやみかんや梅が実るなって、
まったく想像していなかった。

育つ過程で、必ず何か生き物と出会う。
以前、シマヘビをみて怖がる人、

蝶でさえ怖い、という人もいたが、
少しでも生き物に触れる機会があれば、
そうはならないはず。

となると、生き物にある程度接触する
生き方でないと、将来、「害虫」としか考えなくなる。

自然について考えない、
平気で殺虫剤を使う大人に
なるんじゃないかと思う。

さて、実った場合、
種まき、栽培にかかわったものは、
妙においしい。

梅酵素エキスも、梅肉エキスも、
梅干しも絶品。

理由はわからないけど、
アナスタシアの話ででてくることが
結構当たっていると思います。

自家栽培したものが、
本人や家族等にとても
よいものだそうですが、
結構実感しています。


あわてず、期待せず、
可能性のある種を蒔く。

丁寧に蒔かなくても、
ばら撒くくらいで十分。

特に花が咲くものを
どんどん撒きたいと思う。

というのは、花あれば、アブやハチ、蝶、昆虫がくる。

生き物のいない畑や
田んぼは殺風景で、味気ない。

野菜作りは実はあまり関心が
ないのですが、

むしろ生き物があつまるような、場所を目指そうと思う。

そうなると、当然農薬や肥料、また耕運機なども不要です。

草刈機も騒音なので、
生き物は逃げていく。

草刈機で蛇やカエルの無用な
殺傷をすることもない。


種をまき、生き物豊富な
場所にしていく。

たぶん、あれこれ考えるよりも、多くの種を集め、ばら撒く。

そしてそのなかでできるものを
食べていこう、

農家の人からみたら、
舐めきった人にみえるかも
しれないけど、
そこそこの野菜はできる。

梅もできてきた。
とはいっても、自分で
つくったわけじゃない。

種を撒いたから、
自然が実らせてくれた。

人の知恵、知識はいらない、という福岡正信さんの言葉を思うと、

おそらく、「種を蒔け」という
ことが最も大事なメッセージに
思えてきます。

いろいろと複数の本がでていますが、
本人によれば、
読んだら捨ててもらって構わない、
と言われていました。

自然は結局わからない、
知識知恵はいらなかった、と。

確かに効率や効果を考えたところで、
正解がわかるとはかぎらない。

わかったように勘違いするだけ
かもしれない。

それなら、考えることなく、種まきだけを忘れずにする。

たくさんの種類を蒔いて、自然からの
答えを受け止める。

不自然なことをしなければ、
生き物が集まってくれる。

となると、やはり自分だけが食べる、
得する、ではなく、

種を蒔いて生きた環境を
つくってもらう、

深く考えない、悩まない、
むしろ、自然のための農法、

いや、単に種まきを
やっていけばいいわけです。


徐々に飛んでいく種。
ヒノキです。
何かの野草、種だらけ。
ノアズキ
ススキは種のかたまり。
毎回様子が変わって
楽しめる植物です。

どの野草も木々も、種が多い。

種まきしすぎなくらいです。


これだけ蒔いているから、
あちこちで見かけるわけです。

農機具や燃料費には費用を
かけていないから、

種は自家採取プラス何か
他の種を多めに調達していこう。


おそらく、動物の体にもついて、遠くに運ばれていく種。
キイチゴですが、中には
小さな種がある。
動物のフンに紛れて、
結構広がっているようです。

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