八助梅 2
赤紫蘇を梅干しに入れますが、
赤紫蘇が間に合わないのは、
毎年のこと。
6-7月に梅干し用に
できるほど、赤しそが育っていない。
去年の秋に赤紫蘇を収穫し、
翌年用に赤しそを塩もみして
保存していたものを使う。
秋の赤紫蘇は、穂がついていて、
プチプチしてちょっと
ハーブのような味もする。
塩と梅酢だけで、
翌年夏になっても腐ることがない。
梅の殺菌効果ですね。
ただ、去年の秋の分は
量が少ない。
赤紫蘇は、少なくても
梅干しはできる。
ただ、できるだけ梅干しは
赤くしたい。
梅干しの赤紫蘇は、
乾燥させて粉にする。
簡単にゆかり
(赤紫蘇の梅塩味のふりかけ)
ができる。
赤紫蘇は、こぼれ落ちた種から
毎年育つのですが、
どう育つかは不確かです。
何かやり方を変えないと、赤紫蘇が
梅の時期に間に合わない。
そんなわけで、今年は
赤しそが少ないので
取り寄せてみました。
赤紫蘇の葉と茎のみで、3kgですが、
結構な量でした。
ほとんど土がついていないのは、
助かった。
八助梅18kgに対して、
赤紫蘇の葉っぱが3kg、
赤しその量は梅の重量の20%。
塩と赤しその重さは同じ、って覚えています。
自家製の赤しそ合わせると、
少し多いくらい。
赤紫蘇は大雑把に太い茎の部分を
とりますが、
大半は天日でカラカラになる。
あまり神経質になるほど
でなくていける。
そして、お盆前には漬け込んだ赤紫蘇も梅干しと一緒に
天日で干しますが、
ゆかり等にするのは、
翌年にします。
現代農業という月刊誌か別冊に
ゆかりを作って販売している
話があった。
梅干しの赤紫蘇を天日で干し、
粉にする。
その時の赤紫蘇は、今年のものよりも、
一年前の梅干しの赤紫蘇を干す方が、
味に深みがあったという。
余談ですが、現代農業という
月刊誌や別冊は
農家やおばぁちゃんの知恵、
その他食生活の工夫も
紹介されている。
ちょっとした、
工夫などがあって
とても参考になる。
現代農業、ってタイトルだけだと
興味出ないけど、
時には料理レシピ本よりも
役立つことがある。
一昨年前の梅干しの赤ソソを干すと、
色の鮮やかさは今年のものとは劣る。
でも味は確かにいい味しています。
暑くて強い日差しに
秘密はあるんだろうけど、
一年たった赤紫蘇との
当年のものとは、確かに違った。
梅干しが年月を経てまろやかになるのと
同じ原理かもしれません。
おそらく、塩が変化しているから
だと思う。
ゆかり作りは量が少なければ、
すり鉢でやってもいいし、
マジックブレードのような
ミキサーで粉にすると簡単にできる。
手作りでするゆかりは、とっても美味しいものです。
おにぎりも使えるし、
サラダや味噌汁などに少し振りかけるのもいい。
さて、赤紫蘇を塩揉みして、
梅干しの樽に入れました。
3kgの赤紫蘇、って結構な量ですが、
塩揉みすると、だんだん縮む。
赤紫蘇は塩揉みすると、
ハンドボールより、一回り大きいくらいの大きさになりました。
塩揉みは3回するのですが、
赤紫蘇から出るアクの色が
変化しています。
初めは濃い緑か紫のあいだのような、
変わった色。
塩揉み2回目は、鮮やかな青紫。
そして塩揉み3回目は、さらに鮮やかな青紫になりました。
赤紫蘇のアクとり(塩揉み)は、3回するように、と以前、
八百屋さんで教わった。
塩揉みをしっかりすると、
仕上がりの梅干しの色も
綺麗になるという。
地方に住んで最初に思ったのが、
商店街や乾物屋、八百屋がない。
スーパーで黙って買い物するのが
普通かもしれませんが、
八百屋さんや乾物屋さんは、
知識経験豊富、結構いろんなことを
教えてくれるものです。
赤紫蘇の塩揉みをしていて
思ったのですが、
蕎麦打ちやパンを
こねたりするのと同じ感じです。
手を使うのが、また新鮮な感じでいい。
赤紫蘇は、こねるのに力が
いるようですが、
体全体を使う、体重もかけるのがポイントです。
力をいれなくても、だんだんと
まとまってくる。
これは慣れたら、もう年中行事みたいなものです。
不思議なのは、少しの塩で
赤紫蘇を揉むのですが、
だんだんと赤紫蘇がしおれてくる。
赤紫蘇の香りが漂ってくる。
初めは大量の赤紫蘇を使うのって、
大変かと思ったのですが、
途中から、何か楽しい気分になってくるものです。
さて、アクをとった赤紫蘇に
梅酢を少しかけると、一気に赤くなる。
赤く染まる瞬間が
結構好きです。
あとは、梅がどう染まってくれるか、
干すときまでのお楽しみ。
ただ、八助梅って、
タネがスッと取れるのが
特徴の一つ。
南高梅とはまた違った風味で、
結構好きです。
きっと慣行栽培であれば、
もっと大きくてきれいな
梅だったかと思う。
でも、小さくてオレンジ色に
熟したのは、
また違っていて面白い。
まだ早いですが、
つけた八助梅を味見すると、
まるで桃のような、食感です。
硬い桃、まだ熟す前の桃、
って感じです。
梅の品種ってどれくらいあるのか
わかりませんが、
八助梅は結構いい梅干しができます。
小さい八助梅は初めてですが、
今のところ順調です。
もし減塩で梅干し作りをしていたら、
カビが出る可能性があります。
こうして思うと、減塩だと食べやすいかもしれないけど、
たぶん常温で長期保存はできないし、
いらない心配がでる。
塩辛いのが苦手なら、ご飯を炊く時、味噌汁の中に入れるだけで、
殺菌も保存もできるわけです。
それに梅は、青梅の時は梅の実に、
熟した梅は、種の中に
貴重な養分があると
古い本には書いてあります。
ただ、貴重な養分とはいっても、
裏を返せば毒。
つけ込むことで、青梅の青酸などを
無毒化するらしい。
青梅を大量に食べると中毒になるのも
そのままだからだそうです。
ということは、梅干しなら
塩漬けで梅の種の中の成分を
しっかりと抽出したいところ。
濃く、純粋な塩で
養分を抽出するような
イメージです。
梅をつける段階で砂糖や
蜂蜜などがあると、
本来の梅干しの良さは
出ないと思います。
調味梅干しを作っているメーカーの
工程を見ていると、
塩漬けした後に、水で塩分等を落とす。
その後に味付けするようです。
貴重な成分は、大半が流れ
落ちている気がしてならない。
食べやすい梅干し、って考えない方が
いいものが、簡単にできると思う。
さて、今年は自家製の梅の実が
少なかったため、
急遽取り寄せることにしました。
以前は南高梅ばかりでしたが、
品種を変える、
知らない品種の梅を取り寄せてみる、
っていいかもしれません。
梅の花が咲いたのを思い出すと、極寒で
たしか雪も降っていた。
寒さに耐え、花が他の植物よりも
早く咲く。
梅は不思議な植物です。
八助梅は青森なので、
寒さに特に強い品種だそうです。
天日で干すのは、もっとも暑い時期。
極寒と最も暑い太陽の光を
取り入れたもの。
梅干しがいかに良いものか、
って改めて思います。
梅干しは、普通に塩分20パーセント程度で漬け込めば
失敗しない。
真冬の寒さに耐えて
花咲かせる不思議な力、
真夏の炎天下の力、
などが梅干しにある、って
となると、天日干しは
大切な工程。
それに、梅干しは疲労や消化の助け、
殺菌等の働きもある。
戦中に梅があったから、
泥水をすすっても、
生き延びられた、
とも言われている。
一日一粒梅ぼし健康法、
ベストセラーだったそうで、
古本で手に入ります。
他にも色んな梅の本はあるのですが、
この本は読みやすいと思います。
ただ、この種の古い本に目を通すと、
近年の本やネット検索情報とは
違うことに気がつく。
伝言ゲームのように
いつしか梅干しの作り方が
変わってしまったのかと思う。
梅の鬼が語る内容は
とにかく熱く、丁寧でわかりやすい。
そしてどこかあたたかい。
何度も読めば、梅干しも作りたくなるってものです。
ベストセラーなら、再刊されてもいいと思うのですが、
どうなんだろう。
さて、八助梅は約20パーセントの塩でつけましたが、
今の時点で結構たべやすい。
種がスルッと取れるのが、
南高梅とは違う印象です。
また香りも違うように感じる。
これは仕上がりが楽しみに
思えてきました。
おそらくこの後の天日干しで
塩分濃度が上がり、味はきつめになる。
ただ、塩味は年月がたてば、
まろやかになる。
初めから年月をかけてできた熟成塩(韓国の塩、その他ゲランドの塩など、塩田でつくられたものは、1年以上の熟成期間がある)を使う、
ヒマラヤ岩塩などの、2億年前のもの、など色々やってきましたが、
どうも梅干しには干した後の
年月が大事に思えてきました。
というのも、古い方が味が奥深い。
初年度はフレッシュさ、
2、3年だとまだ程よい塩辛さや
強みはある。
5年以上経てば、かなり
食べやすい印象です。
毎年かかさず作る
そうすれば、気長に過ごせ、
待つ感覚はない。
熱い時期ですが、結構いろいろとやること、できることは
あると思います。
こういう空気を毎日取り入れると、
ちょっと一手間な梅干し作りも
はかどるものです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?